学校
就学に関する支援
更新・確認日:2023年8月14日
病気の診断を受けて「学校どうしよう」と心配になるかもしれませんが、退学する必要はありません。入院、治療中も「学校に戻れるのか」「進路はどうなるのか」といった、復学や進学に関する不安を感じることがあります。学校から離れている期間が長ければ、その不安な気持ちでいっぱいになる時もあるかもしれませんが、復学や進学をあきらめる必要はありません。一人で悩まずに、家族、友達、教職員(担任や学生相談室)、医療者(主治医、看護師、ソーシャルワーカー(がん情報サービスへリンク)、心理士(がん情報サービスへリンク))など周りの人たちの助けを借りながら、復学や進学に向けた準備を少しずつ進めていきましょう。その際は以下のことを参考にしてみてください。
入院前
義務教育段階の小学生・中学生(15歳まで)のがん患者が入院する小児専門の医療機関では、学習と治療・療養生活が両立できるよう様々な取り組みが行われ、「学習を継続する」ことが推奨されています。しかし、高校生・大学生が入院した場合、治療を受けながら学習を継続するための取り組みは、地域、学校、施設ごとにばらつきがみられるのが現状です。まずは、入院中の学習継続の方法について、医療者に相談してみましょう。あなたの学校の状況については、担任や学生相談室の教職員に尋ねてみましょう。また、治療中や治療後の学校生活、単位認定、クラスメイトへの病気の伝え方なども相談してみましょう。
復学時
復学前に、学校生活を送る上で必要となる配慮事項や学校への伝え方などを医療者に相談しておきましょう。相談内容を元に、教職員に今のあなたの状況を伝え、復学後の学校生活について話し合っておくと復学がスムーズになります。学校生活でどのような配慮があるとよいか、または病気のことや治療の影響による外見変化などについてクラスメイトにどう伝えるかなど、あなたの希望について話し合えるとよいでしょう。教職員に自分の病気や希望する配慮事項について話すことに自信がない時は、家族や、あなたの病気・生活のことがわかる人に相談して考えを整理したり、話合いの場に同席してもらうことも一つの方法です。
復学時・復学後に利用できるサービス
がん治療後に後遺症が残ったとしても、大学で勉強するために様々な配慮を受けることができます。独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)では障害学生支援に関する情報をまとめています。JASSOのウェブサイトに掲載されている「合理的配慮ハンドブック(外部リンク)」は教職員向けですが、障害のある学生とは、学校生活で学校側が配慮すべきこと、受けられる支援などが掲載されています。参考にするとよいでしょう。
進学について
病気や治療の影響で、あなたが在籍している普通高校に通学が難しくなっても、通信制高校や定時制高校で学習を続け、進学する方法があります。
治療後に何らかの健康問題が生じた人が、大学入学共通テストを受験する場合、「受験上の配慮」を受けることができます。
詳細は独立行政法人大学入試センターのウェブサイト「受験者・保護者の方(外部リンク)」内の「障害等のある方への受験上の配慮について知りたい」から確認できます。
主な受験上の配慮内容や申請方法については、「受験上の配慮案内(PDF形式)」の項からダウンロードできます。
令和7年度はこちら。(外部リンク)
また、多くの大学や専門学校では、受験生に向けてオープンキャンパスや学校説明会が開催されています。その機会に、入試や入学後の生活で、必要な支援や配慮が受けられるかどうかを相談してみるとよいでしょう。
教育費の支援制度については、当ウェブサイト「助成制度・相談窓口」のAYA世代が活用できる減免制度 教育費の支援制度を参考にしてください。
入院前から復学/再通学・進路について、「高校生活とがん治療の両立のための教育サポートブック」、「高校教育とがん治療の両立のために 長期療養中の高校生の希望に応える好事例集」が発行されています。これらも参考にしてみてください。いずれも、「令和1~3年度厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)「AYA世代がん患者に対する精神心理的支援プログラムおよび高校教育の提供方法の開発と実用化に関する研究」班(外部リンク)のホームページより申込の上、ダウンロードできます。
高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)について
病気や治療によって高校を卒業できなかった場合でも、「高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定=大検)」を受けることができます。この試験を受けることで、高等学校卒業者と同等以上の学力があると認定され、大学、短大、専門学校の受験資格が与えられます。また、就職、資格試験などに活用することもできます。試験の詳細については、文部科学省のウェブサイトの「高等学校卒業程度認定試験(外部リンク)」の項から情報を得ることができます。
参考文献
- 日本学生支援機構(ウェブサイト). 学生生活支援(閲覧日2018年9月5日)
- 独立行政法人大学入試センター(ウェブサイト). 障害等のある方への受験上の配慮について知りたい(閲覧日2023年6月16日)
- 文部科学省(ウェブサイト). 高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)(閲覧日2023年6月16日)