第140回
2019年5月17日

第17回Ai学会 in熊本大会開催に向けて
「Ai改革~検案活動とAi~」

医療法人川口会 川口病院 院長 川口 英敏 先生

この度第17回オートプシー・イメージング(Ai)学会を熊本にて開催させていただく川口英敏でございます。第17回Ai学会学術総会は2019年8月24日(土)~25日(日)の2日間の日程で熊本県医師会館を会場として開催いたします。

今回は異状死体の検案活動に焦点を当てて、総会テーマは「Ai改革~検案活動とAi~」とさせていただきました。

今回の総会ではAiがこれまでの検案活動や死因究明制度をどの様に変え、また今後どう変わっていくかという視点でシンポジウム「日本における検案活動の現状」を企画して、各方面の先生方よりご講演・討論いただきます。

また、特別講演では福岡大学医学部法医学教室教授久保真一先生に「死因究明における薬毒物分析の意義」と題してAiとは異なり、Aiで死因究明困難な薬毒物中毒についてご講演いただきます。久保教授は2015年にカフェイン中毒死に関してTV・新聞等で大きく報道された法医学の薬毒物中毒の第一人者です。

当院がAiを開始したのは1998年(平成10年)頃で、CPAOAで来院し蘇生しなかった症例に対してPMCTとして開始し、死体検案の際の死因究明として行い「日本警察医会」や「法医学の実際と研究」等に発表していました。その後、2005年(平成17年)に江澤英史(海堂尊)先生が当院に来院されAi学会が発足したことを知り、それから参加するようになりました。それまでのことは第22回Ai1000字提言に書いています。

熊本のAiに関して説明しますと、2007年には熊本県警の取り扱う異状死体2015体のうち321体(15.9%)にAiを行っていたのが、2018年は異状死体2189体のうち1203体(55.0%)にAiを行っていて、最近は毎年約60%位にAiを行っています。このようにAiが熊本において広がってきたのは、2007年に「フォーラム医療と警察」という講演会を熊大法医学と熊本県警、熊本県警察医会と共催で熊本県の8ケ所の医師会で行い、熊本県警の刑事部と交通部からCPAOA等の異状死に関しての検視の必要性や内容に関して、又私がAiの検死への応用について講演し約500名の医師・看護師・診療放射線技師・警察官・消防士の方々に参加していただいたことが熊本のAiの初まりだったと思います。その後、熊本県警の「検視実務専科」という1年に1回1週間の研修が警察学校で行われていて(毎回約30名位の警察官が参加)、その中でも「CT検査の基礎・死亡時画像診断」として約3時間の講習を行っており、これも熊本県警にAiが広がっていった要因だと思います。このようにAiの普及は警察官等への啓蒙と思います。このような熊本におけるAiの現状・展望なども第17回Ai学会で皆様にご紹介したいと思っております。

世界の地震の約2割は日本周辺で起こると言われており、8年前は東日本大震災、3年前には熊本地震が発生し、熊本では阿蘇大橋が崩落し熊本城の天守・石垣も大きな損害を受け未だ復興途上ですが、学会場の熊本県医師会館から復興中の熊本城を目の前に見ることができます。

最後に、第22回1000字提言執筆(2005.5.31)のときAi学会会員数は221名でしたが、現在は1047名と大きな学会となってきました。多数の皆様が第17回Ai学会に参加されますのを「くまモン」と共にお待ちしています。