レジデントとして当院で研修をお考えの皆さん、こんにちは。最近ようやく放射線治療という言葉になじみは出てきたものの、放射線治療科ではいったいどういう仕事をしているのか全くわからないという先生が多いことと思います。その原因は医学教育における放射線腫瘍学・治療学の比率、浸透率が非常に低いことにあると思います。もうすでに医学部を卒業され、初期研修も終わった皆さんに教育が足りなかったことを説いても仕方がありませんね。そうです、これから一緒に放射線治療を行い、勉強してゆけばいいのです。
当院は都道府県がん診療連携拠点病院に指定されており、がん治療のプロフェッショナルが診療を行っております。われわれの診療方針の基本はいうまでもなくエビデンスに基づいた診療の実践です。肺がんの診療では症例検討会が毎週行われています。この検討会は全ての肺がん症例がプレゼンテーションされる貴重なカンファレンスで、診療科の分け隔てなく活発なディスカッションが行われています。もちろん当科のスタッフも積極的に参加し、放射線治療の適否や治療内容について内科、外科、病理診断科と一例ずつ丁寧に検討し治療方針を決定しています。
実際の治療については下記を参照してください。
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放射線治療を受ける患者さんは原則、院内の診療科からの併診という形で当科を受診していただきます。治療の適応と判断された場合、患者さんは治療計画CT撮影していただき、その画像を元にわれわれが治療計画端末で照射野、総線量を決定します。作成された放射線治療計画は医学物理士や放射線治療技師によって放射線治療装置に転送され、実際の治療が行われます。治療中は最低1週間に1回、担当医師が診察を行い、腫瘍や正常組織の反応を確認します。疾患にもよりますが、治療終了後は当科でも経過観察することを基本方針としています。
がん治療において放射線治療は根治的な治療から対症療法まで対応可能な、いわばマルチプレーヤーですが、何でもかんでも目の前の腫瘍に対して放射線治療をするわけではありません。症例によっては放射線治療の適応とはならないこともあります。まず養わなくてはいけないのは、診察した症例に対する治療は根治的なのか、姑息的なのか、あるいは対症的な治療を施行すればよいのかを判断する力です。画像診断、病期診断、患者診察、具体的な治療内容など疾患をトータルに理解することが必要とされるわけです。また、がん治療はスタート時点での治療方針が治療成績や患者さんの予後を大きく左右します。したがって、こういったいわば仕分け作業が非常に重要であり、われわれ腫瘍医の実力を発揮できる仕事であると考えています。
先述の通り治療計画CTで得られた画像を元に治療計画を行います。そのため、画像所見をとらえることができないと全く治療計画ができないということになります。実際の治療では肉眼的な腫瘍以外に微視的な進展範囲や予防的な領域も標的に含めます。したがって疾患ごとの病巣の進展形式やリンパ節転移をきたしやすい部位などについて理解する必要があります。当科では各疾患別に専門医による指導が可能です。
放射線治療において計画通り放射線が照射されるためには、治療計画の物理学的な妥当性の検討や、放射線治療機器の管理が非常に重要です。そういった物理的な仕事は医学物理士や品質管理士が行います。一方、放射線治療医には正常臓器や腫瘍の反応をとらえることで、正しく放射線治療が施行されていることを確認することが要求されます。いいかえると生物学的に放射線品質管理をするということになります。
研修を終えてどういう道に進もうか悩んでいる皆さん、当科で放射線治療に従事しませんか。そこから自分の道が開けることもあるでしょうし、もちろん放射線治療専門医になることができます。現在、日本には放射線治療専門医が約1000人しかいません(2014年3月1日現在)。チャンスだとは思いませんか?
われわれ放射線治療医は放射線治療の知識だけではなく、手術療法、化学療法の最低限の知識がないと真のRadiation oncologistとはいえません。また前述の通り、画像診断能力は非常に重要です。放射線診断科の先生のような全疾患の診断は無理でも、専門臓器・疾患の診断すべて(CT、MRI、内視鏡など)に精通している必要があります。私たちもまだ完全とは言えませんが、世界に通用するRadiation oncologistになるために日々努力しています。一緒に研鑽を積みませんか。ぜひ当科での研修をご一考ください。
最後に、当科はとっても明るい科ですよ。