情報の集め方
医療者との関わり方
更新・確認日:2021年7月7日

医療機関には、医師・看護師・薬剤師・理学療法士(がん情報サービスへリンク)・作業療法士(がん情報サービスへリンク)・栄養士・ソーシャルワーカー(がん情報サービスへリンク)・心理士(がん情報サービスへリンク)など、様々な専門を持った医療者がいます。病気に関連してわからないことがあったら、わからないままにせず、医療者に相談しましょう。質問しないでいると、医療者はあなたが理解したと考えてしまうかもしれません。遠慮をしないこと、わかったふりをしないことは大切です。
医療者に相談するときには、いくつかのコツがあります。
【医療者に相談するときのポイント】
- 聞きたいことを事前に整理して、メモに書きだしておきましょう。
- 特に医師は、いつも外来や病棟にいるわけではないので、ゆっくり話がしにくいものです。相談の時間を作ってもらうよう事前に伝えておくか、疑問点をまず看護師に聞いてみるとよいかもしれません。
- 複数の医師が担当になることもあります。相手との相性によって、話しやすい医師と、そうでもない医師がいるでしょう。自分にとって話しやすい医師を「疑問点を質問する先生」と決めておくのもひとつの方法です。治療について聞く人、生活について聞く人のように、相談事によって聞く人を分けてもいいかもしれません。
- 医師によって説明が違う場合は、「話しやすい先生」にざっくばらんに相談してみるとよいでしょう。
- いろいろ聞いて情報が多くなると、かえって不安が増してしまうこともあります。そんなときはそれを正直に医療者に伝え、情報を整理してもらってもよいでしょう。自分が気になる点や、理解できない点などについて、重点的に説明してもらうのも手です。
- 検査や治療に関連して希望があったら、遠慮せず、それが可能かどうかを医療者に伝えてみましょう。例えば、治療の副作用をおさえる薬の効き目が悪い場合、薬の増量や変更を相談してもよいでしょう。
- インターネットでいろいろ検索するのは悪いことではありません。ただ、インターネットの情報には不正確なものが混ざっていることもあります。また、あなたの状況とは異なる場合があります。「ネットでこんな情報があったけれど・・・」と、医療者に伝えて意見を聞いてみるのもよいでしょう。
納得して治療を受けるために
治療に関する意思決定は、がんと診断された人にとって大きな問題です。今後の治療がどう進んでいくのか、治療の選択肢が複数ある場合はどれを選択したらよいのか、その選択が自分の生活にどう影響するのかなど分からないことが多く、悩むことと思います。主治医に治療方針について尋ねたくても、どう聞いたらよいか分からない人もいるでしょう。そのような時には、まずは自身が相談しやすいと思う医療者に尋ねてみるとよいと思います。様々な専門性を持った医療者があなたの相談に乗り、サポートしてくれるでしょう。
治療に関する説明を聞くときは、自身の希望も伝え、納得しながら治療方針を決めていくことが大切です。以下の質問例を参考に、あなたが疑問に思っていることを、主治医や医療者に尋ねてみましょう。
<質問例>
Q:先ほど先生から伝えられた診断名とその治療法(手術(がん情報サービスへリンク) 、薬物療法(がん情報サービスへリンク) 、放射線治療(がん情報サービスへリンク)の方法など)を、後で調べたいので、紙に書いてもらえますか?
Q:これから治療はどのように進んでいきますか?
Q:入院期間はどれくらいですか? 退院後に治療はありますか? それはどれくらいの期間ですか?
Q:治療の副作用はありますか? どのような症状で、どれぐらい続きますか?
Q:治療Aと治療Bでは、どのような副作用の違いがありますか?
Q:治療により将来どのような身体への影響がありますか? 子どもを持てなくなることはありますか?
Q:治療により他の病気になる可能性はありますか?
Q:セカンドオピニオン(がん情報サービスへリンク)を受けてもよいですか?
Q:インターネットには○○がよいと書いてあったのですが、先生はどう思いますか?
Q:○○が効くと思ったのですが、私に合った治療だと思いますか?
Q:治療Aと治療Bでしたら、治療Bがよいです。治療Bを実施している病院をどこか紹介してもらえますか?
さらに、治療による生活への影響について現在気がかりに思っていること、例えば「今月学校行事があるけど参加できるかな」「治療による仕事への影響はあるのかな」「退院後の体力が心配だな」「治療費が心配だな」などを事前に書き出しておきましょう。そして、最も気がかりなことから優先順位をつけて、以下の質問例を参考に、主治医や医療者に尋ねてみるとよいでしょう。
<質問例>
Q:大事な学校行事(仕事の会議)に参加したいです。入院日を少し後ろにずらすことはできますか?
Q: 退院後、自宅で療養することなく、すぐに学校(仕事)に戻れますか?
Q:通院で治療しながら、学校(仕事)に行くことはできますか?
Q:退院後も、以前と同じように授業(勤務)をしても大丈夫ですか?
Q:治療により日常生活で以前のようにできなくなることはありますか?
Q:金銭面に不安があります。支援制度を相談する場所はありますか?
最近ではインフォームドコンセント(がん情報サービスへリンク)から一歩進んで、主治医や医療者からの一方的な説明と同意ではなく、主治医や医療者とよく話し合い共同して治療方針を決めること(シェアード・ディシジョン・メーキング)が推奨されています。医学の進歩は目覚ましいですが、まだまだ不確実なことが沢山あります。治療方針に対する疑問や生活上の気がかりを少しでも解消して、納得した治療を受けるためにも、主治医や医療者に積極的に相談や質問をしてみることが大切です。
当ウェブサイト「就学に関する支援」「職場でのコミュニケーション」「恋人との付き合い・結婚・子どもを持つ力(妊よう性)」「経済的な支援」も参考にしてみてください。
参考文献
- 国立がん研究センターがん情報サービス(ウェブサイト). 医療者とのコミュニケーション(閲覧日2018年9月5日)
- 日本サイコオンコロジー学会・日本がんサポーティブケア学会編.がん医療における患者―医療者間のコミュニケーションガイドライン 2022 年度.金原出版;2022.
- 日本小児がん看護学会小児がん看護テキスト作成ワーキンググループ編. 小児がん看護テキストブック.杏林書院;2023.