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患者のみなさまへ

代表的な疾患および治療

血管腫・血管奇形

血管腫

赤あざといわれるものの中にはいちご状血管腫や単純性血管腫(毛細血管奇形)、毛細血管拡張症、クモ状血管腫など様々な疾患があります。いちご状血管腫は乳児に最も多い良性の腫瘍といわれており、1歳ごろまでいちご状に隆起します。その後退縮期を迎えると自然に退縮していきますが、何もせずに経過観察していると、色や膨らみは治るものの、治った跡に皮膚のたるみや、細かなシワ、瘢痕などが残る場合が少なくありません。このため、最近ではいちご状血管腫に対しても、早期から積極的なレーザー治療(Vbeam Prima®)や内服治療(ヘマンジオルシロップ®)を行っています。また、その他の血管腫に対してもレーザー治療や外科的治療を行っています。
また、あから顔に対しても自費診療(美容外来)でレーザー治療を行っております。

苺状血管腫
単純性血管腫

青あざ・茶あざ

血管腫ではありませんが、青あざや茶あざの治療も行っています。青あざは、メラニンを生み出す、メラノサイトと呼ばれる細胞が異常に増えた状態で、太田母斑、異所性蒙古斑などがあります。これらの青あざに対して、当院ではQスイッチ付アレキサンドライトレーザーによる治療を行っています。異所性蒙古斑は、通常の蒙古斑がおしり以外の部分に現れたものをいいます。蒙古斑の多くは、10歳頃までに消えてしまいますが、異所性の場合、なかなか消えず、成人後も残ってしまうことも少なくありません。このため、当院では早期からの治療を行っています。広範囲に渡る異所性蒙古斑については、分割して照射するか、全身麻酔下での照射も行っております。また外傷性刺青と呼ばれる、外傷後の異物沈着に対しても、照射による治療が可能です。
茶あざのひとつに扁平母斑と呼ばれる、メラニン色素が異常に増加したものがあります。扁平母斑に対しては、Qスイッチ付ルビーレーザーによる治療が可能です

脈管奇形

動静脈奇形(arteriovenous malformation: AVM)、静脈奇形(venous malformation)、毛細血管奇形(Capillary malformation)、リンパ奇形(lymphatic malformation)があり混在することもあります。血管奇形は血管や骨、筋肉や神経など多くの組織を巻き込んで存在することも多く、周囲組織の合併切除が避けられないことや、完全に取り切る事が困難な場合もあります。治療の困難さから経過観察される場合が多いですが、痛みを伴う場合や、外見の醜形、出血など患者さんの生活に支障をきたす場合もしばしばあります。静脈に異常がある静脈奇形では約半数に痛みを伴いますが、深い病変では外見上は異常がないため、周囲に理解されにくいことも問題となります。動静脈奇形は病変内に流れる血流が多く、重大な出血の原因となります。また重症例では心不全を引き起こすこともあります。
当科では2018年より脈管奇形に対して硬化療法による治療を始めております。この治療は異常血管内に血管をつぶす薬剤を注入することで病変を小さくして、痛みなども和らげることができます。深い位置にある病変やいろんな組織を巻き込んでいる病変にも行うことができる手術に比べて損傷の少ない治療です。また動静脈奇形では硬化療法だけでは効果が出にくいため、カテーテルにて行う塞栓術や切除術と併用しながら治療を進めます。硬化療法を行う時は血管造影にて病変外に硬化剤が流出しないことを確認しながら硬化剤を注入し、合併症の発生予防に細心の注意を払いながら行います。血管奇形は治療の緊急性はないことが多く、そのため治療適応と治療時期については患者ご本人と相談しつつ決定していきます。脈管奇形の中にはレーザー治療や切除手術で治療できるものもあります。

病変を造影しながら硬化剤を注入しているところ
術前
術後
術前
術後