靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

弁明

モーニングブルードラゴンの弁明朝青竜を弁護する

俺は相撲のチャンピオンだから,いい加減な相撲はとれない。
本場所じゃあるまいし,いい加減じゃない相撲をとって,怪我を悪化させるわけにはいかない。
サッカーなんぞは,俺にとってはお遊びだから,どうとでもなる。

どこやらの野球の監督が,同じような理屈で弁護したらしいけれど,マスコミの扱いはほとんど変わっていない。そこで,全く影響力は無いけれど,もう一回。
大相撲は単なるスポーツではなくて,神事であり古典芸能でもあるそうだが,我々が見たいのは荒ぶる神であって,優にやさしい色男ではない。

公平に見て

自決命令が出ていたとすれば無惨であるに違いないが,命令されもしないのに自決しなければ無惨なことになると思いこんで自決していたとしたら,なおさら無惨である。
強制的に従軍慰安婦にしていたのは非道であるに違いないが,強制的に鉄砲を担がされて憎くもない人を殺しに行かされたのが非道でないわけではない。前者のほうが後者よりもさらに非道であるとしたら,戦後の社会に受け入れてもらえたかどうかも関わってくる。白い眼で見ていた同胞たちも,非道でないわけではない。
拉致事件は解決済みとする主張に納得できるわけがないが,戦後処理問題は解決済みとする主張にだって納得できるわけがないだろう。
仲間の釈放を求めて人質を取り,あまつさえ殺害することを許せるわけがないが,爆弾、銃弾を雨霰と注がれる人たちに,傷つける人と,その傷を癒しにくる人は別だと言い,とにかく話を聞けと叫んだって,多分無理であろう。彼らにしてみれば仲間だって同様に生命の危機に瀕している,一刻の猶予もならない。残念ながら,彼らの危惧も多分当たっている。許せるわけがないだろう。

偽物喪志

どろどろに溶かした段ボールの固まりをひき肉に練り込んでいる隠し撮り映像が、11日、北京テレビのニュースで流された。豚肉と段ボールは4対6の割合。香料を足して10分ほど蒸すと「偽肉饅」ができあがる。
北京テレビは18日夜、この報道について「捏造だった」と謝罪した。北京市公安局が、報道にかかわったテレビ局の外部スタッフの身柄を拘束して取り調べている。
いくら中国だからといって,「実は政府筋の指示によって,11日のニュースは捏造ということにして,沈静化を図った。」なんて報道が来週にも発表される,ってことは無いよね。でもね,「偽肉饅」と同様にニュースになっていた,「北京市内で売られている大手4社の飲料水が年間約1億本であるのに対し、実際に流通している4社の銘柄入り大型ボトルは約2億本」とか,「河南省では約1万3000本の偽ワインが見つかった。水で半分以上薄めて香料を加えており、価格は本物の5分の1程度」とかは,未だ何にも解決してない,と思うよ。

それにしてもこの偽肉饅事件,エイプリルフールだったら入賞ものだったろうし,安全に処理された紙製品を練り込んだのだったら,ダイエット食品としてヒットしたかも知れない。
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外国ったって人間の国

儒教の国だかなんだか知らないけれど,「年上の人の前で酒を飲むときは,横向きになり隠れるようにして飲む」なんてことは,おたくらどうしのジジイとガキとでやってくれ。郷に入れば郷に従うというのは確かに礼儀の基本だろうけれど,客人を客人として扱うのだって当然のことだし,はばかりながら日本ではこそこそと飲むのは卑しいとされている。
お互いがお互いの礼儀習慣を尊重するのが当たり前で,自分の基準に叶わないからと,「礼儀がなっていない」と言い出して,あまりの剣幕に周囲の人たちをも驚かせる,なんてのを礼儀がいいとは言わない。ことわっておきますが,贈り物を片手で渡すのは無礼であるとか,酒をつぐときには両手を添えるべきだとかいう意見には賛成します。まあ,当たり前でしょう。でも,握手をするときにも両手を添えるというのはあなた方の(あるいは日本人がすでに忘れてしまった中国文化圏の)勝手な習慣でしょう。欧米人が片手を差し出したら,本当に怒鳴るつもりですか。いらない摩擦を増やしているのは,大半は日本人だと思うけれど,やっぱりあなた方も,ね。儒教には寛容の徳ってのは無いのかしら。

ソウルで原典学会があったときの宴会で,主賓格の銭教授が飲まない人なので,少々つらい思いをしたことがある。さすがの私も酒を出せとはいわない。いくらなんでも,そのくらいの礼儀はわきまえている。で,主催側の代表が遅れて到着して,(考えてみれば,いかに大学の行事の都合とはいえ無礼な話だ。)「おや,酒が出てませんね,飲みましょう!」といってくれたときは嬉しかったね。勿論,横向きになり隠れるようにして飲む,なんてことはしませんでしたよ,お互いに。

お言葉ですが

「自分の思い上がりと失敗を誇張して書き,それによってよみての笑いをさそおうとしているのである」というのは確かにその通りであろうが,「フザケ文の調子で書いてある」というのはどうだろう。やっぱり荘重に書いて内容とのギャップで笑わそうとしたのではないか。だとすれば,「余兒時誦唐宋數千言」は「余児たりし時,唐宋数千言を誦し」と訓読するほうが作者の思惑に近く,「我輩ガキの時分より,唐宋二朝の傑作名篇,よみならつたる数千言」と巫山戯たのでは,カラクリの大半を失うのではなかろうか。そもそも荘重そうな漢文は荘重な気分で読まなければならぬ,と思いこんでいるほうが頑ななのであって,喜劇はドタバタしていなければならぬ,と思いこむほうが田舎者なのであって,まじめくさってまじめそうな台詞を吐くほうがよっぽど可笑しい,と知らないわけは無いんだけど。

落選した異体字たち

河出文庫から『異体字の世界』というのが出ています。こんなのが一般向けの文庫に登場するとは驚きです。で,ページを繰っていたら,次のようなことが書いてありました。
第三・第四水準の調査中、電話帳データで名前の用例があり、大きな漢和辞典に載っている漢字が、「他の用例が無い」ためにいくつも不採用になってしまいました。「漢和辞典に載っていることは採録の条件にしない。字書にあることより実際に使われていることが大事」という前提があったためです。名付けのために漢和辞典から字を探すことは普通なので、どんな字が名前にあっても不思議ではありません。(一九四八年からは国が定めた文字以外は子どもの名付けに使えなくなりました)。
なるほどこれでは漢字文献をパソコンで扱う人が満足するわけがない。せめて「使われていた」でないと。ユニコードのほうがましかも知れない。CJK統合漢字の拡張領域Bまで使えば,『康煕字典』に載っている漢字くらいまでなら表示できるらしい。VISTAならそれを表示できるフォントも標準で入っているらしい。そうは言っても,「筆押さえ」の有無なんかは無視するならば,些細な筆画の差は同一視するならば,ということですから,『康煕字典』信者には満足されないでしょうがね。

月下美人

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花言葉:繊細,はかない美,はかない恋,つかのまの快楽,艶やかな美人,......妖怪。
中国の伝奇に美女がでてきたら,たいていは幽霊か妖怪である。

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『説文解字』云:木菫なり。朝に華さき莫に落つる者なり。艸に従い,䑞の声。詩に「顔は蕣華の如し」と曰う。

しょうがない

党籍を剥奪されて悲惨な目に遭いそうだが,それで選挙がなんとかなるんだという頭の整理で,しょうがないなと思っている。それに対して党を恨むつもりはない。(某大臣)

宴席

中国料理というと,テーブルの中央の大皿から,各自の箸で取り分けて食べるものと,なんとなく思っていたけれど,これは違うかも知れない。少なくともより上等のより正式な宴席では違うらしい。明末の張岱『陶庵夢憶』の泰安州客店という記事に,泰山に香を進めた後の,いわば精進落としの宴会について,「賀亦三等:上者專席,糖餅、五果、十餚、果核、演戯;次者二人一席,亦糖餅、亦餚核、亦演戯;下者三四人一席,亦糖餅、餚核、不演戯,用彈唱。」とあります。専席であれば,当然ながら料理は一人分づつ,めいめいの卓まで給仕してくれるはずである。絵は『清俗紀聞』のもの,つまり右ページが上と次,左ページが下に相当する。
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『陶庵夢憶』の文も,『清俗紀聞』の絵も,以前から見ていたのだけれど,気がそこに無ければ気付かないということ。
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