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個人的雑感

個人的雑感

                                 (2017年7月23日 室月淳)

当科に東北大学大学院の連携講座が併設されて8年目になります。これまで3人の大学院生が学位を取得したあと、ほかのところにポジションを得てステップアップし、ここから旅立っていきました。

わたし自身、いつも複数の臨床テーマや研究テーマをかかえてきて、いずれはそれぞれをきちんとまとめあげたいと思ってきましたが、年齢のせいか最近とみに集中力が低下し、なまけものにもなってきました。わたしの残り時間を考えると、すべてを完成するのはとうてい無理なのは火をみるよりあきらかです。

大学院生にテーマを与えて、相談しながら全体の研究計画をたて、そして研究を進めさせる。わたしには、独創的なアイデアや着想をつぎつぎに生みだす才能もなく、また秀でた科学理論も知識も実験手技も持っておらず、設備も研究費もありません。

ただ自分がいつかはまとめよう、完成させようとすこしずつ準備をしてきたことのなかから、独立したテーマをひとつずつ切りわけて、院生に興味をもたせながらそれをやってもらうといった感じでしょうか。位相差トラッキング法しかり、骨系統疾患しかりです。

わたしがやりたくてできなかったことを、彼らが自らの時間と努力を費やしてを進めてくれます。ときにはわたしにはとても思いつかないこと、できそうもないことをなしとげ、予想をうわまわるすばらしい独創的な研究には仕上げてくれます。それはほんとうにうれしいことです。

しかし一方で、わたしがいつかは完成したいとずっと願ってすこしずつでも進めてきたことは、いわばわたしの分身のようなものでもあります。それをそのまま丸ごとゆずって引きつぐことには、一抹の寂寥感を感じるのも正直なところです。後輩の学位研究を指導するというのはわたしにとってはこういったものです。

溢れでるような研究アイデアがわたしにあるのでしたらこんなことを感じることはないのでしょう。すべてはわたしの不徳とするところです。ありがたいことに現在、ふたりの大学院生がわたしの講座にいてくれています。わたしが辞めるまであと何人の大学院生が来てくれるでしょうか。わたし自身なにも残らなくて終わるかもしれませんが、来てくれるひとがいるかぎり最後まで一生懸命教えていくつもりです。

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カウンタ 1138 (2017年7月23日より)