日本磁気共鳴専門技術者認定機構の設立に当たって
磁気共鳴画像(MRI)は,1970年代後半に, Lauterbur,Mansfieldといった研究者が人体の画像化に成功し、本格的に臨床応用が始まりました。その後日本においても80年代から臨床応用が急速に進み,現在のMRI稼働台数は世界第二となる5000台近くに達しています。MRIの普及は,日本の医療レベルの向上に大きな役割を果たしてきたものの,読影する医師,撮像する技師の整備が,急速な普及に追いついていないのが現状です。
画像診断全てに共通したことですが,正しい診断のためには,整備できた機械で,熟練した技師が撮像し,専門医が読影するというプロセスが極めて重要です。特に,MRIの様な先端医療機器の場合は数年で陳腐化するため,state of the artな機種で検査することが必要となってきます。これについては,保険点数を交えた議論が行われているところです。
読影医師については,日本医学放射線学会が専門医制度を制定しており,専門医が読影に当たることによって,診断のレベルを高める努力をしています。現時点でも,大規模病院のMRIの多くはMRIに習熟した放射線科専門医によって読影されています。より診断精度を高めるためには,MRIに習熟した医師が読影するシステムを確立していくことが非常に重要です。
今回設立した日本磁気共鳴(MR)専門技術者定機構は,MRIの臨床的レベルを高める上で,機械,読影と並んで重要な,撮像技術の標準化を目的として設立しました。設立に当たっては,MRIの機械,読影,撮像に関係する,日本磁気共鳴医学会,日本医学放射線学会,放射線科専門医会・医会,日本放射線技術学会,日本放射線技師会,日本臨床衛生検査技師会,日本医用画像システム工業会から代表者が参画し,この目的に向かって努力して参りました。今から第一回の認定を行うところですが,わが国のMR検査技術の国際的な同等性を確保するとともに、最新の医療技術に対応した最善の画像情報を標準的に提供し、安全を担保することで、国民の福祉と社会の発展に寄与することを目的を遂行できる機構にしていく所存です。今後とも皆様のご協力とご支援をお願いいたします。