臨床医のための分かりやすいグリオーマ遺伝子診断
- これでもかなり単純化したものです
- 正式には,2021年HWO分類です
- 一般病院でもできる免疫組織染色です
- 必要なのは,IDH1-R132H, nuclear ATRX, H3-K27M,H3.3 G34に対する抗体です
- ただし,第1染色体短腕と第19染色体長腕の欠失(1p/19q loss)は,FISHで染色体を見なければなりません
- まずIDHの変異をみるところからスタートします,それからATRXをみます
- IDH wild-typeの場合は,IDH DNAシークセンスが必要となります
注意
- molecular diagnosisが客観的で正しいとは思い込まない方がいいです
- 免疫組織染色,FISH,PCR解析でも分子診断が,見た目の組織診断より正しいとは限りません,あくまでも組織診断との整合性があっての診断です
- 遺伝子診断の確実性が極めて高い場合には,組織診断と矛盾があっても遺伝子診断名をとります
びまん性グリオーマ 2021年の分類は6種類
1. 乏突起膠腫グレード2か3
IDH mutant, nuclear ATRX retained, 1p/19q codel
2. 星細胞腫グレード2か3
IDH mutant, nuclear ATRX lost, CDKN2A/B retained
3. 星細胞腫グレード4 IDH変異型
IDH mutant, nuclear ATRX lost, CDKN2A/B homozygously deleted
4. 膠芽腫
IDH wild type, nuclear ATRX retained, typical histology or TERT, EGFR, +7/-10
5. びまん性半球性グリオーマ グレード4 H3.3 G34変異型
IDH wild type, nuclear ATRX lost, H3.3 G34 mutant, age<50
6. びまん性正中グリオーマ グレード4 H3 K27M変異型
IDH wild type, nuclear ATRX retained, H3 K27M mutant
画像上正中にあるもの midline location
このタイプは必ずH3-K27M染色を行います,変異があった時には,
H3-K27M変異のあるびまん性正中グリオーマ
引用: Weller M, et al.: European Association for Neuro-Oncology (EANO) guideline on the diagnosis and treatment of adult astrocytic and oligodendroglial gliomas. Lancet Oncol 2017(見やすい図が原著にはあります)