石巻赤十字看護専門学校に訪問して
平成24年の夏、震災からすでに1年半が経過していましたが、石巻には多くの爪跡が残っていました。
小高い山にある日和山公園で、少し背中が曲がった白髪の男性に声をかけられました。眼下に広がる、河口付近の緑色の草が生い茂った景色を眺めながら、この辺り一帯には家があったこと、橋の向こうから茶色の波が襲ってきたことを、何度も何度もお話しされました。ひととおり話された後、犬を連れて帰って行かれました。
被災した石巻赤十字看護専門学校は、石巻赤十字病院の駐車場に建てられたプレハブ校舎で、全国からの寄贈された書籍をふくめ、何とか学習できる環境になりました。しかし、プレハブの校舎は、少し歩くだけでもプレハブ建築物に特有の足音と振動が建物全体に大きく響き、多くの学生が演習を行うには、とても十分とは言えない環境でした。
プレハブ校舎は、サッシが2重になっており、交差している鉄筋で補強がされていました。駐車場に建てられたので当然なのですが、窓のすぐ外は駐車場です。
学校内の教室は少なく、グループワークや演習のできる部屋のないこと、時には楽しく時にはゆったりといった学生らしく過ごせる場所がないことを先生方から説明いただきました。
このような環境であっても、自分たちの居場所があるということが気持ちの上でも違うようです。偶然お会いした3年次の学生さんが、「こんにちは」「勉強頑張ってます」と明るい笑顔で応えてくれました。
新しい校舎で学習できるまでは、まだまだ時間がかかります。広報委員会として、その過程を見守っていきたいと思います。