A07

Q07 感覚過敏のような特徴(くつ下のつま先が気になる、下着の襟元やそで口が気になる、パーソナルスペースが狭いなど)は、吃音に関係があったりするのでしょうか?

A: ご質問ありがとうございます。また、研究へのご協力深く感謝致します。メールマガジン14号の<ひといちばい敏感な子>の記事をお読みいただいたのかと思います。

これまで行われた吃音のあるお子さんの気質を調べた研究では、吃音のあるお子さんの中に、「繊細」で「過敏」なお子さんが多いことが指摘されています(ギター, 2007)。ただし、これらの研究では、人見知りがある、新しい環境に慣れるのに時間がかかるなどの発話・コミュニーション場面での「繊細さ」、「過敏さ」に言及したものがほとんどであり、ご質問にある「感覚過敏」についての言及はほとんどされていません。

実際に吃音のあるお子さんの支援を行うと、手が汚れるのが嫌で砂遊びが出来ないなどの感覚過敏の傾向があるお子さんと出会うことがあります。しかし、吃音のないお子さんの中にも、このような感覚過敏を持つ子どもはいらっしゃいます。そこで、吃音のあるお子さんに感覚過敏のお子さんが多いかを明らかにするためには、吃音のあるお子さんとないお子さんとで感覚過敏の出現状況を比べる研究が必要です。

感覚過敏とは別の感覚に関する個性として、1つの感覚の刺激から、他の複数の感覚が呼び起こされる「共感覚」というものがあります(吃音とは関係ありません)。例えば、特定の数字にそれぞれ色がついて見えるという人もいます(たくさんの文字の中で特定の数字を簡単に見つけることができます)。味の記憶が特定の楽音や音色と結びついているために、同じ味だということが確実にわかったりする人もあります。共感覚は少数ですがありますので、(多少変わってはいますが)異常だとかウソだとか言って共感覚の持ち主を責めることがないようにしたいものです。

なお、吃音のあるなしにかかわらず、感覚過敏があるお子さんに対しては、感覚過敏を叱責したり、無理矢理変えてしまおうとしたりしないで、どうしても気になってしまう気持ちを理解するとともに、徐々に少しずつ過敏さを和らげるようにするのが有効と考えられます。

参考書籍:
  • エレイン・N・アーロン著, 明橋大二訳: ひといちばい敏感な子. 1万年堂出版, 2015.
  • バリー・ギター著, 長澤泰子監訳: 吃音の基礎と臨床. 学苑社, 2007.

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