A06-3-2 吃音のある方への対応について
(3) 友達同士の関わり
吃音のあるお子さんが、周りのお友達から「なぜそんな言い方するの」と聞かれた場合、自分にもなぜかわからないので、戸惑っていることが多く、場合によってはいじめられていると感じるということもあります。吃音のある方々のお話において、傷ついた経験、吃音に対してマイナスの意識を強く持つようになった経験として、吃音に対するからかい・いじめがあります。友達に笑われたり、真似をされたりすることは、そのお子さんの心を傷つけ吃音を悪化させます。子どもは単純に面白がって真似をしたり、笑ったりしますので、そのような現場を見た場合は、大人がきちんと取るべき態度を表明したいものです。真似をしたり、からかっているお子さんには、「わざとじゃないから真似しないでね」「そういうことを言うと話しにくくなるからやめてね」と伝えます。そして吃っているお子さんには、「きちんとお話が伝わったよ」というメッセージを伝え、吃音を悪いこと・いけないこととして捉えることがないようサポートしていくことが大切です。
(4) 吃音がある方の思い
吃音のある方々のお話を伺うと、「落ち着いて」「ゆっくり」などと、周りから話し方についてアドバイスされることは、どちらかというと不快だったという意見があります。「落ち着いても、ゆっくり話そうとしても、どもるんだ」という事実を分かってもらえないこと、また話し方についてアドバイスされることで、話の内容を聞いてもらえていない感じがすることが不快に感じる原因です。周囲は、良かれと思って「ゆっくりで大丈夫だよ」「リラックスしてね」などのアドバイスをしていることが多いと思いますが、そのように言われても、かえって話し方に注意が向いてしまって話せなくなることもあります。
本人に落ち着くよう伝えるよりも、落ち着いてゆっくり話せるような状況を作り出すことが、吃音のある方々への手助けになります。吃音のある方の話では、「そっと優しい口調で、話そうとしていることばを予想して言ってくれてありがたかった」という意見もありますが、子供への対応で書いたように、言いたいことと違う展開になって困るという意見もあります。また「どもったことより、その質問に対してちゃんと返してくれた」という、嬉しかった経験の報告もあります。「特別なことは何もしなくていい」「皆と同じように接してくれればいい」という意見もあります。
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