慈恵医大における前立腺がん診療

II . 治療

低線量率小線源療法(LDR:low dose rate・ブラキセラピー)

これは前立腺組織内に密封小線源(金属カプセルに入った低線量の放射性物質)を永久に留置して前立腺がんを治療する方法(ブラキセラピー)で、副作用が比較的少なく、治療効果が高いことから近年注目を浴びています。この治療は前立腺組織内に線源を留置するため直腸など周囲組織への放射線も限定されており直腸障害も少なく、1〜2泊の短期入院で済むなどの利点があげられます。

治療に使われる小線源(シード)は0.8×4.5ミリのチタン製の金属カプセル内にヨウ素125という放射性物質が封入されており、半減期は約60日と比較的長いものの、そのエネルギーは大変小さく体外への影響も極めて小さいなどの特徴を持っています。一般的に患者さまお一人の治療に対し必要とされる線源数は70〜80個程度です。総線量は140〜150Gyと高線量ですが、外部照射の70〜80Gyに相当し、これらの線量が半年程かけてゆっくり前立腺に投与されることになります。

実際の治療は、まず小線源を刺入する前に浣腸を施行し、直腸内をきれいにしたのち腰椎麻酔を行います。その後さい石位を取り、経直腸超音波を肛門より挿入した後、会陰部(陰嚢と肛門の間)から長い針を前立腺まで刺入し、コンピューターを用いて計画した適切な位置に小線源を留置していきます。治療時間は、1〜2時間ほどです。副作用は頻尿と尿意切迫感などの排尿障害が中心です。

手術は?
  • 経会陰的にシード線源を前立腺組織内に植え込む
  • 低侵襲性、安全で良好な治療成績
  • 慈恵医大では600例以上施行
手術が可能なのは?
  • 80歳以下
  • 病期T2aまでの早期癌 PSA20ng/ml以下
  • 前立腺体積は40g以下
    グリーソンスコア7以下
手術時間は?
  • 腰椎麻酔で1〜2時間
入院期間は?
  • 1〜2泊(個室管理)

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