Ai情報センターから見たAiの行方
早いもので、2010年4月に開業したAi情報センターも4年目に突入しました。創業3年で90%が倒産するともいわれるこのご時世で、何とかやってこられたのも、私を支えてくれたAi学会の会員の皆様をはじめとした多くの人たちのおかげだと思っています。
今でも、Ai(死亡時画像診断)以外に通常の生体読影のアルバイトをしないと生活が成り立たない状態ですが、2013年総会で発表したように、2013年になってから、損害保険会社や弁護士の先生からの依頼案件が増え、月10件以上の依頼が来るようになりました。
当初は、遺族や医療機関からの依頼が多かったのですが、最近は、損害保険会社や弁護士などからの依頼や、裁判所、警察などからの依頼も増えてきています。これは、第三者機関としてAi情報センターが認知されてきたことの査証なのではないかと思います。
2012年6月に死因究明二法が成立しました。死因究明推進法のもとで開催されている推進会議では、来年度予算で児童虐待防止の為に、小児Aiのモデル事業の為の費用が計上されています。医師会や厚労省でのAi検討会で提言された、小児Ai全例実施への布石になるのではないかと考えられ、これを足がかりに、全国各地でのAi実施に弾みがつくのではないかと期待しています。この小児Aiの読影で、小児放射線科の医師を含めた複数鑑定の実績があるAi情報センターは重要な役割を果たす事になると思います。
もう一つの死因・身元調査法はすでに2013年4月から施行されており、実施件数も、4月から9月の警察取り扱い7万3千体のうち3500体にAiが実施されているようです(Ai学術シンポジウム内の警察庁からの発言より)。全死亡者数114万人のうち約3%しか解剖できない日本の現状では、犯罪見逃しを防止するためには、やはりAiが必須だと警察も十分理解しているのです。これらの案件の中で、刑事事件の立件や裁判の証拠としてAiが活用されるようになってきています。
もう一つの大きな流れとしては、やはり診療関連死の問題を取り上げなければなりません。今回の死因究明二法では、わざわざ診療関連死は除くと書いてあるくらいに、様々な議論があり決着が見えづらい問題ですが、ここでもやはりAiは有用です。特に、院内型事故調査委員会では、遺族などの信頼を得るためにも第三者の目が必要ですが、画像という客観的な証拠を、公平公正中立的な立場で院外の放射線科医が読影することが重要であるということに多くの医療機関、医師などが気づくようになってきています。これらの病院では「Ai委員会」を立ちあげ(内科・外科・看護師・放射線技師・診療情報管理室・医療安全管理室)、定期的に撮影症例のレビューと読影依頼の有無について決定し、Ai情報センターへの依頼するようになっています。
今後、裁判などが行われたときには、「今回の案件ではAiをやってないの?困るなあ」などと、問題症例にはAiが行われ、第三者機関であるAi情報センターがそれらの症例について読影する時代がきっと来るはずです。
以上のように、現在、Ai情報センターが扱う症例からAiの実情を見てみると、警察、検察などの犯罪関連のものと、生体鑑定を含む医療関連死に大きく2分されるようです。
学術分野ではAi学会が、実務分野ではAi情報センターが日本の死因究明をリードできるようになるべきであり、また我々も努力していくつもりです。現在Ai情報センターではAi読影医を募集しています。塩谷先生や高橋先生などと一緒に読影するシステムです。ご興味がある方は是非お問い合わせください。