マイクロサージェリーロボットの開発と展開
Robotの可能性
Robotは脳神経外科などの手術・治療においてさまざまな可能性を広げてくれます。
第1は、手術を正確にしてくれる。(ロボットの精度は人間の手の精度より10倍以上精密です)
第2は、手術の安全性を向上してくれる。(異常な力が加わったり、異常な範囲には操作が及ばないようにすることができる)
第3は、複雑な手術手技でも、テレビゲームを習得するように比較的速く・容易に習得ができる。
第4は、人間の手ではできないような手術手技ができる。(たとえばミシンのような縫合操作や、放射線や治療遺伝子やウイルスを手術器具の先から出したりといった操作が可能となる)
などです。
以上の可能性を求めて、2001年から現在まで、東京大学工学部、産業機械工学科の光石衛教授の教室と共同で、Robotics手術機器の開発を進めています。(開発の経緯については Newton2004年誌を参照)
システムのタイプ
現在のシステムは操作を術者が指令し、Robotの先の手術装置が手術を行うといういわゆるMATER-SLAVE型ロボットシステムです。本機器は2005年6月に愛知県で開催された愛知地球博覧会でデモンストレーションを行い数多くの番組で紹介されました。
現在SLAVEのタイプは2種できています。1つは脳の深部の複雑な手術を行うオフセット型ロボットシステム。2つ目は現在開発を進めていますが、眼科や形成外科でも手術につかえるUniversal Ultra-MicroSurgery Robotic Systemです。
また現在はこれらのROBOT技術を用いて微小外科手術の手技をデジタル化し、達人の手術を科学的データとして残す、また若手の技術を科学的に解析する技術の開発を進めています。
オフセット型ロボットシステム |
Universal Ultra-MicroSurgery Robotic System |
論文紹介
これまでの開発の経緯はいくつかの論文にまとめられています。
- Takahashi,H., Yonemura,T., Sugita,N., Mitsuishi,M., Sora,S., Morita,A, Mochizuki,R., “Master Manipulator with Higher Operability Designed for Micro Neuro Surgical System,” Proceedings of IEEE International Conference on Robotics and Automation(ICRA’08), pp. 3902-3907, 2008.
- 【 PDF】Mitsuishi M, Sugita N, Baba S, Takahashi H, Morita A, Sora S, Mochizuki R: A Neurosurgical Robot for the Deep Surgical Field Characterized by an Offset-Type Forceps and Natural Input Capability Proceedings of the 39th International Symposium on Robotics (ISR08) pp915-920,2008
- Ueta T, Yamaguchi Y, Shirakawa Y, Nakano T, Ideta R, Noda Y, Morita A, Mochizuki R, Sugita N, Mitsuishi M, Tamaki Y: Robot-Assisted Viteroretinal Surgery Ophthalmology 116:1538-1543,2009
- 【 PDF】 Morita A, et al. Microsurgery robotic system for the deep surgical field. Development and feasibility study in animal and cadaveric models. J Neurosurg 103:320-327, 2005
- 【 PDF】 Master manipulators with 3D high definition monitor and Slave manipulators with 2 micro-forceps Ref: Newton Sept 2004 p76-83
参考リンク
東京大学医工連携部 Homepage