理事長メッセージ

髙野英行理事長
理事長 髙野英行

2014年3月、Autopsy imaging(Ai)学会理事長に就任いたしました。

Ai学会は、Aiの概念を提唱した、重粒子医科学センター病院の江澤英史氏と、日本の死後CTの草分け的存在の筑波メディカルセンター病院の塩谷清司氏により、2004年1月に創設された学会です。今年は、十年目の節目の年に当たります。社会に対するAiの認知度は、海堂尊氏の「チームバチスタの栄光」、「死因不明社会」で高まりました。2011年には、海堂氏、塩谷氏、前理事長山本氏、飯野理事、長谷川前理事、拙生による「死因不明社会2 なぜAiが必要なのか」が出版されました。一般の方々に対して、Aiという言葉が認知されていると、出版社が判断し、「なぜAiが必要なのか」という副題が追加されています。学会の初期の目的である、Aiの認知度アップは達成されてきたと考えます。

また、、2012年6月に因究明2法と言われる、「死因・身元調査法」と「死因究明等推進法」 が成立し、その中に、死亡時画像診断の利用が掲げられています。「死因・身元調査法」は、警察関連の死因究明であり、警察関係者は、Aiの利用に積極的であるということが分かります。一方、「死因究明等推進法」は、警察外の死因究明であり、それは、必然的に医療機関です。一般の医療機関の方々には、死因究明に対する必要性に対する温度差があるため、積極的に利用しようとしている救急病院から、あまり対応できていない、研究型の病院や療養型の病院まであります。

Aiに対する医療機関の温度差があるため、画像診断のプロである放射線科医の中にも温度差があります。しかしながら、日本医師会は、その有用性に気づき、Ai研修会、シンポジウムを行ってきました。日本診療放射線技師会も研修会を行ってきました。それにより、医療関係者の中にも、その必要性が広まった来たと思います。

2014年度からは、厚生労働省による小児死亡全例Aiに向けてのモデル事業が始まる模様です。これは、小児虐待や診断されていなかった先天奇形の発見が期待されています。これは、日本という国が、小児虐待を積極的に解明することを宣言し、社会に広める手段となるでしょう。逆説的な話ですが、小児死亡全例Aiが世に知られ、加害者が手加減し、虐待の重症度が下がり、Aiの数が減ることが我々の願いです。また、将来的に予想される老人虐待の増加などの問題に対しても、Aiという存在そのものが、予防薬となることが期待されます。

一方、医療者の中でも、医療事故や安全管理を任されている部門の方々に、Aiは重要な要素となっていくでしょう。医療事故調法が成立する(2014年3月)ことも考えられ、その時には、Aiは必須になってきます。何故なら、院内解剖では、死因が解明できないからです。解剖は、あくまで結果ですので、死因と言われる原因を示せるとは限らないのです。「診療関連死のモデル事業」の結果がそれを物語っています。Aiであれば、生きている時の画像診断とスムーズに連携し、死亡の原因を探ることができます。

Ai学会は様々な職種、業務の方々が、Aiの普及という共通の理念で運動している学会です。救命救急医、病理医、法医学者、医療安全委員会、診療放射線技師、看護師、警察そして放射線科医が、立場を超えて、オープンに協力しあって活動することができれば、Aiの普及が達成し、より良い医療と社会貢献ができると思っています。そのためには、会員の皆様および関係各位のご協力が必要ですので、今後ともよろしくお願いいたします。