第174回
2026年05月15日

病理解剖とオートプシーイメージング

市立伊丹病院 病理診断科 病理診断科科部長
宋 美紗

 病院で患者さんが亡くなられた際、原因を評価するために病理解剖かオートプシーイメージング(Ai)かいずれを依頼すべきか臨床医が迷う場面もあるのではないだろうか。

 急変の原因は何だったのか? あの治療に効果はあったのか? など経過中の疑問点があれば、全臓器を詳細に検討し病態の解明に迫ることができる病理解剖が相応しい。しかし結果報告までに数か月を要することもあり、そもそもご家族の承諾を得ることが難しい。

 ご遺体への侵襲の少ないAiは突然身内を失って動揺されているご家族にも提案しやすい。出血などの病変が指摘できれば、死因究明に有用である。一方で、なぜ出血したのかといった複雑な背景の説明には限界があり、より詳細な検索が必要であれば病理解剖を提案することもできるだろう。

 さらに、病理解剖を行う場合であっても解剖前にAiを併用することが有用である。ご家族の承諾を得ることが難しい脳解剖を積極的に勧めるべきかどうか、一般的に病理解剖の対象とならない四肢や骨の解剖を追加で行うかどうかなどを判断する一助となる。また、解剖後のCPCで臨床医と共有することで病態理解を深めることができる。

 病理解剖もAiもすべての施設で容易に実施できるわけではなく、それぞれの施設で可能な手段を確認し、その特性を踏まえて適切に選択していただきたい。そして、病理医の立場からもAiのメリットは大きいと考えられるため、導入を前向きに検討して欲しいと思う。