新しい薬や治療方法は、その安全性や有効性が従来の方法に勝る、少なくとも劣らないことが確かめられて初めて標準治療となります。すなわち、ある病気に対して一番用いるべき治療となるのです。科学技術の進歩により、新しい薬や治療方法が日々開発されてくるのですが、それが安全にできるものなのか、効果が十分にあるのかを確かめなければなりません。このような取り組みによって、患者さんご自身に、あるいは将来の患者さんに、より良い治療を提供することができることになるのです。
新しい薬や治療法は、思わぬ副作用が生じることがあるかもしれません。あるいは思ったほどの効果が見られないということもあり得ます。患者さんの体にははそれぞれ個人差があり、同じ治療でも、効果が得られる方と、そうでない方がいます。より多くの方に効果が期待できる治療法、あるいは、それぞれの患者さんに合うように治療法や薬剤を調節できる方法を見つけられれば、より多くの患者さんにより良い治療を提供できるようになります。
新しい標準治療を確立していくためには、副作用や治療効果を正確に判断・記録し、正しく分析しなければなりません。そのためには、少ない患者さんの治療結果だけでは判断できません。多くの患者さんに参加していただいて、かつ、治療法の選び方、効果や副作用の判断、記録の仕方、情報の分析の仕方を工夫しなければなりません。このような、新しい治療法の安全性と有効性を科学的に調べるのが「臨床試験」です。
現在標準とされている多くの薬や治療法や薬剤も、国内外での臨床試験によって確立され、進歩してきました。これまでに行われた臨床試験に多くの患者さん方が協力してくださったことで、現在の治療が作り上げられてきたと言っても過言ではありません。
このように、臨床試験は医療の進歩のため行わなければならないものなのです。当センターで治療を受ける際に、私たちから臨床試験への参加をお願いすることがあると思いますので、ご協力をお願いします。
臨床試験に参加されるかどうかは患者さんの自由意志で決めることができますし、参加をご承諾いただいても、後で撤回することもできます。不参加により、何らかの治療上の不利益をこうむることは決してありません。
現在呼吸器グループで行っている研究についてご案内します。