慈恵医大における前立腺がん診療

II . 治療

高線量率小線源療法(HDR:high dose rate・ブラキセラピー)

前立腺がんに対する組織内照射療法(ブラキセラピー)には、前述の線源を永久留置する低線量率小線源治療(LDR)と、一時留置するだけの高線量率小線源療法(HDR)があります。高線量率小線源療法(HDR)は前立腺内に一時的に小線源(イリジウム192)を挿入し治療終了後には抜去する方法ですが、決まって放射線外照射療法(EBRT)と併用して行います。主に再発リスクの高い局所前立腺がん(高リスク前立腺がん)に対しておこなう放射線治療です。

この高線量率小線源療法/外照射併用療法(HDR+EBRT)は、前立腺内から前立腺に直接放射線をあてる方法(HDR)と、体の外より放射線を前立腺ならびに周囲にあてる方法(EBRT)を併用する治療法です。通常の外照射単独療法に比べて前立腺内に多くの線量を照射し、周囲臓器(直腸、膀胱など)にあたってしまう余分な放射線を減少させ、周囲臓器合併症を減らすことができる治療法です。

実際には、この放射線併用療法の前の約6ヶ月間に内分泌(ホルモン)療法、または化学(抗がん剤)療法を先行して行います。さらに放射線併用療法後の2年間は内分泌療法を継続します。

方法は?
  • 経会陰的に前立腺アプリケータ針を留置
  • 高線量率のイリジウム-192を用い、このマイクロ線源をコンピュータで制御し前立腺内を移動させ照射する
  • 慈恵医大では50例施行、外照射と併用される
適応は?
  • 80歳以下の高リスク局所がん
治療時間は?
  • 硬膜外麻酔下でアプリケータ針留置:2日間
入院期間は?
  • 3泊4日(個室管理なし)

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