Breast and Endocrine Surgery
臨床
- ひとりひとりのライフスタイルを大切にしています。お仕事との両立、大切なライフイベントなど、何でも担当医にお伝えください。
- 乳腺・内分泌外科スタッフ全員でチーム医療を心がけています。
- 多くの科・部門・チームと密な連携を構築しています。
- 形成外科(乳房再建)
- 妊孕性温存チーム(女性診療科)
- 放射線科(主に術後の放射線治療)
- ゲノム診療部(遺伝性腫瘍医療、がんゲノム医療)
- 女性外科(遺伝性乳癌卵巣癌のリスク低減手術)
- 腎臓内分泌内科(甲状腺・副甲状腺)
- 耳鼻咽喉科(甲状腺・副甲状腺)
- 循環器内科(腫瘍循環器内科、周術期リスク評価と管理)
- 周術期外来(麻酔科)
- 病理部
- 歯科口腔外科
- 整形外科(腫瘍、リハビリ)
- がん看護サポートチーム
診療体制
- 日本外科学会指導医・専門医・認定医、日本乳癌学会指導医・専門医・認定医、マンモグラフィ読影認定医、内分泌外科学会専門医、臨床遺伝専門医、家族性腫瘍専門医などの資格を持つ専門医が中心となって診療を行っています。
- マンモグラフィ(トモシンセシス)・超音波検査・穿刺吸引細胞診・針生検、吸引式組織生検(超音波ガイド下、ステレオガイド下)・CT・MRI・シンチグラフィなど、乳腺疾患や甲状腺疾患の診断に必要な各種検査を実施しています。
- 手術方法、薬物療法などの治療方針は、専門医を含めた乳腺・内分泌外科医師全員のカンファランスで検討しています。点滴による化学療法(抗癌剤治療)は、初回を入院(1泊2日または2泊3日)で行い、2回目以降は通院(外来化学療法室)で行っています。
対象疾患
乳癌、乳腺良性腫瘍(葉状腫瘍、増大する線維腺腫など)、良悪性の診断が困難な乳腺腫瘤、甲状腺癌、甲状腺良性腫瘍、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、副甲状腺腫瘍、副甲状腺機能亢進症、多発性内分泌腫瘍症など。
受診時にお知らせください
- ご家族(両親・姉妹兄弟・祖父母・両親の姉妹兄弟・いとこ)に乳癌・卵巣癌・前立腺癌・膵臓癌・他の方がいらっしゃる方は、担当医にお知らせください。
- 現在妊娠中の方、妊娠出産のご希望のある方は担当医にお知らせください。
- アレルギーや治療中の病気がある方は担当医にお知らせください。
- アルコールにアレルギーのある方、アルコールが摂取できない方は担当医にお知らせください。
全身麻酔手術の準備に必要な検査
採血(血液型・感染症検査を含む)、胸部レントゲン、心電図、呼吸機能(肺活量など)の検査を行います。必要に応じて、心臓超音波検査(心エコー)などを追加します。治療中の病気・内服薬・既往歴(過去にかかった病気)によって、麻酔科・循環器内科など、他科の診察が必要になる場合があります。全身麻酔に際し、喫煙されている方には必ず禁煙していただきます。
乳癌
乳癌の診断~治療開始までに必要な検査
- 乳癌の診断に必要な検査には、視触診・マンモグラフィ・超音波(エコー)・組織診・細胞診などがあります。
- 必要に応じて造影MRI(または単純MRI)を行います。乳癌の拡がりを調べ、術式(部分切除術・乳房切除術)決定の一助とします。同側や反対側に新たな小病変が見つかる場合があり、超音波や細胞診/組織診が追加になることがあります。造影剤のアレルギーが予測される方には原則として行いません。乳房造影MRI検査は、当院または連携している画像専門の施設で撮影しています。
- リンパ節エコー、CT、MRI検査などでリンパ節転移を疑った場合には、リンパ節の穿刺吸引細胞診を実施します。
- 遠隔転移(主に肺・肝臓・骨、必要時には脳)は、CT(単純または造影)、骨シンチ、PET/CTなどの検査で調べます。病期(ステージ)によって必要な検査が異なります。
乳癌の治療開始までの流れ
- 乳腺・内分泌外科スタッフを中心に関連各科の医師が集まり、治療方針を検討しています。当科としての推奨治療を提案し、患者さんとの十分な話し合いの上、最適と思われる治療方針を決定します。
- 手術前日の入院を基本としています。手術翌日から食事を開始して術後2日から約1週間で退院します(術式や併存疾患によって異なります)。
- 非浸潤癌、および、術前にリンパ節転移を認めない早期乳癌では、多くの場合、手術を計画します。
- ホルモン受容体、HER2受容体、悪性度などで分類される乳癌の特徴(サブタイプと呼びます)に応じて、術後に薬物療法(ホルモン剤治療、抗癌剤治療、分子標的薬による治療)を計画します。
- リンパ節転移を認めない場合でも、乳癌の特徴から「術後の抗癌剤治療が必須である」と判断される場合には、抗剤治療を先行させる(術前薬物療法)場合があります。
- リンパ節転移を認める場合や乳癌の悪性度が高い場合(トリプルネガティブ乳癌、HER2タイプ乳癌、luminal B-like乳癌)には、乳癌の特徴(サブタイプ)に応じた全身治療(薬物療法)を先行し、その後手術治療を計画します。
乳癌治療の一般的な方針
- 乳癌の治療には、「局所治療」と「全身治療」の双方が必要です。乳癌を含む乳房、および、同側の腋窩リンパ節が「局所」です。まずは、「局所(乳癌とリンパ節)」の手術を行います。手術の具体的な方法(乳房全切除術または乳房部分切除術)は外来担当医と相談の上、決定いたします。リンパ節に対する手術の方法は病期によって異なります。
- 乳房部分切除の場合、温存乳房に対して放射線照射を行います。リンパ節転移の状況で、乳房切除術後でも放射線照射が必要になる場合があります。
- 「全身治療」は、手術前には各種検査で発見できない場合においても、既に微小な遠隔転移が起きている可能性を考慮し、再発リスク低減のために行う薬物治療です。「全身治療」には、「化学療法(抗癌剤治療・分子標的治療)」と「ホルモン剤治療」があります。手術標本の病理検査で「非浸潤癌」と最終診断された場合には、術後の全身治療は必須ではありません。
転移再発乳癌治療
初診時に転移性乳癌の方、当院で手術を受けて術後に転移再発した乳癌の方の治療(抗癌剤治療、分子標的治療、ホルモン剤治療、放射線治療など)を行っています。放射線科、緩和ケア科、がん看護サポートチーム他、多くの科が協力して治療をすすめて行きます。
関連する情報
乳房再建術
乳房全切除術をおこなう場合、乳房再建をご希望される患者さんには十分な相談の上で、形成外科医による自家組織での再建またはティッシュエキスパンダー挿入(後日インプラントへ入れ替え)による再建を行っています。乳癌の手術時に行う場合と後日行う場合があります。詳しくは担当医とご相談ください。
遺伝学的検査(遺伝性腫瘍の遺伝子検査、例:BRCA1/2遺伝子検査)
乳癌全体のおよそ7%が遺伝性で、頻度の高い遺伝子としてBRCA1とBRCA2が知られています。BRCA1やBRCA2遺伝子に生まれつき乳癌や卵巣癌を発症しやすい変化(病的バリアントと呼びます)がある場合に、遺伝性乳癌卵巣癌(Hereditary Breast and Ovarian Cancer; HBOC エイチビーオーシー)と診断されます。遺伝性の病気については、患者さんやご家族が、治療や遺伝性について不安な気持ちになることは自然なことです。遺伝性腫瘍に関わる遺伝子検査を実施する前に、遺伝カウンセリングの場で遺伝学的検査を行うかどうかを相談いたします。認定遺伝カウンセラー/臨床遺伝専門医が外来担当医とともに遺伝カウンセリングを行っています。遺伝性腫瘍への理解を深めていただき、将来に向けて適切な意思決定ができようサポートいたします。
Oncotype DX
再発スコアや化学療法の効果予測に役立つOncotype DX検査を実施することが可能です(保険診療)。エストロゲン受容体陽性乳癌で、適応となる場合に検査を実施することが可能です。術後抗癌剤治療の必要性または省略可能性を判断するときに活用しています。詳しくはご担当医とご相談ください。
がんゲノムパネル検査
標準治療がない、または局所進行または転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者さん(終了が見込まれる方を含む)が対象として、GenMineTOP(保険診療)、OncoGuide NCCオンコパネル(保険診療)、FoundationOne CDxがんゲノムプロファイル(保険診療)、東大オンコパネル/Todai OncoPanel(自由診療)を活用できる場合があります。詳しくはご担当医とご相談ください。
甲状腺癌
甲状腺、副甲状腺の手術までに必要な検査
超音波検査
頚部の病変部を体の表面から調べます。 無侵襲に甲状腺、副甲状腺の大きさや、腫瘍病変の位置や大きさ、性状を調べることが出来ます。症状にもよりますが、5~10分程度で終わります。
CT検査
頚部の病変部をレントゲンで断層写真にして調べます。 甲状腺と周囲臓器の位置関係を詳細に調べることで、より安全に手術が行えるようになります。また、術後の転移・再発を診断する目的でも行うことがあります。
シンチグラフィ
特殊な検査薬が病変部に集まることを利用した検査です。 甲状腺、副甲状腺などの機能や病変の部位などがわかります。
穿刺吸引細胞診
超音波検査で病変を観察しながら、甲状腺に細い針を刺して細胞を採り,顕微鏡で検査します。病変の性状を診断することができます。
血液および尿検査
甲状腺や副甲状腺ホルモンや抗体などを測定します。副甲状腺疾患では、血液中のカルシウム値を測定します。