脳外科医 澤村豊のホームページ

様々な脳腫瘍や脳神経の病気について説明しています。

顆粒細胞星細胞腫 granular cell astrocytoma GCA

  • すごく稀なグリオーマです
  • 発症年齢中央値は50代後半,前頭葉と側頭葉に多く発生します
  • IDH wild-typeのびまん性グリオーマ,星細胞系腫瘍です
  • astrocytomaのsubtype とされていましたが,glioblastomaに属する腫瘍と捉えられます
  • WHO基準による組織学的グレードは2, 3, 4に相当します
  • macrophageのような大きな胞体を有し,好酸性顆粒を細胞質内に豊富に含むplump astrocytic cells顆粒細胞で構成される腫瘍です
  • 組織グレードがどうあれ臨床的にはグレード4で,膠芽腫と同じです
  • GFAP, OLIG2,  S100, CD68が陽性になります
  • ATRXは変異しています
  • 腫瘍の外周あたりには,plump astrocytesが少なくなり,通常のびまん性星細胞腫とおなじような小型のdiffuse neoplastic astrocytesが浸潤性に広範囲に浸潤しています
  • 治療抵抗性腫瘍で,生存期間中央値は1年ほどです

60代の患者さんの右前頭葉深部から島回に発生したものです。初発症状は症候性てんかんです。
ガドリニウム増強される腫瘍の中心部に壊死があり,悪性神経膠腫としては腫瘍周囲浮腫が強すぎるように見えるので,リンパ腫 PCNSLに似た画像所見です。
脱髄性疾患であるtumefactive multiple sclerosisに画像所見も病理所見も類似することがあります。
IDH1, IDH2はwild typeで変異なし,ATRX染色陽性,MIB-1 25%と高値でした。
60グレイの局所放射線治療を行いました。

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