第158回
2024年12月01日

青森県における死因究明の現状について

ひろさき糖尿病・内科クリニック
長谷川範幸

 このたび、オートプシーイメージング学会、新理事に就任いたしました長谷川範幸と申します。

 私は、勤務医時代に当直を中心として、救急搬送されてきた心肺停止患者に対して、可能な限り正確な死亡診断書(死体検案書)作成するために、平成16年から死後画像診断を行ってきました。当時は死体をCT検査するとなると、周囲からかなり抵抗を受けたものです。しかし、世間を騒がせる事件もあり、次第に死後画像診断のニーズも高まっていると考えられます。

 令和2年4月にクリニックを開院してからも、年間約450体前後の死後画像診断を行っています。また、画像では判然としない件、事件性が高いものについては、警察、法医学教室と連携し司法解剖を依頼しています。その際、常に心掛けていることは、解剖所見と、死後画像の対比です。これを重ねるごとに死後画像診断の精度が上がっている印象を持っています。

 また、平成26年9月には青森県死後CT検討会を立ち上げ、その後定款を作成し、平成27年5月には青森県死後画像研究会を立ち上げました。コロナの流行により一時中断しましたが、現在までに23回開催しています。参集範囲は、周辺病院関係者、警察関係者、消防関係者、弁護士、放射線科医師、法医学講座医師です。青森県ではこの会が設立されるまでは、心肺停止患者に対する死後画像施行率は低かった印象ですが、近年は増加しています。

 青森県内で異状死体として警察が取り扱う遺体は約2000体超ですが、それに対するAi施行率は約80%以上です(腐敗著しいものや、事件性高いものは、画像無しで司法解剖のことが多いです)。

 あくまでも当地域での独自スタイルではありますが、ひとつの研究会を継続したことにより、青森県でのAiの認知度、施行率が高まったと思います。画像等の詳細な学術的検討はもちろん大事ですが、各地域で異状死に対して、まずは画像を撮る、保存するといったことを、定着させることが大切と思います。できれば都道府県ごとに、画像を集積できるシステム(サーバーなど)が設置できれば、理想的と考えます。