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背景

 日本社会が抱える様々な問題のひとつに「少子高齢化」が存在し、なかでも世界的に前例のない「超高齢化社会」に突入となる現状は、極めて重大な医療問題である。写真現在、日本の高齢者(65歳以上)人口は2700万人に達し、4人で1人の高齢者を支え、25年後には国民全体の約3分の1が高齢者になると予測されており、世界の高齢者の状況をみると日本の高齢化は世界でもトップレベルにあり、この状況はこの先2050年ごろまで続くことが予想されている。総務省統計局が提供する人口ピラミッドを2010年と2040年を比較すると、その変化は、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が今後著明に増え続けることを占めしており、日本は2005年を折り返し地点として人口減少社会に転じた一方、高齢者数については2040年頃まで増え続ける推計がなされており、写真うち特に75歳以上の後期高齢者は2050年頃まで増加傾向が続くと見込まれている。さらに右図に示すように、この高齢化は特に東京近郊などの都市部を中心に急速な進展が予想され、川崎市も例外ではない。

 近年注目されている「酸関連疾患」のなかでも胃食道逆流症は、欧米には多いと考えられてきたが、近年本邦においてもその頻度の増加が報告されている。実際、1970年代にはその頻度は3%前後であったものが最近の報告では15%を越えるまでに至っており、この現象は高齢者だけでなく、後期高齢者においても同様に増加傾向である。胃食道逆流症発症の様々な要因に関して、食事、Ca拮抗剤内服、腰椎の楔状変形、ヘリコバクターピロリ感染、食道裂孔ヘルニアなどの様々な要因が報告されているが、その詳細に関して、とくに「後期高齢者に認める胃食道逆流症」に注目して検討した詳細報告はない。高齢化社会に突入する我が国でこそ検討することができる、後期高齢者における胃食道逆流症(GERD:Gastroesophageal Reflux Disease)の発症メカニズムを解明すべく、川崎市の実地診療医を中心としGerdQ問診票を用いた多施設共同調査を行う。

 

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