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令和元年度「若手支援技術講習会」を終えて

若手支援技術講習会実行委員長
大島 正伸(金沢大学がん進展制御研究所)


令和元年9月5日〜7日、信州八ヶ岳山麓の蓼科高原にて、先端モデル動物支援プラットフォーム主催の若手支援技術講習会を開催しました。

今回の講習会は、大学院生を中心に博士研究員や若手教員など、合計90余名が参加し、それぞれの研究について発表して時間の限り討論するなど、とても盛況な講習会となりました。参加者のバックグランドは、がん、神経を含む広い生命科学領域における基礎研究や、疾患を対象とした臨床研究など幅広く、またこれから研究者としてのキャリアを目指す大学院生(修士課程含む)の割合が約半分を占め、このような傾向は、ここ数年の本講習会の大きな特徴となっています。

本講習会のメインイベントである参加者の皆さんによる研究発表は、口頭とポスターに分かれて行いました。口頭発表では、異なる領域の参加者にもわかりやすく、限られた時間内に研究内容を伝えるため、発表者は十分に準備して来ており、質問も後を絶たないほど活気がありました。ポスター発表は本講習会の目玉の一つですが、夕食後にアドバイザリーの先生を含む10名程度のグループに分かれて、一人ずつ自分のポスターを発表して、グループ内でとことん議論する白熱した時間となり、皆さん疲れを見せずに夜遅くまで続きました。また、新しい試みとして、ポスター発表会の各グループから特に議論が盛り上がった演題を選抜し、2日目の夜にサロン形式でプレゼンテーションし、とてもリラックスした雰囲気の中で議論を深めて行きました。発表対象に選ばれた若手の皆さんには、特にいい経験になったのではないでしょうか。

スペシャルサイエンスレクチャーの講師として、今年度は谷口維紹先生(東京大学)をお招きし、最先端の自然免疫の話をとてもわかりやすくお話し頂きました。さらに、アカデミアにおける研究者として、明日の知を生み出すために私たちはどうしたらよいのか、科学と現代社会が抱える課題についてどう向かい合って行くのかなどもお話し頂き、参加者の皆さんの心に残る講演でした。

またサイエンスレクチャーとして本橋ほづみ先生(東北大学)から、Nrf2を中心に酸化ストレス反応について、未発表の硫黄代謝制御の新しい概念も含めて講演がありました。他にも、実行委員の先生方から、オルガノイドモデルを用いたがん研究(筆宝義隆先生:千葉県がんセンター)、精子幹細胞の老化機構(篠原隆司先生:京都大学)、カルシウムイオンによる認知活動制御(尾藤晴彦先生:東京大学)に関する研究発表があり、若手参加者の皆さんには、領域を越えた最先端の話に大いに知的刺激を受ける機会となりました。

技術支援紹介のワークショップも開催され、先進ゲノム解析推進プラットフォーム(井ノ上逸郎先生:国立遺伝学研究所)、動物モデル作製支援(八尾良司先生:がん研究会がん研究所)、生理機能解析支援(宮川剛先生:藤田医科大学)、分子プロファイリング支援(清宮啓之先生:がん研究会がん化学療法センター)、病理形態解析支援(二口充先生:長崎大学)から、それぞれの支援内容に加えて、講師の先生方の研究内容について発表がありました。若手の皆さんがこれから実際に支援を活用しながら研究を推進するため、有意義な情報が得られたのではないかと思います。

以上のように、今回も盛り沢山のメニューで充実した2泊3日の講習会となりました。参加した若手の皆さんの記憶に残る会であればと願っています。最後に、総合司会を担当した、大西伸幸さん(島津製作所)と平田英周さん(金沢大学)はじめ、本講習会を支えて頂きました事務局及びスタッフの皆さんに心より感謝申し上げます。

【受賞者】

ベストプレゼンテーション賞受賞者の皆さん。左から 石原誠一郎(北海道大学) 原田昭和(大阪大学) 
実行委員長 大島正伸(金沢大学) 黒宮敬介(北海道大学) 洪啓栄(名古屋大学) 伊藤功彦(甲南大学) 
野村祥子(理化学研究所) 藤原和之(群馬大学)

【会場の様子】

発表会場とポスター会場の様子。   本橋ほづみ先生(東北大学)

ポスター討論のグループ    
    講習会スタッフの皆さん

【参加者の声】

  1. 全てのセミナーが若手研究者に向けての話であり、3日間とても有意義な時間を過ごすことができました。
  2. 初めて参加し、多くの人と交流できました。一人で参加したので最初は不安でしたが、参加してよかったです。自身のオリジナリティを早く確立して武器にしたいと思える3日間でした。
  3. 普段はお目にかかれないような素晴らしい先生方の講演が聞けるとてもいいセミナーだと思います。
  4. 各々の先生方の研究に対する考え方や過去のご自身の経験からくるメッセージがあり刺激された。
  5. 第一線で活躍されている先生方のお話や、経歴、研究者としての人生は、とても勉強になり、自分が研究していくうえでの糧となった。
  6. 3日間みっちり研究に関するディスカッションを通して改めてこの仕事が好きだと思えました。
  7. 多くの人と話せた。ほかの学会よりも話しかけやすいのと、またはなしかけられることも多かったので、多く意見交換ができた。
  8. 普段とは異なる分野の研究の問いや考え方に集中的に触れられたのはとてもよかった。
  9. 学会などでは自身の研究に関連した分野を中心に聞くため、異分野の最先端の話題をわかりやすく聞ける機会はとても貴重と感じた。
  10. 情報量が多くてとても充実した3日間でした。

【グループディスカッション】

  1. グループごとに話しやすく、質問もしやすくみんなとの距離が近く、ディスカッションでき、また、アドバイスや自分が気づいていない所も気付いて、とても良かった。
  2. 自分の研究・発表方法を見直す良いきっかけとなった。ポスターと口頭の中間で、両方のいいとこどりができていた。
  3. ポスター発表だけだと、自分の興味のあるものしか聞けなかったりするので、グループディスカッションだと、自分では選ばないようなテーマを聞くことができてよい。
  4. 少人数で密度の濃いディスカッションが出来た。
  5. 一度に多くの方から、質問・コメントをいただけ、異なる分野の考え方を取り入れることができた。
  6. 若手にも発表練習になったと思います。
  7. 年代、バックグラウンドの異なるメンバーとのディスカッションで新たな知見を得られた。
  8. キョリが近い。

【アンケート】

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