また、バイタルサインの把握の重要性や、重症度に応じた診察アプローチ(H&P症例 vs. ABC症例)の判断基準が示されています。時間がない中でも「通しの身体診察」を実践するための具体的な流れとして、頭部から始まり、頸部、胸部(呼吸音、心音)、腹部、背部、四肢、そしておおまかな神経診察に至るまでのポイントが詳細に解説されています。各部位の診察における所見の意義や、カルテ記載の具体例も示されており、実臨床での活用が期待される内容です。
前回の記事では、一般的な従来使用されてきたという意味でのワクチンのシェディングの例を文献を引用して説明しました。そして、レプリコンワクチンに対する懸念として拡散されている「シェディング」が従来使用されていたのとは違う意味だという点、根拠とされるSeneff氏の文献は直接の根拠を示さず、引用文献を引いているのみだという事を記載しました。今回の記事ではSeneff氏が根拠として引用しているLucchetti氏の論文(Lucchetti et al., 2021)を見てゆきます。
タイトル
Detection and characterisation of extracellular vesicles in exhaled breath condensate and sputum of COPD and severe asthma patients
Lucchetti, D., Santini, G., Perelli, L., Ricciardi-Tenore, C., Colella, F., Mores, N., Macis, G., Bush, A., Sgambato, A., & Montuschi, P. (2021). Detection and characterisation of extracellular vesicles in exhaled breath condensate and sputum of COPD and severe asthma patients. 58(2), 2003024. https://doi.org/10.1183/13993003.03024-2020
具体的な例を挙げると、五価ロタウイルスワクチン(RV5)の初回接種後、21.4%の乳児で最大9日間にわたってシェディングが確認されました(Yen et al., 2011)。また、別の研究では、初回接種後5〜10日で93%の乳児がワクチン関連の粒子を排出し、その中でG1という遺伝子型が主に見られました (Markkula et al., 2019)。
RV5とRotarix(RV2)という2種類のロタウイルスワクチンを比較した研究では、シェディングの割合は似ているものの、RV2を接種した人の方がより多くのウイルスを排出していることが分かりました(Hsieh et al., 2014)。
一方で、経口狂犬病ワクチン(SPBN GASGAS)に関する研究では、様々な動物種において24時間以上感染性ウイルスの活発なシェディングは見られず、水平感染のリスクは最小限であることが示唆されています (Vos et al., 2018)。
それにもかかわらず、レプリコンワクチンにシェディングの懸念があると主張するウェブサイトが存在しますが、根拠データは直接は示されていません。当該声明では、Seneff, S., & Nigh, G. (2021). Worse than the disease? Reviewing some possible unintended consequences of the mRNA vaccines against COVID-19. International Journal of Vaccine Theory, Practice, and Research, 2(1), 38-79.の文献を引用していますが、この文献はPubMedには掲載されていないため、検索にかかりません。
Seneff氏は、レプリコンワクチンについて論じている訳ではないのですが、mRNAワクチンでの「スパイクタンパク質のシェディング」を論じていました。その直接的な根拠となるような観察の記録データは記載されておらず、代わりにLucchetti氏らの論文(Lucchetti et al., 2021) を引用しています。Lucchetti氏らの論文はPubMedに掲載されていますので、この記事でもReferencesの中に書誌事項を記載しておきます。Lucchetti氏らの論文ではどのような研究がなされているのかは別記事にしようと思いますが、このSeneff氏の文献のシェディング周りの部分をもう少しだけ見ておこうと思います。
この部分を機械翻訳しました。
インターネット上では、ワクチン接種者が近くにいる未接種者に病気を引き起こす可能性についての議論が多くあります。これは信じがたいかもしれませんが、脾臓の樹状細胞から誤って折りたたまれたスパイクタンパク質を含むエクソソームが放出され、他のプリオン再構成タンパク質と複合体を形成することで起こり得るというもっともらしいプロセスがあります。これらのエクソソームは遠くまで移動することができます。肺から放出され、近くの人が吸い込むことも不可能ではありません。エクソソームを含む細胞外小胞は、痰、粘液、上皮内液、気管支肺胞洗浄液において呼吸器疾患と関連して検出されています(Lucchetti et al., 2021)。
Hsieh, Y.-C., Wu, F.-T., Hsiung, C. A., Wu, H.-S., Chang, K.-Y., & Huang, Y.-C. (2014). Comparison of virus shedding after lived attenuated and pentavalent reassortant rotavirus vaccine. 32(10), 1199–1204. https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2013.08.041
Lucchetti, D., Santini, G., Perelli, L., Ricciardi-Tenore, C., Colella, F., Mores, N., Macis, G., Bush, A., Sgambato, A., & Montuschi, P. (2021). Detection and characterisation of extracellular vesicles in exhaled breath condensate and sputum of COPD and severe asthma patients. 58(2), 2003024. https://doi.org/10.1183/13993003.03024-2020
Markkula, J., Hemming-Harlo, M., & Vesikari, T. (2020). Shedding of oral pentavalent bovine-human reassortant rotavirus vaccine indicates high uptake rate of vaccine and prominence of G-type G1. 38(6), 1378–1383. https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2019.12.007
Vos, A., Freuling, C., Ortmann, S., Kretzschmar, A., Mayer, D., Schliephake, A., & Müller, T. (2018). An assessment of shedding with the oral rabies virus vaccine strain SPBN GASGAS in target and non-target species. 36(6), 811–817. https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2017.12.076
Yen, C., Jakob, K., Esona, M. D., Peckham, X., Rausch, J., Hull, J. J., Whittier, S., Gentsch, J. R., & LaRussa, P. (2011). Detection of fecal shedding of rotavirus vaccine in infants following their first dose of pentavalent rotavirus vaccine. 29(24), 4151–4155. https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2011.03.074