東京大学肝胆膵外科、人工臓器・移植外科 教授 國土 典宏

臓器移植医療部は、平成15年4月より、中央施設の一つとして、活動を開始している。欧米においては、肝臓、腎臓、心臓、肺、膵臓、小腸などの移植医療は、一般的な治療法として広く受け入れらており、年間20,000例を越える移植が行われている。一方、本邦では平成9年10月臓器移植法が施行され、国家的プロジェクトとして、臓器の分配機関、臓器提供施設、臓器移植実施施設などの体系的な基幹整備の枠組みが構築された。しかし、平成22年度の臓器移植法改正後も脳死ドナーからの移植は年間40例程度の実施に留まっている。今後、臓器提供者や、移植施設の確保など環境整備及び啓蒙活動が課題となっている。移植医療では、概して全身状態不良の臓器不全患者に対し移植手術を行うものであり、術後も拒絶反応、感染症、血栓症など様々な合併症に気を配る必要がある。すなわち、通常の外科手術に比べ、術後早期に死亡する危険も高い。

東大病院では、これまで臓器移植医療に積極的に関与している。昭和41年(1966)、慢性腎不全に対する移植としては、本邦初の成功を収めた。また、平成8年(1996)1月より、生体肝移植の実施を開始し、平成25年(2013)12月までに520例、また脳死肝移植を19例施行している。その成績も良好であり、全国平均を10%程上回る成績を維持している。東大病院は、本邦における心臓移植実施9施設の1つでもあり、他に治療法のないと診断された末期重症心不全患者の治療に積極的に取り組んでいる。平成25年(2013)12月現在44例の脳死移植を行い43例生存中である。実施上述の臓器移植法改正に伴う症例数の増加は著しく、この44例中、34例は平成22年8月以降に行われた。さらに平成26年3月には全国で9番目の肺移植実施施設として認定され、肺移植適応患者登録を開始した。このように、臨床成績のさらなる向上を目指し、国内はもとより国際的にも通用する積極的な基礎そして臨床研究活動を行っている。このように、臨床成績のさらなる向上を目指し、国内はもとより国際的にも通用する積極的な基礎そして臨床研究活動を行っている。

我が国の特徴として、心臓以外の臓器移植は、生体ドナーがほとんどを占めているという状況がある。ドナーの受ける肉体的、精神的負担は決して軽視できるものではなく、レシピエント、ドナー家族を含めた社会的、精神的サポートは極めて重要であり、これらなくして生体移植は成立しえない。臓器移植医療部には、看護師が専属のレシピエント移植コーディネーターとして配属され、主に生体移植を受けるレシピエント、生体ドナー、そして家族に対する支援を行っている。また、院内外における移植医療の啓蒙活動にも積極的に参加してきた。今後も、いまだ発展途上にある臓器移植医療の一層の拡充を目指し、機能していく必要がある。

東京大学肝胆膵外科、人工臓器・移植外科 教授
國土 典宏