第149回
2024年03月01日

Meeting Report:令和5年度 都道府県医師会「警察活動協力医会」学術大会

Ai学会理事
千曲中央病院副院長
宮林千春 先生

 日本医師会から県医師会を通じ都道府県医師会「警察活動協力医会」連絡協議会・学術大会(令和6年2月23日:日本医師会館)の案内が届きました。医師会事務局に確認したところ、今まで長野県「警察活動に協力する医師の会」に手を上げていた(=主に検視検案をした)医師に広報したとのこと。連絡協議会は県郡市医師会担当役員が参加し、学術集会は私のような一般医師も参加可という回答でした。都道府県医師会「警察活動協力医」という全国組織を設立し、その第1回の学術集会も催す、というのが私の理解です。検視検案業務にどのくらいAiが活用されているのか興味がありweb参加しましたのでレポートします。

【概略・主旨】警察活動協力医会は日本医師会が運営しており「検視検案」が会の主題でした。老若男女問わず今後検視検案に関わる医師が増えること、質が広く均霑化するよう日本医師会は日本歯科医師会、警察庁、法務省、総務省、厚生労働省などと連携し啓蒙・研修活動を企画していくようです。

【基調講演】「大規模災害時のDVI 活動における多職種連携の重要性」演者は国際医療福祉大学医学部 本村あゆみ先生。骨子は①災害死亡者の死因及び身元調査のために警察主導で法医学的活動が行われ、海外ではDisaster Victim Identification (DVI) と呼称される。②阪神淡路大震災、東日本大震災、能登半島地震におけるDVIの実際。③千葉大規模災害時DVI訓練を多職種連携(医療関係者・警察・消防・海上保安庁・航空会社・行政・法医学会関係者・学生)によるロールプレイング研修を行っており、いずれ全国展開したい様子でした。

【一般演題】6題あり演者所属は熊本県1、宮崎県1、千葉県2、兵庫県1、東京都1(一般病院5、監察医務院1)でした。演者も現地参加者も還暦前後の先生方が多いようでした。検視検案においてAi(死亡時画像診断)は当たり前という現状を確認。全国的にAiの質が担保されているかどうかは不明。少なくとも発表演題については吟味されていました。

Ai-CT・死後画像検査(CT)と表記は不統一でしたが「死亡時画像診断(Autopsy imaging)におけるチェックシート」(新潟大学死因究明教育センター 高橋直也先生)がルーチン業務に活用されている演題もあり、Ai学会の活動が社会に浸透していると感じました。

【その他】今後、厚生労働行政推進調査事業「死因究明等の推進に関する研究」として「検案報酬等に関するアンケート調査」を日本医師会が行うとのこと。とても興味深い。