イベント情報

2019年度先端モデル動物支援プラットフォーム
「成果発表会」報告

成果発表会実行委員長
山田泰広（東京大学医科学研究所）

2020年2月4日〜5日の2日間、滋賀県琵琶湖ホテルにおいて2019年度「先端モデル動物支援プラットフォーム」成果発表会が開催された。全国から合計139名の参加があった。今回の成果発表会では、基調講演1題、特別講演2題に加えて、各支援活動班が支援した研究者8名からの研究成果が発表された。参加者からは14題の一般口演ならびにポスター71題があり、活発な議論が行われた。

2月4日には、開会挨拶に引き続き、がん研究領域に関する4題の一般口演発表が行われた。最新成果の発表とともに活発な質疑応答がなされた。その後、分子プロファイリング成果WSとして折茂彰先生（順天堂大学医学部）、早川芳弘先生（富山大学和漢医薬学総合研究所）からの成果報告が行われた。引き続き特別講演1として中島欽一先生（九州大学大学院医学研究院）からリプログラミング技術を応用した人為的ニューロン新生法についてご講演いただいた。ダイレクトリプログラミングを介したニューロン新生により、中枢神経系損傷の神経症状が改善できるとの結果は、将来の医療応用を大いに期待させる内容であった。その後、生理機能解析成果WSとして大井一高先生（岐阜大学大学院医学系研究科）、石川香先生（筑波大学生命環境系）から研究成果が報告された。引き続き鈴木聡先生（神戸大学大学院医学研究科）により「がん抑制遺伝子の機能解析」と題した基調講演が行われた。圧倒的な数の遺伝子改変マウス作製による横断的ながん研究に圧倒されるばかりであった。若い研究者に対しても示唆に富んだメッセージを数多くいただいた。懇親会では活発な交流が行われ、異なる世代の研究者や異分野の研究者が交流する貴重な機会となった。


鈴木聡先生（神戸大学）	中島欽一先生（九州大学）	吉村昭彦先生（慶應義塾大学）

2月5日午前中は神経科学領域から5名の口頭発表がなされ、1日目に引き続き活発な議論がなされた。モデル動物を最大限に駆使した最先端の研究や本プラットフォームでの支援活動の成果が次々と紹介された。その後、モデル動物作製成果WSとして松坂賢先生（筑波大学医学医療系内分泌代謝・糖尿病内科）、病理形態解析成果WSとして酒井宏治先生（国立感染症研究所ウイルス第三部）からの成果報告があった。さらに、吉村昭彦先生（慶應義塾大学医学部）による特別講演2が行われた。脳梗塞後の自然免疫反応、獲得免疫反応の詳細な解析から始まり、治療法開発へと繋がっていく壮大なストーリー展開に圧倒された。若手研究者のみならず我々にとっても教育的な講演であった。写真撮影、昼食の後、71題のポスター発表が行われた。白熱した議論がなされ、ポスター会場は例年にも増して熱気に満ちあふれていた。ポスター発表の後に、5名の口頭発表がなされた。動物モデルを駆使した最先端の研究内容が紹介された。その後、モデル動物作製成果WSとして扇田久和先生（滋賀医科大学分子病態生化学）、病理形態解析成果WSとして、大木理恵子先生（国立がん研究センター研究所）から成果報告がなされた。最後に本プラットフォーム総括班の中村卓郎先生（がん研）から、若手優秀発表者に対して表彰が行われ、その後の挨拶で閉会となった。


折茂彰先生（順天堂大学）	早川芳弘先生（富山大学）	大井一高先生（岐阜大学）	石川香先生（筑波大学）

松坂賢先生（筑波大学）	酒井宏治先生（国立感染症研究所）	扇田久和先生（滋賀医科大学）	大木理恵子先生（国立がん研究センター研究所）

今年度の成果発表会でも、本プラットフォームによる支援活動で得られた数多くの研究成果が報告された。様々な研究領域から最新の研究成果が発表され、本支援活動が着実に裾野を広げ、生命科学研究の下支えとして機能していることを実感した。また、多くの研究者が世代や研究領域を超えて積極的に交流する姿が印象的であった。本会で形成された人的ネットワークにより、さらに新たな共同研究が始まることを期待させる成果発表会となった。

最後に、成果発表会開催にあたって支援をして頂きました、井上純一郎先生、中村卓郎先生をはじめとする文部科学省新学術領域研究「先端モデル動物支援プラットフォーム」総括支援班の先生方、ならびに平野尚子さま、藤田豊子さまをはじめ事務局の皆さまに感謝致します。