遷延性悲嘆症の評価尺度

遷延性悲嘆症の症状を評価する尺度

※これらの尺度は、研究・治療に個人的に使用する場合は無料でダウンロードしていただけます。 ホームページ等への無断転用はしないでください。

複雑性悲嘆質問票(Inventory of Complicated Grief; ICG)
Prigersonら(1995)によって開発された遷延性悲嘆症の重症度を評価する尺度である(19項目5件法)。 遷延性悲嘆症研究においてもっとも使用頻度の高い尺度であり、原版では信頼性と妥当性が検証されている。 Prigersonらは、26点以上が遷延性悲嘆症に該当すると報告している。本研究では、Shearらの研究に基づき、研究参加基準を30点以上とした。 日本語版は中島ら(2010)によって作成されており、信頼性と妥当性が検証されている。診断にあたっては過去1か月間での症状を評価することがすすめられている。 治療等で重症度の変化を見る場合には過去1週間において評価することも可能である。

参考文献

  • Prigerson, H. G. et al.(1995) Inventory of Complicated Grief: a scale to measure maladaptive symptoms of loss. Psychiatry Res, 59(1-2), 65-79.
  • 中島聡美他(2010). 遷延性悲嘆障害の実態と危険因子に関する研究 -罪責感の与える影響およびソーシャルサポートの役割を中心に―. 明治安田こころの健康財団研究助成論文集, 45, 119-126.

簡易版悲嘆質問票スクリーニング尺度(Brief Grief Questionnaire; BGQ)
Shearら(2006)が開発した5項目からなる(3件法)遷延性悲嘆症のスクリーニング尺度であり、信頼性、妥当性が検証されている。 Shearらの研究では4点以上が遷延性悲嘆症の疑いがあるとされたが、近年の研究(Patelら,2018)では、5点以上の遺族の約80%がICG25点以上に該当したと報告されている。 スクリーニングにあたっては過去1か月間での症状を評価することがすすめられている。治療等で重症度の変化を見る場合には過去1週間において評価することも可能である。

参考文献

  • Shear, K. et al.(2006). Screening for complicated grief among Project Liberty service recipients 18 months after September 11, 2001. Psychiatr Serv, 57(9), 1291-1297.
  • Ito, M. et al. (2012). Brief measure for screening complicated grief: reliability and discriminant validity. PLoS One, 7(2), e31209.

遷延性悲嘆障害評価尺度(Prolonged Grief Disorder; PG-13)
Prigersonら(2009)が作成した遷延性悲嘆障害の診断およびその重症度を評価する尺度である(13項目)。本来は面接によって評価する。 日本語版は中島らによって作成されており、現在信頼性と妥当性の検討が行われている。

参考文献

  • Prigerson, H. G. et al. (2009). Prolonged grief disorder: Psychometric validation of criteria proposed for DSM-V and ICD-11. PLoS Med, 6(8), e1000121.