仕事
就職活動のヒント
更新・確認日:2022年3月30日
就労に対する考え方は、病気の診断や治療の終了時から就職活動までの時間が十分経っている人と、治療の時期と就職活動の時期が重なった人とでは異なると思います。また、得意なこと、興味のあること、将来やりたいことなども、人によって違うでしょう。就職活動は、「あなたが望むこれからの働き方や生き方」を考えるよいきっかけになると思います。じっくりと自分と向き合う準備期間をとりましょう。その中で、周囲の人の意見を参考に、以下の点について自分の考えを整理してみるとよいかもしれません。
「自分の強みは何か」を探す
学校や学外での活動から自分が経験してきたことを整理し、「自分の強みは何か」を探していきましょう。そうはいっても、一人で考えていても、なかなか「自分の強み」に気づかないかもしれません。もし、自分の強みを探すことが難しいと感じた時には、客観的な「あなたの強み」について、周囲の人からアドバイスをもらうことも大切です。就職支援課(キャリアセンター)や教職員、仲のよい友達に相談してみましょう。病院内にハローワークなどの就労支援の専門家がいる場合には、相談してみてもよいかもしれません。
「現在の体調と就労への影響の程度」を理解する
自分の病気の現状と就職してから気をつけるべきことについて、主治医に確認しておきましょう。その時に、できるだけ具体的な回答を得られるように、出張(国内・国外)、残業や交替制勤務、立ち仕事や力仕事、営業などの仕事をすることが可能かどうかについて、具体的な質問をしてみるとよいでしょう。また、主治医のアドバイスをもとに、自分が希望する業界や職種などで働いた時の身体への負荷について情報収集をしましょう。就職活動の早い段階で就職支援課(キャリアセンター)に相談してみたり、自分の希望がまとまってきたら、数日間のインターンシップに参加したりしてもよいでしょう。
「病気について伝えるか・伝えないか」をよく考える
就職活動時に自分の病気について伝えるか・伝えないかを決めることは、とても難しいことだと思います。「自分の強み」「現在の体調と就労への影響の程度」についての考えを整理した上で、病気について伝えるか・伝えないかについて考えていきましょう。就職活動時に病気について伝えることのメリットは何か、一方病気について伝えることのデメリットは何かの両方について考えてみましょう。その時には、自分の病状や体調、通院の必要性やその頻度、日常生活で不便なことや難しいことを整理し、それらに対して就職後に配慮を得ることが必要かどうかという点からも考えていきましょう。病気について伝えるか・伝えないかに迷う時には、一人で抱え込まずに患者会から情報を得てもよいでしょう。また、学内の就職支援課(キャリアセンター)や当ウェブサイト「就労に関する支援情報」を参考に、地域の若者向け就職相談の窓口に相談してもよいでしょう。
はじめて就職活動をするがん経験者に向けたガイド(『よりよい意思決定のための就職活動応援ガイド』, 「就職活動応援ガイド開発」研究班, 2020)(現在2023年2月改訂版)、がん経験者のための書籍(『がん経験者のための就活ブック サバイバーズ・ハローワーク』 NPO法人HOPEプロジェクト・一般社団法人CSRプロジェクト編, 合同出版, 2015)も出版されています。これらを参考にしながら様々な人から情報を得て、就職活動について考えてみましょう。
参考文献
- 厚生労働省(ウェブサイト). 平成29年度 労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業(閲覧日2018年9月5日)
- 土屋雅子, 田崎牧子, 鷹田佳典, 他. 小児期, AYA期発症がん経験者の初めての就職活動における病気開示の意思決定への影響要因と採用面接担当者の反応. 日本小児血液・がん学会雑誌 2019; 56: 189-197.