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放射線カウンセリングで気になっていること

放射線カウンセリングで気になっていること

                               (室月 淳 2012年1月27日)

低線量被曝のリスクについて,それがほんのささやかなものであっても,それを説明することによって相手の不安感をかきたてしまうことがあります.低線量被曝についてはいろいろと調べてきましたが,福島にすむ人たちのリスクというのは,ほんとうに気に病むレベルではありません.たとえば発癌リスクでいえば喫煙習慣のほうがよほど高く,その差は何百倍というオーダーです(ただし喫煙者は自分の楽しみのためにそれを受けいれているのですが,福島のひとたちにとってはみずからの意思とは関係ないところのものであり,直接比較はできません).

もし相談が自分のこどもたちから相談されたらどうするか? まちがいなく,だいじょうぶだ,心配しなくていいというにちがいありません.リスクはじゅうぶんに低いのだから,そんなことはわすれてふつうに暮らすことがいちばん幸せであるし,結局のところ人生の「リスク」の総体は,それがもっとも低くなると思うのです.それで万が一なにかがおきたら,そのときは家族としていっしょにたちむかっていくしかありません.

しかし「カウンセリング」ではそういったかたちで責任をとることはできません.安心しなさいとはなかなかいえないのです.どんなに低いリスクであっても事実は告げざるをえません.それが相手の不安を募らせ,場合によってはまわりの偏見や差別をひきおこすことにもなります.

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カウンタ 1404(2013年1月27日より)