本年度の「特任研究員」を募集します

東京大学大学院医学系研究科

公共健康医学専攻 健康教育・社会学分野

特任研究員 募集要項

 

身分:         特任研究員(短時間勤務有期雇用教職員)

採用人数:      1

採用予定日:    手続き終了次第

契約期間:      採用日より2016年331日 継続なし

勤務地:        東京都文京区本郷7-3-1 医学部3号館3階 

健康教育・社会学分野/保健社会行動学分野研究室

勤務内容:      社会疫学やその関連領域に関する研究の遂行。主に、当教室が扱うデータを利用し、その解析結果に基づき論文執筆をしてもらいます。また、本教室が行っている研究の業務(追跡対象者や協力機関との連絡・調整など)の一部を担ってもらいます。

資格・条件:    博士学位、ないし取得の見込みがあるもの。疫学関連の統計処理(SAS, STATA, R等)技能を持ち、社会疫学やその関連領域においてデータを用いた実証研究を行った経験があり、かつ筆頭著者の英文原著論文がある者。

就業時間:      3日以上5日以下(16 時間以上)で相談応需

休日:                 土日祝日、なお研究の遂行状況によっては休日出勤・代替休暇の取得を御願いすることもある

給与;          年齢・経験・技能に応じ、時給1,614円~2,124

通勤手当:      支給要件を満たした場合、実費相当額を支給(上限あり)

社会保険など:  社会保険、雇用保険(法令の定めるところにより加入)

応募方法:      電子メールか郵送。履歴書(写真添付)・業績一覧とこれまでに執筆した論稿・論文のうち代表的なものについてひとつ別刷り(メールでの応募の場合PDFなど)をkondolab[at]m.u-tokyo.ac.jpまでメールするか、これらを同封し下記へ郵送のこと。
履歴書の形式は問いません。
参考:東京大学統一様式:ダウンロード
http://www.u-tokyo.ac.jp/per01/r01_j.html

申し込み先:   113-0033 東京都文京区本郷7-3-1

(郵送時)    東京大学医学部3号館3階 健康教育・社会学分野 近藤尚己あて

問い合わせ:   kondolab[at]m.u-tokyo.ac.jp

応募締め切り:  20159月末日、書類による一次選考のうえ、合格者に対し面接を実施します(面接の際の交通費は支給しません)。該当者が見つかり次第締め切ります。

その他:        応募の秘密は厳守し、取得した個人情報は採用選考の目的以外には使用しません。また応募書類は返却いたしませんが、返却を希望される場合には返信用封筒を同封してください。

 

インタビュー記事掲載「環境づくりで人々を健康にする」CoFFee Doctors

僭越ながら、医療者むけの情報サイトで、インタビューしていただきました。

http://coffeedoctors.jp/doctors/2510/

「健康づくり」を個人の責任のみに求める時代は終わりました。健康の啓発活動ばかりをやっていては、健康になれる人だけがどんどん健康になり、健康格差を広げる結果となります。これからの健康づくりをどうすべきか、といった内容です。

最近一緒に仕事をさせていただいている岩手県陸前高田市、熊本県御船町、東京都足立区などでの経験を交えつつ。

医療機関やプライマリケアの施設が中心となった公衆衛生活動への期待についても一言添えさせていただきました。

データを示して人々の「健康」を後押しする
人々のつながりづくりと環境づくりで健康格差を解消
公衆衛生と臨床現場の知恵とスキルを合わせる

よかったらご笑覧ください!ご批判など歓迎です。

論文リリース(無料):リーマンショックで貧困世帯・所得減少した世帯の子どもが肥満に

学術誌International Journal of Obesity (Nature Publishing)から、論文を出版しました。無料で閲覧可能です。

経済危機が訪れると、貧困層や特定の職業につく世帯など、特定の人々の健康状態が悪化し、健康格差が拡大することが知られています。近年懸念されている「子どもの肥満」に注目して、2008年後半に深刻となった「リーマンショック」が子どもの発育に与えた影響を検討してみました。

その結果、リーマンショック以前より、所得が一般よりも低い貧困世帯の子どもたちが、リーマンショック後に有意に太り、過体重となるリスクが上がったことがわかりました。リーマン前の平均の世帯所得別に4段階に分けると、最も所得が高い群に比べて、最も低い群の男児では、過体重となるリスクが1.12倍、女児では1.35倍高いという結果でした。さらに、リーマン前の所得水準にかかわらず、リーマン後に所得が減少した世帯(30%減少、20%減少、10%減少など、複数で評価)でも、同様に体重が過剰となる子どもが多いことがわかりました。
一見、貧困なら、食べるものが足りなくて痩せるのでは?と思うかもしれませんが、現代の日本において、「食べ物が足りない」という状況はあまりおこりません。むしろ、望ましい食生活や運動習慣を維持できなくなること、ストレスなどで、生活習慣が乱れることなどが問題となります。もともと貧困だった世帯の子どもや、貧困でなくとも、所得が大きく減少して、社会的なストレスを抱えた世帯の子どもの生活習慣が乱れ、体重が増えてしまった、ということが考えられます。

論文はこちら: URL: http://www.nature.com/ijo/journal/vaop/ncurrent/full/ijo201590a.html

The global economic crisis, household income and pre-adolescent overweight and underweight: a nationwide birth cohort study in Japan

Ueda P, Kondo N, Fujiwara T.

Background:

We hypothesized that children from lower income households and in households experiencing a negative income change in connection to the global economic crisis in 2008 would be at increased risk of adverse weight status during the subsequent years of economic downturn.

Methods:

Data were obtained from a nationwide longitudinal survey comprising all children born during 2 weeks of 2001. For 16,403 boys and 15,206 girls, information about anthropometric measurements and household characteristics was collected from 2001 to 2011 on multiple occasions. Interactions between the crisis onset (September 2008) and household income group, as well as the crisis onset and a >30% negative income change in connection to the crisis, were assessed with respect to risk of childhood over- and underweight.

Results:

Adjusted for household and parental characteristics, boys and girls in the lower household income quartiles had a larger increase in risk of overweight after the crisis onset relative to their peers in the highest income group. (Odds ratio (95% confidence interval) for interaction term in boys=1.12 (1.02–1.24); girls=1.35 (1.23–1.49) comparing the lowest with the highest income group.) Among girls, an interaction between the crisis onset and a >30% negative change in household income with respect to risk of overweight was observed (odds ratio for interaction term=1.23 (1.09–1.38)). Girls from the highest income group had an increased risk of underweight after the crisis onset compared with girls from the lowest income group.

Conclusions:

Boys and girls from lower household income groups and girls from households experiencing a negative income change in connection to the global economic crisis in 2008, may be at increased risk of overweight. Vulnerability to economic uncertainty could increase risk of overweight in preadolescence.

書籍(共著)発刊:「復興期における視点:ソーシャルキャピタルと社会格差」in 大規模災害時医療(長純一・永井康徳編)」)

「復興期における視点:ソーシャルキャピタルと社会格差」

東日本大震災の被災地での地域の健康に関するデータ分析の活動を基にまとめた拙稿が下記書籍として発刊しました。

主に地域医療に携わる医師向けの専門書です。

大規模災害時医療 スーパー総合医

専門編集:長 純一(石巻市立病院開成仮診療所)/永井康徳(医療法人ゆうの森)
B5 上製
300頁 写真・図・表:200点
定価:10260円(本体9500円+税)
ISBN:978-4-521-73904-5
発売日:2015/07

http://www.nakayamashoten.co.jp/cgi-bin/menu.cgi?ISBN=978-4-521-73904-5

論文リリース:独居で孤食だと野菜摂取が減り、肥満にJAGES調査

英文医学誌Appetiteに、研究員の谷さんらとまとめた論文が掲載されました。

記事は無料で読めます。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195666315002925

高齢者約8万人のデータを分析し、独居か否か、誰と普段食事をしているかに加え、所得や健康状態、栄養摂取、体格などの関係を分析しました。

その結果、以下のことが主にわかりました。

・普段ほとんど一人で食事をする(孤食)の男女は食事内容がアンバランス
・孤食は肥満および痩せと関連
・男性では、孤食でさらに独居だと、これらの関連が強く
・女性では、誰かと一緒に暮らしているのにかかわらず孤食の状態が多いと、これらの関連が強い

食事は日に三度、生まれてからずーと繰り返す営みです。社会的な交流が健康の維持増進に重要なことが指摘されていますが、人と一緒にご飯を食べることが、健康の面でも重要かもしれません。

経済セミナーに書評「社会と健康:健康格差対策に向けた統合科学的アプローチ」

27日発売された日本評論社「経済セミナー」に、拙著の書評が掲載されました。
他の記事もいろいろ興味深いです。

http://www.nippyo.co.jp/magazine/maga_keisemi.html

アプリ:ヘルスナッジ 【好評です!】健康記事を専門家が解説(無料)

監修しているアプリ「ヘルスナッジ」が好評です。健康情報を専門家のコメント付きで読めるキュレーションサイトです。巷にあふれている有用な情報・怪しげな情報を、医療・医学分野のデータを「見る目」が確かな専門家がチョイスして、コメント付きで紹介します。

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<ウェブサイト>「HEALTH NUDGE」 http://healthnudge.jp/

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論文出版:貧困・低学歴な男性ほど、肥満や痩せによる死亡リスクが高い:JAGES研究

肥満や痩せが、その後の健康や死亡リスクと関係することが知られています。太ったり、痩せたりしたときにどう行動するかによって、その後も健康でいられるかどうかが決まってきます。そして、そういった行動をとるかとらないかは、本人の社会経済的な状況に左右されます。たとえば、医療機関にしっかりかかるか否かが変わってきます。

高齢者1.5万人を追跡調査したJAGES研究のデータを用いて分析したところ、男性では、低所得や低学歴な人ほど、その時のその他の健康状態や年齢などの影響を除いても、肥満や痩せとその後の死亡との関係が強いことがわかりました。女性では明確な関連が見られませんでした。

低所得者ほど金銭的な理由で受診抑制をしていることは、以前JAGES研究から示されています(Murataら)。社会的に不利な人々にとって、現行の医療制度は敷居が高いのかもしれません。また、体重が不適正になった時にも適切に行動がとれるような支援やしくみが必要かもしれません。

Objective.Many studies have suggested a U-shaped curve for the association between body size andmortality risks, i.e., mortality risks increase in those who are both overweight and underweight. The strength of the associationsmay vary according to socioeconomic statuses (SES), as they determine levels of access to healthcare and psychosocial stresses. We investigated the modifying effects of SES on the relationship between body mass index (BMI) and mortality.

Method.We used prospective cohort data of participants in the Aichi Gerontological Evaluation Study in 2003(n=14,931),whowere 65 years or older and physically and cognitively independent at baseline, and residing in eightmunicipalities in Japan. Data on all-causesmortality andmortality from cancer, cardiovascular disease, and respiratory disease was obtained from municipal government registries.

Results. Proportional hazard regression analyses showed that, among men, the associations between
overweight (BMI ≥ 25 kg/m2) and highermortality risks by any causewere stronger among lower incomegroups. Even adjusting for multiple confounding factors, hazard ratios (95% confidence intervals) for mortality by all causes among low income group (household income b 1.5 million yen) were 1.96 (1.02–3.73) for overweight compared with BMIs between 23.0 and 24.9, whereas they were 0.94 (0.57–1.38) among men in high income group (income N 3 million yen). The modifying effects of income were not marked among women.

Conclusion. Household income, which may directly reflect accessibility to healthcare and psychosocial stress among older Japanese men, may be an important modifying factor in the health risks attributable to overweight.

論文リリース:Relative deprivation in income and mortality by leading causes among older Japanese men and women: AGES cohort study

本日、論文がリリースされました。オープンアクセスです。
J Epidemiol Community Health 2015;69:680-685 doi:10.1136/jech-2014-205103

Socioeconomic factors and health
Relative deprivation in income and mortality by leading causes among older Japanese men and women: AGES cohort study

Open Access

Naoki Kondo1, Masashige Saito2, Hiroyuki Hikichi3, Jun Aida4, Toshiyuki Ojima5, Katsunori Kondo2, 3, Ichiro Kawachi6

http://jech.bmj.com/content/69/7/680.full

書籍刊行「社会と健康: 健康格差解消に向けた統合科学的アプローチ」

書籍「社会と健康: 健康格差解消に向けた統合科学的アプローチ」を刊行しました。医学、公衆衛生学、看護学、福祉社会学、医療社会学、医療経済学など、いのちにかかわる分野の学習や研究を始める人に読んでほしい一冊です。東京大学大学院公共健康医学専攻(School of Public Health)の講義「社会と健康I」のテキストに指定されています。

http://www.amazon.co.jp/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%A8%E5%81%A5%E5%BA%B7-%E5%81%A5%E5%BA%B7%E6%A0%BC%E5%B7%AE%E8%A7%A3%E6%B6%88%E3%81%AB%E5%90%91%E3%81%91%E3%81%9F%E7%B5%B1%E5%90%88%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9A%84%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81-%E5%B7%9D%E4%B8%8A-%E6%86%B2%E4%BA%BA/dp/4130604112

健康格差のメカニズムを探る教科書の決定版

社会的な健康格差は、人間社会の大きな課題である。本書は、この課題に対して社会科学と健康科学の研究者が協力し、さまざまな視点からの分析を試みる。日本のデータやエビデンスを紹介し、社会政策に応用していく際のポイントにもふれる、新たな健康格差研究のテキスト。
★イチロー・カワチ氏(ハーバード大学公衆衛生大学院・教授)推薦
トップクラスの学際研究チームによる5年間のプロジェクトの到達点であり、社会階層と健康に関する最新の知見を網羅した教科書の決定版。医学や公衆衛生学の研究に携わる者だけでなく。社会科学領域の研究者および学生、行政や自治体の政策担当者、そして日本社会における健康格差に関心を持つ全ての人に読んでいただきたい。

【主要目次】
まえがき
序章 社会階層と健康への学際的アプローチ(川上憲人・橋本英樹)
第I部 階層と健康
第1章 社会階層と健康(橋本英樹・盛山和夫)
第2章 職業と健康(堤 明純・神林博史)
第3章 ワーク・ライフ・バランスと労働(大石亜希子・島津明人)
第4章 幼少期の環境と健康(藤原武男・小塩隆士)
第5章 ジェンダーと健康(本庄かおり・神林博史)
第II部 健康格差のメカニズム
第6章 貧困・社会的排除・所得格差(近藤尚己・阿部 彩)
第7章 社会的ストレスと脳神経機能(大平英樹・笠井清登・西村幸香)
第8章 生活習慣の社会格差と健康(福田吉治・宮木幸一)
第9章 都市環境と健康(井上 茂・中谷友樹)
第III部 社会連帯の形成
第10章 社会保障制度(小林廉毅)
第11章 社会関係と健康(杉澤秀博・近藤尚己)
第12章 健康の公平性と倫理(浦川邦夫・児玉 聡)
第13章 国際的な政策対応や取り組み(狩野恵美・藤野善久)