第124回
2017年2月27日

三重の地へのいざない、コンパクトにまとまってはいけないAiの今後。

三重大学病院 Aiセンター/医療安全・感染管理室
兼児 敏浩先生

本年、8月26日に第15回Ai学会学術総会を三重県津市で開催することとなりました。みなさまにおかれましては、是非、ご参加のほどをよろしくお願い申し上げます。

三重県といえば、新幹線は通っておらず、飛行場もないことから、とてつもなく辺鄙なところという印象をお持ちの方も少なくないと思います。しかし、「伊勢志摩サミットが開催されたところ」「伊勢神宮のあるところ」といえば、何となく聞いたことはある、また、モータースポーツが好きな人でしたら「F1や8耐の鈴鹿サーキット」、グルメの人でしたら、「おいしい松阪牛、伊勢エビ」から連想できるかもしれません。最近では、伊賀忍者が外国の方にも人気です。学会参加の前後は、“みどころ・あそびどころ・たべどころ”がてんこ盛りの三重を楽しんでいただければと思います。津は近鉄利用で名古屋から45~50分、東京からでも3時間はかかりません。また、中部国際空港(セントレア)から高速船で45分です。思ったよりは不便ではなく、当日は10:30開始としましたので、首都圏でしたら、頑張って朝早く出れば、開始時刻に間に合うと思います。ただ、ホテルの確保は早めにお願い致します。

さて、今回のテーマは「Ai、さらなる学際的展開をめざして」とさせていただきました。“学際的”の意味するところは、“単一の学問の領域を超えて協働する”ことかと思いますが、今、まさにAiは学際的に発展していくのか、コンパクトにまとまってしまうかの分水嶺にさしかかっている状況と考えます。本学会をはじめ、多くの関係者の努力によって、Aiの有用性と必要性は幅広く認知され、一昨年から運用開始となった医療事故調査制度においてもAiは死因究明に有用なツールとして明確に位置付けられています。Aiはこのように一部から全体、スタディからプラクティスへと発展してきましたが、それと同時にある種の物珍しさ感は薄れてきつつあります。これは、Aiに日常から関わっていない人にとっては、Aiに興味を持つ機会が少なくなり、Aiは放射線診断分門の一業務に過ぎないと認識されてしまう可能性があることを意味します。Aiはまだまだ、完成された領域ではないので、学際的に多くの人が関わって、発展していくべきところを小さくコンパクトにまとまってしまうのではという危惧があるのです。

亡くなった原因を明らかにすることが最高の供養であるのならAiは最高のグリーフケアのツールになるはずです。また、医療関連の学生が、学生時代からAiに慣れ親しめば、多くの職種がAiに興味を持つことに繋がります。本学会では、そのような視点から特別講演やシンポジウムを企画いたしました。また、Aiを捜査ツールとして捉えたとき、同じツールである “うそ発見器”についてもご講演をいただきます。“科捜研の女”の指導者にあたる科学警察研究所から主任研究官をお招きいたします。我々の学術的欲求を満たすとともに警察関連の方との連携がより深まることが期待できると考えております。

さあー、みなさま、8月26日は是非、三重の地にいらしてください。

絶対お得な懇親会も準備しています。