2. 有棘細胞癌
表皮の有棘層の細胞が癌化する皮膚癌です。基底細胞癌に次いで発生頻度の高い皮膚癌です。
原因
はっきりした原因は不明ですが、紫外線、慢性刺激、慢性炎症、ウイルス、放射線などが関与していることがわかっています。特に紫外線の刺激により生じる日光角化症は有棘細胞癌の前駆症として注意すべき病変です。
症状
表面がいぼ状またはびらんなどを混ずる紅色調の腫瘤で、潰瘍状のこともあります。腫瘤が大きくなると悪臭を伴ってくることもあります。
治療
原則として手術により切除します。病変の進行度にもよりますが、通常病変辺縁より0.5~2cm程度離して切除します。通常切除後の皮膚欠損が大きくなることが多いため、その被覆に植皮や皮弁などの再建手術が必要です。所属リンパ節に転移がある場合はリンパ節郭清も行います。
放射線治療は手術に比べ根治率はやや劣りますが比較的高い効果があります。特に近年放射線増感作用(放射線治療の効果を高くする)がある抗癌剤と同時に放射線を行う化学放射線療法でさらに効果が高まることが種々の癌で証明され、有棘細胞癌にもしばしば適用されています。
化学療法は基底細胞癌と同様に、通常手術不可能な進行例に適用されます。また、上述のように化学放射線療法として、放射線と同時に行われることがあります。
他の臓器の癌と同様に進行例での根治は難しく、多くは手術、放射線、化学療法を三本柱とした集学的治療が行われます。