心とからだ
がんと症状・治療法
更新・確認日:2024年4月26日
AYA期に多いがん
がん患者数
日本では年間100万人が新たにがんと診断されると言われています。
日本における0~14歳の小児期発症のがん患者は年間約2,000人程度、15~39歳のAYA期発症のがん患者は、15~19歳、20~29歳、30~39歳の順に増加し、2万人強程度と推定されています。小児期発症のがん患者は全体の約0.2%、AYA期発症のがん患者は約1~3%といわれており、いずれも稀(まれ)ながんと言えます。
がんの種類
がんには病理学的に上皮(臓器の表面)に発生するがんと、上皮よりも少し深い場所から発生する肉腫の2つに分けられます。40歳以上の成人・高齢者に発症するがんは、肺がんや乳がんなど、臓器にできるがんが中心となります。一方、小児期に発症するがんは白血病や脳腫瘍など広い意味で肉腫と呼ばれるものが多いです。15~39歳に発症するがんは、若いほど小児型のがんが多く、年齢とともに成人型のがんが増えます。また、稀(まれ)ながんが多いことも特徴です。
小児期からAYA世代にかけてがんの種類は大きく変わります。小児・AYA世代のがん種の内訳の変化(がん情報サービスへリンク)が参考になるでしょう。小児期までのがんで最も多いのは血液のがんである白血病で、次に脳腫瘍、リンパ組織(リンパ節、ひ臓、骨髄)から発生するリンパ腫です。これらの割合は、15~19歳で徐々に少なくなり、胚細胞腫瘍(胎児の時の原始生殖細胞といわれる、精子や卵子になる前の未成熟な細胞から発生した腫瘍の総称)や、骨から発生するがんや筋肉などの軟部組織から発生するがんが増えます。20~29歳では骨肉腫などは減少しますが,胚細胞腫瘍の発症数はほぼ変わらず、甲状腺がんや子宮頸がんなどが増えてきます。30代の女性に発症するがんの中では乳がんが最も多く、次に子宮頸がんが続きます。小児型のがんは減少しますが、大腸がんなど成人型のがんが増えてきます。
特定のがんに関する情報は、以下のウェブサイトを参考にしてください。
がんの初期症状
がんの初期症状はがんの種類によって異なります。AYA期発症のがんには分類が不可能な稀(まれ)ながんも多いことから、特定の症状を挙げる事は難しいといえます。あえて挙げるのであれば、痛み、腫れ物、出血などの症状や、体重減少や疲労感などの全身症状です。特に気をつけたいものは以下のような場合です。
- 医学的に説明のつかない痛みがあり、しばしば痛む
- 原因のわからない腫れ物やしこりがあり、何週間たっても元通りにならない
- 出血する事が多い
- 理由のわからない強い疲労感が続く
- 数週間で体重が激減する
- 形や色、大きさが変化するほくろがある
これらの症状の程度や頻度について意識することは大切ですが,悪性黒色腫(がん情報サービスへリンク)の初期症状である形状が変わるほくろが、特に背中にある場合、自分では見つけにくいため注意が必要です。乳がんと精巣がんについては、セルフチェックの方法があります。東京都保健医療局とうきょう健康ステーション「乳がんを早期発見するための「ブレスト・アウェアネス」」のウェブサイトを参考にするとよいでしょう。精巣がんについては、アメリカの非営利団体 Testicular Cancer Society「Testicular Self-exam」のウェブサイトを参考にするとよいでしょう。
定期的にチェックし受診することで、早期診断につながる場合があります。AYA期発症のがん患者の場合は、保護者が小さな異常に気付きすぐに受診する小児期発症の場合と比べて、受診までの時間が長い事が知られています。また、医療者自身も、AYA世代でもがんが発症することへの認識不足から、受診しても診断や治療開始までの時間がかかると言われており、医療者の能力の向上やこの世代のがんを早期に診断するしくみが必要と言われています。上記のような症状がある場合は、我慢せずに、早めに受診しましょう。症状が改善されない場合は、別の病院を受診してみることも選択肢の一つです。
がんの治療法
がんの主な治療法として、手術(外科治療)、薬物療法、放射線治療があります。薬物療法、放射線治療は、通院で行われることが多くなりました。
- 手術(外科治療)は、がんや、がんのある臓器を切除します。
- 薬物療法は、「がんを治す」「がんの進行を抑える」あるいは「症状をやわらげる」治療です。薬物療法には、「化学療法」「内分泌療法(ホルモン療法)」「分子標的療法」など様々な種類があります。
- 放射線治療は、放射線をあてることにより、がん細胞を死滅させる治療です。
主な治療法の詳細については、以下のウェブサイトを参考にしてください。
がんの種類ごとの治療法については、以下のウェブサイトを参考にしてください。
参考文献
- Katanoda K, Shibata A, Matsuda T, et al. Childhood, adolescent and young adult cancer incidence in Japan in 2009-2011. Japanese Journal of Clinical Oncology 2017; 47: 762-771.
- Matsuda A, Matsuda T, Shibata A, et al. Cancer incidence and incidence rates in Japan in 2008: A study of 25 population-based cancer registries for the Monitoring of Cancer Incidence in Japan (MCIJ) Project. Japanese Journal of Clinical Oncology 2014; 44: 388-396.
- Bleyer A, Viny A, Barr R. Cancer in 15-29-year-olds by primary site. The Oncologists 2006; 11: 590-601.
- 国立がん研究センターがん情報サービス(ウェブサイト). 手術(外科治療)(閲覧日 2021年9月27日)
- 国立がん研究センターがん情報サービス(ウェブサイト). 薬物療法(閲覧日 2021年10月18日)
- 国立がん研究センターがん情報サービス(ウェブサイト). 放射線治療(閲覧日 2021年10月18日)