一般社団法人 日本老年学的評価研究機構 設立記念シンポジウムを開催

2018年7月8日(日)に東京大学鉄門記念講堂で一般社団法人 日本老年学的評価研究機構(JAGES) 設立記念シンポジウムを開催し、司会を務めました。

民産官学が連携して地域共生社会づくりをどのように進めて行くかについて多面的な立場から議論しました。当日は約150名の方にご来場いただきました。誠にありがとうございました。

シンポジスト
JAGES 機構 代表理事 近藤克則
厚生労働省社会・援護局地域福祉課 課長補佐 吉田貴典氏
経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 課長補佐 岡崎慎一郎氏
株式会社ドリームインキュベータ 執行役員 三宅孝之氏
NHK 2020東京オリンピック・パラリンピック実施本部 副部長 神原一光氏

指定発言者
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)国際事業部 国際連携研究課 調査役 鈴木友理子氏

論文出版:閉じこもり男性 要介護重症化リスク 2.1倍

特任研究員の齋藤順子を筆頭とした論文が疫学の国際学会誌 Journal of Epidemiologyに掲載されました

高齢者の閉じこもりは、将来の寝たきりや死亡リスクの増加につながるとされ、現行の介護予防施策でもその重要性が認識されています。

本研究では要介護認定を受けた高齢者のその後の要介護度の変化パターンを抽出し、各パターンと閉じこもりとの関連を調べました。

その結果、男女ともに3つのパターンが抽出されました。要介護度が徐々に悪化するパターンを基準とした場合、閉じこもりがちな生活を送っている男性は、調査開始時の手段的日常生活動作(IADL)や主観的健康観などの影響を調整した後でも、そうでない男性に比べて2.14倍、中等度の要介護状態が続くパターンに所属しやすいことが分かりました。女性においてはそうした関連はみられませんでした。

男性高齢者においては、閉じこもりを予防することが、要介護状態になった後により程度の軽い経過をたどることにつながるかもしれません。

本研究ではJAGES(日本老年学的評価研究)のデータを分析しました。

プレスリリースはこちら

3演題がプレゼンテーション・アワードを受賞

2018年6月に三重県津市で行われた日本プライマリケア連合学会学術総会にて、大学院生の雨宮 愛理、西岡大輔、特任研究員の長谷田真帆の3名が「プレゼンテーションアワード」を受賞しました

学会からの発表はこちらです。おめでとう!

O-001 社会的処方の事例と効果に関する系統的レビュー:普及に向けた課題整理
西岡 大輔(東京大学大学院 医学系研究科 健康教育・社会学分野)

O-143 地域のソーシャル・キャピタルと高齢者の要介護度改善の関連:JAGESコホート研究
雨宮 愛理(東京大学大学院 医学系研究科 健康教育・社会学分野)

O-187 高齢者の熊本地震後の居住環境変化と歩行時間減少の関連:JAGESコホート研究
長谷田 真帆(東京大学大学院医学系研究科 健康教育・社会学分野)

 

大学院生雨宮愛理さんが学会での研究賞受賞

2018年6月に三重県津市で行われた日本プライマリケア連合学会学術総会にて、大学院生の雨宮 愛理さんが「地域ケアネットワーク賞 研究部門」を受賞しました。

 

受賞下演題は以下です。

雨宮愛理、近藤尚己、長谷田真帆、西岡大輔、近藤克則

「地域のソーシャル・キャピタルと高齢者の要介護度改善の関連:JAGESコホート研究」

健康格差に関する行動指針を発表しました

2018年6月16日、三重県津市で開催されました日本プライマリ・ケア連合学会学術総会にて、

シンポジウム:三重宣言2018「健康格差に対する見解と行動指針」声明文の作成手順・構成と健康格差の現状

報告しました

同学会の健康の社会的決定要因検討委員会の副委員長として同指針の策定にかかわりました。

指針の全文はこちらから読めます。

地域包括ケアに役立つコミュニケーション促進のための「道具箱」リリース

地域包括ケアシステムづくりには、多様な職種や組織都の連携が不可欠です。それをコーディネートする保健師等の専門職の皆様からは、連携のための会議運営や別組織とのやり取りに関する苦労の声が絶えません。

このたび近藤尚己が研究代表を務める日本医療研究開発機構(AMED)研究課題「地域包括ケア推進に向けた地域診断ツールの活用による地域マネジメント支援に関する研究」の一環として、そのような場面で役立つコミュニケーションのノウハウが詰まった資料を発行しました。分担研究者である静岡文化芸術大学の河村洋子准教授による出版物です。

地域包括ケアシステムの構築に役立つコミュニケーション促進のための「道具箱」

以下説明文を転記します。

長寿は喜ぶべきものですが、社会全体ではそのことで生じる負荷によりジレンマに直面していると言えるのかもしれません。私たちは、国の大きな仕組みが変わらなければ、自分たちで何もできないのか。「そうではない」というのが「地域包括ケアシステム」なのだと思います。自分たちでみんなでできるところで力を合わせてできることがあるはず。力を合わせる「みんな」には、「良い関係性」が必要です。さらに、「良い」関係性とは「お互いさま」の関係性だと言えます。そのためには日々のコミュニケーションが重要です。

とても小さい規模感と感じられるかもしれませんが、「お互いさま」の関係性をつくるために、質の良い、心が行き交うコミュニケーションをかたちにするお手伝いをすることが、この「道具箱」の目的です。
また、「介護予防のための地域診断データも活用と組織連携ガイド」は、地域包括ケアシステム構築プロセスの全体をガイドしてくれるとてもいいガイドがすでにある中で、この「道具箱」が何をしようとしているのか?コミュニケーション活動を工夫することで、ガイドのタイトルにある「連携」しやすくすることができる。この工夫のアイデアをこの「道具箱」は提案します。

書籍発行:Japan Health System Review

日本の保健システムの最新の動向と今後の計画をまとめた英文書籍Japan health system reviewがAsia Pacific Observatory on Health Systems and Policiesから出版されました。

世界保健機関等が監修するHealth in Transitionレポート日本版の最新稿です。

本文はすべてここからダウンロードできます。

日本語のサマリーもここに掲載されています。

著者:

Haruka Sakamoto, The University of Tokyo
Mizanur Rahman, The University of Tokyo
Shuhei Nomura, The University of Tokyo
Etsuji Okamoto, University of Fukuchiyama
Soichi Koike, Jichi Medical University
Hideo Yasunaga, The University of Tokyo
Norito Kawakami, The University of Tokyo
Hideki Hashimoto, The University of Tokyo
Naoki Kondo, The University of Tokyo
Sarah Krull Abe, The University of Tokyo
Matthew Palmer, The University of Tokyo
Cyrus Ghaznavi, The University of Tokyo
Edited by:
Kenji Shibuya, The University of Tokyo
Stuart Gilmour, The University of Tokyo
Kozo Tatara, Japan Public Health Association

 

 

論文出版:災害後の仮設住宅住まいの子どもが肥満傾向に

2011年の東日本大震災後の小学生児童の体重の変化データを分析したところ、仮設住宅で生活している子どもたちはそうでないこともたちに比べて体重が増加しやすく、肥満傾向となるリスクが高いことがわかりました。

仮設住宅の周辺に遊び場がない、通学が徒歩でなくバスになった、一緒に遊ぶ仲間がいないなどの環境の変化が影響している可能性が考えられました。

この結果は、小児科医療の国際学術誌Periatrics Internationalに掲載されました

本研究は岩手県立大船渡病院の森山秀徳医師(小児科医)たちとの共同研究です。

論文プレスリリース:理性でなく感性に訴えることで健康格差是正につながる可能性

1月18日に出版された論文のプレスリリースを掲載します。

PDFはこちら

理性でなく感性に訴えることで健康格差是正につながる可能性:健康チェックサービス受診割合が15%-36%増