我々の夏の終わりの恒例行事と言えば「肺がん画像診断セミナー in DAIBA」であります。平成24年も以下の日程で開催しました。
肺がん画像診断セミナーは、帝京大学医学部腫瘍内科の江口研二教授が毎年夏季期間に主催しております「寺子屋形式」の肺がんの画像診断の勉強会です。今回は第15回です。
開催日時 | : | 平成24年9月22日(日)~23日(月) 11時開始、終了19日お昼 |
会場 | : | ホテルグランパシフィックLE DAIBA(東京都港区台場) |
セミナーについて | : | 「寺子屋形式」の7回の読影演習と教育講演とし て胸部のCTや胸部写真の読影の基礎を徹底的にやります |
対象 | : | 内科医、外科医、放射線科医、パラメディカル、誰でも歓迎です |
事務局 | : | 神奈川県立がんセンター呼吸器内科 |
このセミナーは肺がんの画像診断を広く普及させるために、平成10年夏の終わりに、愛媛県の道後温泉で若手の医師を対象に開催されるようになりました。平成13年からは神奈川県、現在はお台場に場所を移し、開催しております。セミナーのキャッチフレーズとして「寺子屋形式」と標榜しています。それは、シャーカステンやモニターの前で、一枚一枚の胸部写真や胸部CT画像を講師と参加者が膝を突き合せて読影し、病理所見や手術所見と対比するという趣旨のセミナーなのです。肺がんの画像診断学をその基本から応用編まで勉強する会です。現時点でも対象は全国の若手の医師やパラメディカルであり、肺がんの画像診断の「いろは」を学びたい方の道場を目指しているものです。なお、私は平成17年から、セミナー事務局としてお世話しております。
近年、肺がんの件数は年々増加の一途をたどっています。最近では、若年者から高齢者に至るまで幅広い年齢層に肺がんが見つかっています。肺がんの診断の入り口は、今の時代でも1枚の胸部単純写真でありますが、医者であれば誰でも行うこの胸部写真の読影こそが一番難しいものなのです。もちろん、最近では胸部CTやMRI、PET-CTなどの最新機器が広く普及するようになっており、肺がんの診断は一見分かりやすくなったように感じるご時世になったと言えます。しかしながら、現行の医学部の教育はあまりにも専門的になりすぎており、胸部写真をじっくり読むという機会が徐々になくなっているのも事実です。そこで、全国の若手医師にじっくり肺がんの画像診断に浸かっていただく時間を作るのを最大の目標としております。
今年のセミナーの参加者は全国から集まった約60数名でした。読影演習は近藤哲郎先生(神奈川がんセンター)、 関 順彦先生 (帝京大学)、佐藤 功先生(香川県立保健医療大学)、森谷浩史(大原医療センター)、齋藤春洋先生(神奈川がんセンター)、村上修司先生 (神奈川がんセンター)、横瀬智之先生(神奈川がんセンター)であり、シャーカステンやモニターを前に実際の症例を読影する演習を60分間計7回行いました。また、黒崎敦子先生(複十字病院)と川野 剛先生 (神奈川がんセンター)、駒瀬裕子先生(聖マリアンナ医科大学)には60分ずつ「胸部写真の読み方」、「PET-CT」および「非がん性病変の画像と病態」の教育講演をお願いしました。ほぼ24時間肺がんの読影にどっぷり浸かる時間をみんなで共有し、次の日からの診療に新たな気持ちで向かう決意を固めることができた有意義なセミナーであったと思います。