現在はこれに高画質のテレビカメラをつけて大きな画面に内視鏡画像を写し出して手術を行っています。
様々な手術器具、ドリル、補助装置などが開発されていますが、脳神経外科領域においては、やや開発が遅れており、当教室でも研究が進められています。
レーザーは細いファイバーを通して強いエネルギーを組織に与えることが可能ですので、重要な手術装置の一部です。
Storz社硬性内視鏡 |
町田製作所製軟性脳室鏡 |
現在脳神経外科領域において内視鏡を用いるには、内視鏡の画像のみをもとに手術を行う場合と、顕微鏡手術の際などに内視鏡を補助的な視野を確保する手段として用いる場合があります。脳神経外科分野において内視鏡の使われる領域は最近は脳室だけではなく、頭蓋内/外、脊髄/脊椎、末梢神経などに適用されています。
現在は水頭症、脳室(脳の水をつくる部屋)内の腫瘍、脳出血、下垂体腫瘍の手術、脳腫瘍、くも膜下出血を来たす脳動脈瘤の手術、脊椎の手術、末梢神経の障害などに内視鏡が用いられ、安全性、有効性が確認されています。
私は下垂体や頭蓋底の腫瘍、脳動脈瘤、脊髄ヘルニアの手術など現在まで100例以上の症例に内視鏡を用いていますが、大きな合併症には出会っていませんし、非常に内視鏡が役にたった症例を数多く経験しています。また同グループの西原先生は脳内出血に対する内視鏡を用いた画期的な手術方法を開発しています。
内視鏡を用いて摘出したコロイド嚢胞(第3脳室内)の症例:45歳男性、頭痛を主訴に来院、MRIで腫瘍と水頭症が発見された。(患者さんの許しを得て掲載)腫瘍を内視鏡下にレザーなどを用いて摘出、患者さんの症状は軽快した。この手術方法によると従来は大きな開頭を必要としていた手術が10円玉サイズの穴から可能となり、患者の回復も極めて早い。
手術前のMRI | 内視鏡写真 嚢胞 |
レーザーで出血をコントロール | 手術後のMRI(明らかな嚢胞の残存は見られず、水頭症も改善) |
コンピューターモーション社製 ロボテイック内視鏡/手術器具保持装置 (イソップ/ゼウス) |
将来は内視鏡下に制御されるマイクロロボットやロボットアームを使用して現在よりも更に正確な、またバンドエイドでかくれる位の小さな傷から、大きな腫瘍を摘出するような有効な治療ができる様になると確信しています。当大学では医学部、工学部が協力してこのような技術の開発を押し進めてゆく努力がなされており、当教室もその中核となっています。
図はアメリカコンピューターモ-ション社で製作されたロボットアーム(ゼウス):この機械は実際にアメリカでは心臓の冠動脈の再建などに用いられ小さなあなから血管吻合ができることが実証されている。