類上皮膠芽腫 epitheloid glioblastoma
- 小児と若い成人に発生します
- WHOグレード4で,膠芽腫よりもさらに悪性度が悪いグリオーマです
- 間脳(視床,視床下部)に好発します,大脳表面にもみられます
- MRI画像は,膠芽腫ととても似ています
- 特徴として,腫瘍内出血がみられ,発症時にすでに髄膜浸潤があることが多いです
- 高率に髄液播種します
- 全身転移することがあります
- 生命予後は不良で半年くらいと言われます
病理
- 膠芽腫に似た病理像です
- 突起のない好酸性胞体を有する大きなepitheloid cells,空胞化したクロマチンと明瞭な核小体が特徴です
- ラブドイド膠芽腫 rhabdoid glioblastomaにも類似する組織像で,同一視されることもあります (epithelioid/rhabdoid GBM)
- pleomorphic xanthoastrocyotomaに混在することがあります
- epithelial gliblastomaというのはまた異なった病理診断であり,成人に発生して上皮様分化 squamous epithelial differentiationを示します
- 半数くらいにBRAF V600E遺伝子変異をみます
治療
- 膠芽腫に準ずる治療がなされます
- 開頭手術による摘出
- 局所放射線治療 60グレイ
- 従来の治療に抵抗性のものには,BRAF阻害剤のタフィンラー(ダブラフェニブ)とメキニスト(トラメチニブ)の併用投与が保険診療でできます
- BRAF v600遺伝子に変異のある例で,タフィンラーカプセル(ダブラフェニブ,BRAF阻害剤),メキニスト錠(トラメチニブ,MEK阻害剤)を経口投与するものです
文献
vemurafenibが有効であった
Lin Z : Effective treatment of a BRAF V600E-mutant epithelioid glioblastoma patient by vemurafenib: a case report. Anticancer Drugs 2022
37歳男性で,BRAFv600EとTERTの変異がありました。IDH wild-typeです。vemurafenibが投与され手術後残存腫瘍が15ヶ月増大しなかったそうです。
BRAFとMEK-1/2阻害剤の効果
Venkatesh A: Response to BRAF and MEK1/2 inhibition in a young adult with BRAF V600E mutant epithelioid glioblastoma multiforme: A Case Report and Literature Review. Current Probl Cancer 2021
dabrafenib and trametinibの治療で長期の奏功があったとの症例報告です。