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仏像探訪七つ道具の件の変更点

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!!!仏像探訪七つ道具の件
                                (2013年3月2日)

こんかいは同好の士のための豆知識,仏像拝観にもっていくと役に立つ「仏像探訪七つ道具」をご紹介します.

(1)「仏像巡礼事典」
(1)'''「仏像巡礼事典」'''
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前回も紹介した本です.国内に2,500余件ある国宝・重要文化財の仏像のリストがのっています.拝観できた仏像は蛍光マーカーで消していきます.生きているうちに2,500のすべての仏像をみるのが夢です.こどものとき読んだ「伊賀の影丸 七つの影法師の巻」で,敵の忍者をたとすたびに巻物の名前をひとつずつ消していく,といったノリでチェックをいれています.

いま使っているのは2代目ですが,すでに背の糊づけのところからページがバラバラになりそうです.重文の仏像としては毎年十数件の新しい指定が加わることもあって,新しい版の本を買いたいとずっと思っています.しかし各ページに書きこんだチェックやメモに価値があって,それを書きうつすとすればかなり面倒なので,いまもそのまま使っています.

(2) ペン型ライト
(2) '''ペン型ライト'''

通販でてにいれた強力ペン型LEDライトをつかっています.

おめあての本尊がお堂のおくのほうにあって,金網ごしに拝観するというパターンは結構あります.なかはうすぐらくて仏像の輪郭の影しかみえなません.ありがたく拝むにはちょうどいい雰囲気ですが,わたしとしてはおおいに不満です.ですからペン型ライトは必需品になります.この10年くらいでペン型ライトの機能はとてもよくなり,小型で強力なものが安価で手にはいるようになりました.

境内のすみのほうにあるお堂の金網のすきまに顔を近づけて,ペンライトで照らしながら仏像を一生懸命みていたら,いつのまにか背後に管理人らしきひとに囲まれ,不審尋問をうけたことがありました.仏像泥棒の下見と疑われたようです...........忘れもしない大宰府市の某寺だよ,まったくo(*`へ´*)o プンプン

(3) 双眼鏡
(3) '''双眼鏡'''

上記と同じ理由で双眼鏡も必需品です.とにかく敵もさるもの,「そこあるけどよくはみえない」という方針を堅持しています.暗くする,おもいっきりとおくにはなす,金網をはる(それも目のこまかいやつ),とびらをせまくあける,などなどさまざまなテクニックを駆使してきます.また丈六以上の大きな仏像をみあげる場合も,細部の観察に双眼鏡は重宝します.

双眼鏡でみていて,和尚さんにおもいっきりどなられたのは葛井寺の国宝千手観音のときのおもいでですね.なんだかこんな話ばっかりだなあ.不良不信心参拝客ですみません.

(4) カメラ
(4) '''カメラ'''

お堂や収蔵庫のなかの仏像のおおくは撮影禁止であることはもちろんです.しかし外の石仏や建築物などにこころうばわれて,おもわずシャッターをきることはすくなくありません.ですから小型のカメラはいつも持ち歩いています.デジカメとなってからはとても便利になりました.

わたしもとくにカメラを趣味にしているわけではありませんが,一度みた仏像はなんらかのかたちで記録にのこしておきたい,あとで記憶からよびだすときのきっかけをのこしておきたいという気持がつよくあります.ですから当の仏像の絵葉書1枚あればそれでじゅうぶんなのです.しかしそれすらないことが多いんですね.

だいぶむかしの体験ですが,地方のある寺のお堂にはいったところ,そこはまったくの暗闇でした.監視人もいなかったので参拝客がたえたところをみはからって,正面方向をねらって一度だけフラッシュをたいて撮影してみました.現像!!(10年以上まえのことですね)にだした写真がもどってきてびっくり,そこには時代も様式も異にする10数体もの毘沙門像がずらりとならんでいたのです.ほんとうに驚き,かつ感嘆いたしました.

(5) のし袋
(5) '''のし袋'''

{{ref_image のし袋.jpg}}

いわゆるふつうの観光寺院であればただ参拝時間内におとずれて,いりぐちで参拝料をはらいなかにはいるだけですから,何の気もつかわずこれほど楽なことはありません.博物館に入館するのと大差ないのです.しかし全体からみるとこういった参拝は少数派です.京都や奈良,あるいは各地の観光地の有名寺院だけにかぎられている話です.

おおくのところでは,事前に電話などで連絡してお寺さんの都合を聞いて,その時間にあわせて参拝にうかがい,本堂や収蔵庫の鍵をあけてもらうことになります.こういうときはだいたい住職の奥さんがでてきて対応してくれます.こういったことは家族の仕事なのですね.このときいわゆる拝観料をおわたしすることになります.このマナーがいまだによくわからないのです.ガイドブックにも著名人の紀行文にもでてこない.

まず相場.観光寺院ならば入口の表示があるので迷うことはありません.またひとがまったくこないようなお寺でも,煤けてななめになった看板がでていて,そこにうすくなった文字で「拝観料いくら」とよめることもよくあります.しかしわざわざ休みの日に外出もしないで待ってていただき,わざわざ鍵をあけていただくのですから,それなりにお礼をしたほうがいいような気もします.

このとき拝観料というのは,仏教あるいは仏像の功徳に感謝するお布施ということになるでしょうから,ほんとうにこちらの気持次第ということになるのでしょう.でもこれはかえって困ってしまう.わたしは拝観のために相手かけたご負担にあわせて,観光寺院の相場より若干高いくらいの金額をだすことにしています.

そのとき札をはだかでだすのも何ですからのし袋は必携です.そのまま仏前にそなえるところも多いようです.でもこれってそもそも祝儀なのか? 不祝儀なのか? どういった袋をえらべばいいのか.あるいは表書きはなんとしたらいいのか.疑問はつきることはありません.いまは100円ショップでみつけたなんにでもつかえそうなのし袋をつかっていますが.

どなたかこういったことについて個人的にご教示いただければ幸いです<(_ _)>

(6) 地図・ガイドブック
(6) '''地図・ガイドブック'''

こういった仏像探訪には下調べがたいせつです.まる一日かけてお寺をたずねたところだれもいなかった,あるいはおめあての仏像がちょうど「なんとか展」に貸し出し中だということはときどきあります.ほんとうに泣きたくなります.

でもめんどうなので,いつまでたっても下調べとか予習といったものには縁遠いのです.地方の寺院とか仏像などにかんする具体的情報を知るのは,いまはインターネットの発達によってだいぶ検索がしやすくなりましたが,それでもなかなかたいへんなことです.もっとも詳細でくわしい情報は,実は地元にしかありません.地方出版の専門書や地元の公立博物館での特別展目録などが,もっとも参考になります.ですからその地域にいったら,まず地元の本屋にはいってさがしますし,博物館にもかならず訪れます.それであらたに発見した名品はかず多く存在します.

ですからいく前に下調べをしてもあまり役に立たないことがおおいのです.........といいわけをしたりする.

(7) 文庫本
(7) '''文庫本'''

{{ref_image ファウスト博士.jpg}}

わたし的には七つ道具のなかでこれがいちばん大事かもしれません.

仏像とのすばらしいであいは,だれもこないような田舎のお寺でおこることがおおくあります.ただしそこにいたる道のりはとおい.いまでこそレンタカーをつかうことがおおいのですが,お金のないわかいころは電車とバスと徒歩で旅していました.

あるとき奈良と京都のさかいのあたりのお寺めぐりをしていたのですが,仏像にめをうばわれてバスの時間におくれてしまったことがあります.次のバスまで3時間!!! いちばん近くの駅まで歩いて15キロ! しかたがないので木陰のバス停にすわってずっと本を読んでいました.

そのとき読んでいたのは,トマス・マン「ファウスト博士」(岩波文庫).悪魔に魂をうって(梅毒におかされて)一世一代の芸術を完成した作曲家が主人公でした.「魔の山」とか「ブッテンブローグ家」でイメージできるようなこういった長くて本格的な小説は,いまはもう100%読めないですね.仏像の記憶はそのときの旅で読んでいた本の記憶とかさなり,連想されてこころのなかによびもどされます.なにかのきっかけで再読すると,そのときの旅の思い出,情景,印象とともに,拝観した仏たちのおもかげといったものが浮かび上がってくるのです.

だからこそもっていく文庫本の選択はある意味いのちがけです.もし人もいない山のなかでバスを3時間待たざるをえず,そのうえ本もつまらなかったら死んでしまうかも...........

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