「死因究明における死亡時画像診断(Ai)の意義
ー司法解剖を経験した交通死遺族との面接にもとづく検討ー.」
(東京大学大学院人文社会系研究科(文学部):白岩祐子先生・唐沢かおり先生の原著論文のご紹介)

‘グリーフケアにおけるオートプシー・イメージング(以下Ai)の有用性’に関しては複数の言及がありましたが、いずれも医療関係者からの発信でした(1-6)。ところが先日、東京大学大学院人文社会系研究科(文学部)の白岩祐子先生と唐沢かおり先生の原著論文「死因究明における死亡時画像診断(Ai)の意義ー司法解剖を経験した交通死遺族との面接にもとづく検討ー.」が掲載されました(7、8)。私が知る限り、文学部の先生が‘グリーフケアにおけるAiの有用性’を考察されたのは、これが初めてです。今後のAi学会の活動に資する内容と考え、会員の先生方にご一読をお勧めするため投稿した次第です。

死因究明における死亡時画像診断(Ai)の意義
―司法解剖を経験した交通死遺族と の面接にもとづく検討―

白岩 祐子先生(東京大学 大学院人文社会系研究科)
唐沢 かおり先生(東京大学 大学院人文社会系研究科)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shes/16/1/16_25/_pdf

白岩祐子先生の講義の様子が東京大学朝日講座のホームページに掲載されていますので(9)、論文と併せご覧下さい。

付記:社会心理学研究室のホームページな序言には、次のような記載がありました。「…激動の時代のなか、私たちの研究室は、従来の研究領域の区別にこだわることなく、文理の壁を超えた形で、貪欲に新しい学問の在り方をもとめていきたいと考えています。…」(10)。

Aiの普遍性は文学部領域にもクロスオーバーするものだとの論旨は、今後のAiの普及活動にも大きな影響をもたらしてくれるであろうことを確信した次第です。みなさま是非ご一読願います。

一般財団法人 恵愛会 聖隷富士病院
放射線科部長
塩谷清司(Ai学会理事)


文献
  1. 江澤英史:剖検およびオートプシー・イメージング(Ai)に関する担癌患者遺族アンケートの解析. 癌の臨床50(5):383-390, 2004.
  2. 兵藤秀樹:平成20年度文部科学省採択 質の高い大学教育推進プログラム(教育GP) 「死亡時画像診断による教育支援プログラム」~人間性豊かな医師の育成を目指して~
    http://web.sapmed.ac.jp/ainogp/report/index.html
  3. 七戸康夫:第12回Ai学術総会大会長挨拶
    https://plaza.umin.ac.jp/~ai-ai/event/meeting/meeting_12_pro.php
  4. 兼児敏浩:第15回Ai学術総会大会長挨拶
    https://plaza.umin.ac.jp/~ai-ai/event/meeting/meeting_15_pro.php
  5. 石井由美子:Aiとグリーフケア. インナービジョン33(1):52-53, 2018.
  6. 飯田訓司:第16回Ai学術総会シンポジウム指定症例報告「突然死。技師として、遺族として…」
    https://plaza.umin.ac.jp/~ai-ai/event/meeting/meeting_16_pro.php#a3
  7. 白岩祐子、唐沢かおり:死因究明における死亡時画像診断(Ai)の意義 -司法解剖を経験した交通死遺族との面接にもとづく検討-. 人間環境学研究2018年16巻第1号p. 25-34
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/shes/16/1/16_25/_article/-char/ja/
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/shes/16/1/16_25/_pdf/-char/ja
  8. 科研費研究課題:遺体に対する「心」の知覚:死者に愛着と敬意を抱く心的メカニズムの解明
    https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K04310/
  9. 白岩祐子:「犯罪被害者のための正義:人間と法のダイナミズム」
    https://www.u-tokyo-asahikouza.jp/2017年度講義概要/第5回-10月25日/
  10. 東京大学大学院人文社会系研究科 東京大学文学部 社会心理学研究室
    http://www.utokyo-socpsy.com/index.html