身体への影響と対処
外見(傷跡・脱毛・皮膚・爪・体重)
更新・確認日:2023年11月13日
がんの治療によって、傷跡、脱毛、皮膚変化、体重の増加や減少などの一時的あるいは長期的な外見の変化を伴うことがあります。特に思春期・若年成人(AYA世代)の人にとって、外見の変化はとても気になることかもしれません。自分らしくない、自分を肯定的に捉えられない、友達や周囲の人の反応が不安といった気持ちになる人もいます。
ここでは、がん治療により起こりうる外見の変化とその対処法、相談窓口について紹介します。
傷跡への対処
首や顔などの手術の傷跡が気になる場合、 衣類や化粧品、ファンデーションや肌色のスキンテープなどでカバーする方法があります。がん診療連携拠点病院(がん情報サービスへリンク)であれば、外見のケアについて、国立がん研究センターの研修を受けた医療者がいる場合があります。また、各病院独自で取り組んでいるところもありますので、診察を受けている医師や看護師、またはがん相談支援センター(がん情報サービスへリンク)に相談してみるとよいでしょう。
- 傷跡が盛り上がったり、ミミズ腫れのようになったりした場合には、主治医や看護師など医療者に相談しましょう。適切な治療で目立たなくすることが可能な場合があります。
脱毛への対処
- 脱毛(頭髪、まゆげ、まつげ)の程度は、治療の種類、抗がん剤の種類や組み合わせによりますが、個人差もあります。主治医や看護師に、治療開始後どのくらいで抜け始め、治療終了後どのくらいで生えてくるかを確認してみましょう。
- 頭髪の脱毛への対処は人によって違います。ウィッグ(かつら)や帽子を身に着ける人もいれば、脱毛を隠さないで過ごす人もいます。自分に合った対処方法を考えてみましょう。
- ウィッグは、より自分に似合うように、顔周りなどをカットして使うこともできます。ウィッグ販売店や行きつけの美容室などに相談してみてもよいでしょう。
皮膚の変化・対処
- 化学療法や放射線療法による皮膚の乾燥について、皮膚を清潔に保ち、保湿(乾燥やひび割れの予防)、保護(紫外線、まさつなどの刺激を避ける)をおこないましょう。
- 化学療法や放射線療法による色素沈着が気になる部位には、衣類や化粧品を用いるなど、様々な方法で目立たなくすることができます。担当の医療者や相談支援センターに相談してみましょう
- 分子標的薬の中には、にきびのような発疹が出ることがあります。そのような場合は主治医または皮膚科医に相談しましょう。スキンケアの詳細については、以下のウェブサイトを参考にしてみてください。
爪の変化・対処
- 化学療法による爪の色の変化や、もろさや欠けに対しては市販のマニキュアを塗ることでカバーや補強をすることができます。ただし、ジェルネイルは、爪を薄く削ったり、長期間爪の変化を見えにくくしてしまうため、勧めません。
- 痛みを伴う爪の変形、爪周囲の赤み・化膿がある場合は主治医または皮膚科医に相談しましょう。
例. 化学療法による爪の変化
頭髪の脱毛、スキンケア、メイクアップ、ネイルケアの詳細については、以下のウェブサイトを参考にしてみてください。
体重増加への対処
- 治療によって食欲が増し体重が増えることがあります。高カロリーな食べ物を減らし、運動量を増やすことで、適正体重に減量・維持できるようにしましょう。
- 運動は主治医と相談して行いましょう。
- むくみが原因で体重が増える場合もあります。そのような場合は医師に相談しましょう。
体重減少への対処
治療の影響や、治療中の食欲低下が回復しない場合などは、体重が減ることがあります。がん治療後の体重、運動、食事については、主治医と相談しましょう。以下のウェブサイトを参考にしてみてください。
- カロリーが高めのものを摂取するようにしましょう。
- 1日3食にこだわらず、少量ずつ、食べる頻度を多くする方法もあります。
- 適度な運動により食欲が出ます。散歩や買い物、軽めのエクササイズなどできる運動から始めてみましょう。
1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安については、以下のウェブサイトが参考になるでしょう。
相談窓口
どこに相談したらよいかわからない場合は、まずは、がん相談支援センター(がん情報サービスへリンク)に聞いてみましょう。もし、がん相談支援センターやアピアランスケア(※1)を専門とする部門がない場合でも、身近な医療者(医師、看護師、薬剤師、心理士(がん情報サービスへリンク)、ソーシャルワーカー(がん情報サービスへリンク)、栄養士など)に相談してみましょう。
※1「アピアランスケア(外見ケア)」とは、治療による外見の変化を整え、つらい気持ちを和らげる専門的ケアのこと。
アピアランスケア(外見ケア)の詳細については、以下の医療者向けの書籍も参考になります。
『がん治療におけるアピアランスケアガイドライン 2021年版』日本がんサポーティブケア学会編, 金原出版株式会社, 2021.
参考文献
国立がん研究センター研究開発費がん患者の外見支援に関するガイドラインの構築に向けた研究班編. がん患者に対するアピアランスケアの手引き2016年版. 金原出版; 2016.
国立がん研究センターがん情報サービス(ウェブサイト).薬物療法もっと詳しく(閲覧日2021年8月3日)
国立がん研究センターがん情報サービス(ウェブサイト).皮膚と爪のトラブル もっと詳しく~がんの治療を始めた人に、始める人に~(閲覧日2021年8月18日)