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仙台医療センターでのその後の取り組み

仙台医療センターでのその後の取り組み

仙台医療センター附属仙台看護助産学校看護科教員・助産師 鎌田 朋美

 2005年以降の仙台医療センターでの死産ケアについて

一枚のメモ書き程度のパンフから始まり、その翌年には「かわいい天使のお母様へ」「可愛い天使のお父様へ」と夫婦それぞれに対するパンフレット(写真1)と死産体験者のサークル紹介パンフレットを渡すまで発展し、今に至っています。また、現在では看護業務規準も存在し、当たり前のケアと化しています。

死児だから生児と別な存在に扱うのか、というと全くそんなことはありません。母であり、子であり、父であり、家族であり・・・、社会的存在は同じです。したがって、名前をつけ、母乳をふくませ、沐浴をし、母子同室し、と可能な限り親子としての絆をふかめてもらえるようケアします。

5年ほど前からは、新たに亡くなった赤ちゃんについてのお話会も年に2回程度で医療センターの母親学級室を利用し開催されています。また、近年では亡くなった赤ちゃんの祖父母や兄弟の心の傷に対するケアの必要性も注目され、ケアを検討している段階です。

 助産師として死産ケアについて思っていること

死産ケアは実のところ、これまでの閉鎖的なケアに対する疑問視から始まり、他施設でケアが重要視されているという事実への衝撃と「先を越された!」という焦燥感から、一部の助産師の活動によって半ば強行的に始まったケアです。当初はもちろん反対派の助産師が多かったのも事実です。

したがって、セレモニーや死児の記録(名づけ、手型足型取り等)を残す、という儀式ばかりが独り歩きをしてしまいました(もしかして今もそうかもしれません)。このケアによって逆に傷ついたり、苦しみを覚えた夫婦もいらっしゃるのではないかと思っています。

実のところ、自分自身もグリーフケアを行って2年目頃に躓きました。「助産師の担うグリーフケアとは何か」ということについての躓きでした。グリーフケアは多職種が多方面から専門的に行っています。カウンセラー、臨床心理士、医師、看護師、助産師etc.・・・・。助産師は、リプロヘルスケアのプロフェッションです。助産師は死産ケアの中で、単に悲しみを癒すケアではプロ的ケアにはならないのです。

助産師は、母(父)親が「子の母(父)」になれるようにサポートすること、死児が「母(父)の子」になれるようにサポートすること、ここに助産師の専門性が必要不可欠であると考えています。

人の「死」は、「身体的な死」と「社会的な死」がある。人はこの二つを認めることで初めて「死」の現実を受け入れることができる。母親は胎内に子を宿した瞬間から子の生を感じています。たとえ、IUFDで心拍が停止したとしても母にとっては子は生きた存在である。それは「社会的な生」であって、母親がその「生」を「死」に変換することが必要になり、そこに助産師の「死産ケア」というサポートが必要とされているのではないでしょうか。

そう考えると、必ずしも「死産ケア」としてセレモニーや死児の記録(名づけ、手型足型取り等)を残す、という儀式が必要か、という点では、人それぞれであり、必要としない場合もあると、私は考えています。

当たり前のことですが、「死産ケア」では心に寄り添うこと、共感すること、同感すること、その結果、ともに涙を流すこと、ともに笑うこと、このような感情的看護ケアも必要になってきますよね。

どうあるべきか、ここに答えは見つかりませんが、医療センターで行われている「死産ケア」は必要なケアのひとつである、と私自身は思います。その中で個々の助産師が専門性について理解を深めていける機会が沢山あるとより素晴らしいケアになるのでは、と日頃願ってやみません。

 

30週で第2子がIUFDだった経産婦のMさん夫婦。出産直後の母子同室の様子。涙を浮かべながらも我が子と過ごす様子には笑顔があったことが印象的でした。

Mさん夫婦のセレモニーの様子です。家族からの手紙と写真を一緒に納棺されていました。赤ちゃんが寂しくならないように、と。

15週で無脳児を人口死産されたTさん夫婦のセレモニーの様子です。こんなにも小さな棺桶もあるのです。

予定日後40週で早剥にて死産された初産Sさん夫婦です。緊急CSでしたが赤ちゃんは助かりませんでした。Sさんは搾乳した母乳をお別れの直前までの数日間、赤ちゃんに何度もふくませました。 

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カウンタ 49229 (2012年4月30日より)