脳外科医 澤村豊のホームページ

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臨床医のための分かりやすいグリオーマ遺伝子診断

  • これでもかなり単純化したものです
  • 2016年HWO分類です
  • 一般病院でもできる免疫組織染色です
  • 必要なのは,IDH1-R132H, nuclear ATRX, H3-K27Mに対する抗体です
  • ただし,第1染色体短腕と第19染色体長腕の欠失(1p/19q loss)は染色体を見なければなりません
  • まずIDHの変異をみところからスタートします,それからATRXをみます
  • IDH wild-typeの場合は,IDH DNAシークセンスが必要となります

注意
  • molecular diagnosisが客観的で正しいとは思い込まない方がいいです
  • 免疫組織染色,FISH,PCR解析でも分子診断が,見た目の組織診断より正しいとは限りません,あくまでも組織診断との整合性があっての診断です
  • 遺伝子診断の確実性が極めて高い場合には,組織診断と矛盾があっても遺伝子診断名をとります

IDH1変異あり mutant

ATRX lost

びまん性星細胞腫,退形成性星細胞腫あるいは”IDH変異のある膠芽腫”

ATRX retained

1p/19q欠失がなければ,びまん性星細胞腫,退形成性星細胞腫あるいは”IDH変異のある膠芽腫”
1p/19q欠失があれば,乏突起膠腫か退形成性乏突起膠腫

IDH1変異なし wild-type

ATRX retained

55歳以上で膠芽腫の組織像であれば膠芽腫 de novo
1p/19q欠失があれば,乏突起膠腫か退形成性乏突起膠腫

他のものはIDH-R132以外の変異を見るためにのIDHのDNAシークエンスが必要となってきます

IDH変異が確認され1p/19q欠失がなければ,びまん性星細胞腫,退形成性星細胞腫あるいは”IDH変異のある膠芽腫”
“IDH野生型のびまん性星細胞腫,退形成性星細胞腫”あるいは膠芽腫

ATRX lost

IDH-R132以外の変異を見るためにのIDHのDNAシークエンスが必要となってきます

“IDH野生型のびまん性星細胞腫,退形成性星細胞腫”あるいは膠芽腫
IDH変異が確認され1p/19q欠失がなければ,びまん性星細胞腫か退形成性星細胞腫

画像上正中にあるもの midline location

このタイプはさらにH3-K27M染色を行います,変異があった時には,

H3-K27M変異のあるびまん性正中グリオーマ

 


焼尻島のオンコの木みたいに複雑で困ったものです

 


引用: Weller M, et al.: European Association for Neuro-Oncology (EANO) guideline on the diagnosis and treatment of adult astrocytic and oligodendroglial gliomas. Lancet Oncol 2017(見やすい図が原著にはあります)

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