心への影響と対処
病名を告げられることによる心への影響
更新・確認日:2021年7月21日
がんと診断された時、信じられない気持ちになったり、自分のことではないような感覚になったりしたかもしれません。あるいは、「なぜ僕が・・・」、「なぜ私が・・・」と思われたかもしれません。これらの反応は、病気の診断後に多くの人の心に起こることとして知られています。個人差はありますが、時間の経過にともない診断直後の衝撃は少しずつ和らいでくることでしょう。多くの人は、日常生活に支障がない程度にまで心の状態が回復するといわれています。ですが、中には、専門家のサポートや治療が必要な人もいます。「患者必携 がんになったら手に取るガイド普及新版」の「第1部 ”がん”といわれたとき 3.がんと言われたあなたの心におこること」(がん情報サービスへリンク)が参考になるでしょう。
また、身体に負担がかかる検査や治療が継続して、なかなか自分の気持ちを見つめることが難しいことがあります。このような状態が続くと、あとで身体症状があらわれたり、眠れなくなったりするかもしれません。つらく感じた時には、一人で我慢せずに、主治医、看護師、精神科医、心理士(がん情報サービスへリンク)やがん相談支援センター(がん情報サービスへリンク)などに相談してみるとよいでしょう。
診断後のこころの状態が徐々に回復してくると、学校、仕事、周りの人々との関係性など日常生活に対する心配事や将来の見通しへの不安が、大きくなっていくかもしれません。がんの診断の時期が、進学を考えたり、就職を考えたりする時期に重なっているとなおさらだと思います。思春期・若年成人(AYA)期に病気にかかる人の数は増えているといわれていますが、15~39歳にがんと診断される人は年間2万人強であり、まだまだ全体数からみると少数です。あなたの周りには同じ病気を経験した人は見当たらないかもしれません。また、学校などの友達に病気や自分の心配事・不安について、「話してもわかってもらえない」と思ってしまい、孤独を感じることがあるかもしれません。
時間が必要かもしれませんが、心の準備ができたら、あなたが心から信頼する人に相談してみたり、同年代のがん経験者と経験を共有する場(患者会など)へつながりを持ってみたりしましょう。もちろん、あなたが病院で会っている主治医や看護師に、あなたの気持ちについて話してみるのもよいでしょう。あなたは、ひとりぼっちではありません。あなたと気持ちを分かち合い、これからのことを一緒に考えてくれる人たちに出会えるかと思います。
参考文献
- Holland JC, Andersen B, Breitbart WS, et al. Distress management. Journal of the National Comprehensive Cancer Network 2013; 11: 190-209.
- Zebrack B, Isaacson S. Psychosocial care of adolescent and young adult patients with cancer and survivors. Journal of Clinical Oncology 2012; 30: 1221-1226.