靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

落選した異体字たち

河出文庫から『異体字の世界』というのが出ています。こんなのが一般向けの文庫に登場するとは驚きです。で,ページを繰っていたら,次のようなことが書いてありました。
第三・第四水準の調査中、電話帳データで名前の用例があり、大きな漢和辞典に載っている漢字が、「他の用例が無い」ためにいくつも不採用になってしまいました。「漢和辞典に載っていることは採録の条件にしない。字書にあることより実際に使われていることが大事」という前提があったためです。名付けのために漢和辞典から字を探すことは普通なので、どんな字が名前にあっても不思議ではありません。(一九四八年からは国が定めた文字以外は子どもの名付けに使えなくなりました)。
なるほどこれでは漢字文献をパソコンで扱う人が満足するわけがない。せめて「使われていた」でないと。ユニコードのほうがましかも知れない。CJK統合漢字の拡張領域Bまで使えば,『康煕字典』に載っている漢字くらいまでなら表示できるらしい。VISTAならそれを表示できるフォントも標準で入っているらしい。そうは言っても,「筆押さえ」の有無なんかは無視するならば,些細な筆画の差は同一視するならば,ということですから,『康煕字典』信者には満足されないでしょうがね。

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