第177回
2026年08月15日

死亡時画像診断(Ai)に関係する各種認定制度に思うこと

国際医療福祉大学
樋口 清孝

 Aiの普及に伴い、各団体による認定制度の整備も進んできました。その代表が「Ai認定施設」と「Ai認定診療放射線技師」の制度です。

 まず、「Ai認定施設」についてです。
 この制度は、死因究明におけるAiの適切な運用と活用を推進することを目的として、Aiを実施している施設を「Ai実施施設」として登録し、その中でも適切な運用・管理体制を備えた施設を「Ai認定施設」として認定するものです。令和6年8月から運用が開始されました。  現在の登録施設数はまだ多くありませんが、今後は全国的に認定施設が増え、地域ごとの施設間交流や情報共有が活発になることを期待しています。

 一方、「Ai認定診療放射線技師」は、死後画像の撮影に関する知識・技術の向上と品質の確保、公正性の担保を図り、死因究明に必要な画像を安定して提供できる体制を整備することを目的として、平成23年10月に日本診療放射線技師会によって創設された認定制度です。
 令和7年4月現在、全国で1,183名のAi認定診療放射線技師が認定され、すべての都道府県に認定技師が在籍するまでに普及しました。そして令和8年度からは、この制度は日本オートプシー・イメージング技術学会(JSAiT)へ移管されています。
 ご遺体を撮影する診療放射線技師を認定するこの制度は、Aiの社会実装を支えるうえで極めて重要な制度であり、私は日本医師会の産業医制度にも通じる性格を持つものだと考えています。そのため、職能団体である日本診療放射線技師会が認定制度を担っていたことには大きな意義があったと思います。もちろん、制度がJSAiTへ移管されたことには、学術的な発展や専門性の向上という点で大きな期待があります。なお、学術団体は研究や専門性の深化を担う役割を持つ一方、職能団体には全国の診療放射線技師へ普及・教育を進める役割があります。そのため、今後は学術性だけでなく、現場への普及という視点もこれまで以上に大切にしていただきたいと感じています。

 Aiは比較的新しい分野であるからこそ、研究や高度な専門的取り組みは欠かせません。しかし、それが過度に専門領域として位置付けられてしまえば、「限られた施設・限られた人材でしか実施できない検査」という印象を与え、一般医療への普及を妨げる可能性もあります。
 私が理想とするのは、将来的にすべての医療機関でAi認定診療放射線技師が活躍している姿です。その環境が実現すれば、全国どこでも一定水準以上のAi画像が提供され、死因究明の質がさらに向上すると信じています。
 Aiは特殊な検査でも、研究機関だけが行うものでもありません。適切な教育と一定の品質管理があれば、多くの医療機関で実施できる医療です。だからこそ、認定制度には「専門家を選別する制度」ではなく、「全国で一定の質を担保し、Aiを広く普及させる制度」であってほしいと願っています。その理念を忘れることなく、今後も死因究明に資する制度として発展していくことを期待しています。