発生中に神経管の背側に形成される神経堤の細胞が両側に遊走した後、後根神経節の神経細胞に分化する。 脊髄神経支配領域の1次求心性神経の細胞体は、脊髄後根神経節 DRGにある。 DRGには偽単極細胞（ pseudouniplar neuron、末梢と脊髄に軸索を延ばす細胞）と衛星細胞（satellite cell、グリア細胞の一種）がある。 末梢と脊髄に軸索を延ばす偽単極細胞 pseudouniplar neuron 三叉神経支配領域の1次求心性神経の細胞体は、DRGに相当するガッセル神経節にある。顔面神経（中間神経）支配領域の1次求心性神経の細胞体は膝神経節にある。 痛みに関連したDRGのニューロンは、小型細胞である。 1次求心性神経の細胞体は、中枢と末梢へ軸索（侵害受容線維）を伸ばしている。 興奮の伝達について考えると、インパルスはDRGへは素通りして脊髄に向かう。 1次求心性神経を維持するために、種々の物質を産生し、産生された物質は軸索輸送によって運ばれる。 DRGにインパルスが到達したときなどには、各種遺伝子が発現する。 神経障害性疼痛や炎症性疼痛では、発現する遺伝子が変化する。

• DRGのニューロンは古典的には、大きさで分類されていた。
• 細胞体の大きさと軸索の系にはある程度相関があり、一般に小型細胞はC線維の軸索を持つと考えられている。
• しかし、DRGは大きさだけでは分類できない。
  
  

  小型細胞　Small dark neuron (SD)	大型細胞　Large light neuron (LL)
  約70%	約30%
  直径30μ以下（ラット）	直径30μ以上（ラット）
  neurofilamentが少なく、Golgi器官が多いために、均一に染まる。	微小管と多量のneurofilamentを含む明るいNissl物質の凝集塊が混在しているために、不均質で明るい染色性を示す。
  neurofilamentの抗体であるRT97に染まらない。	neurofilamentの抗体であるRT97に染まるものが多い。
  RT97に染まる細胞の断面積は、500-600μm2であるが、染まらない細胞は染まるものより大きいものも小さいものもある。 Aδ線維のほとんどはRT97に染まり、C線維のほとんどはRT97に染まらない。 AδとC線維の境界(伝導速度1.3-2m/sec)のものは、染まるものも染まらないものもある。） 　----DRGのニューロンは、大きさだけでは分類できない。

  
  
• 小型DRGニューロンはさらに２つに分けられる。
  小型DRGニューロンの約半数は、植物由来のisolectin B：IB4で認識される糖鎖を持ち、残りの半数は持たない。
  
  

  小型細胞　Small dark neuron (SD)　直径30μ以下（ラット）
  IB4(-)	IB4(+)
  ペプチドニューロン （CGRP、P物質などを含む。）	非ペプチドニューロン （somatostatinを含む。）
  胎生期のDRGのほとんどすべてがIB4(-)	生後1週間では、その約半数がIB4(+)にスイッチする。
  trk A陽性 NGF依存性 BDNFを含む。	胎生期から出生直後はtrk Aを持ち、NGFに反応する。 生後1週間で、GDNF依存性にスイッチする。
  TRPV1が発現する。	ATP受容体のP2X3受容体が発現する。
  Mrgprd(-)	Mrgprd(+)
  炎症性疼痛の発症に関与？	神経障害性疼痛の発症に関与？
  脊髄後角第I, IIo層に終止する。	脊髄後角第IIi層に終止する。
  かなりオーバーラップがある。

• DRGは、いろんな方法で分類されようとしている。
• C線維を出すDRGニューロンとAδ線維を出すDRGニューロンを厳密に分けることは難しいようだ。
• Aδ線維は、IB4(+)なのだろうか？
  

  	小型細胞	中型細胞	大型細胞
  大きさ	直径：22-30μm C線維	直径：30-37μm Aδ線維	直径：50μm以上 Aβ線維
  伝達物質	グルタミン酸、SP、CGRP	グルタミン酸	グルタミン酸
  ATP受容体	P2X3ホモ受容体 急速な不活性化を伴うATP電流	P2X2/3ヘテロ受容体 緩徐な不活性化を伴うATP電流	ATP電流は検出できない
  電位依存性Na+チャネル	TTX抵抗性：TTXr	TTX抵抗性：TTXr ？	TTX感受性：TTXs
  神経成長因子受容体	TrkA、p75	TrkA、p75？	TrkB、p75

受容体	チャネル	伝達物質
ブラジキニン受容体 ヒスタミン受容体 VR(TRPV) プロスタグランジン受容体 アドレナリン受容体＊ Purinoreceptor セロトニン受容体 グルタミン酸受容体＊ オピオイド受容体 カンナビノイド受容体 GABA受容体 グリシン受容体 TrkA	電位依存性Ca2+チャネル 電位依存性Na+チャネル 電位依存性K+チャネル 酸感受性イオンチャネル ATP感受性イオンチャネル バニロイドvanilloid感受性チャネル 機械受性イオンチャネル	グルタミン酸＊ SP CGRP VIP SOM ガラニン ボンベシン エンケファリン BDNF

^＊グルタミン酸およびグルタミン酸受容体は、終末で産生される。
^＊アドレナリン受容体は、病態時に産生される。

• 過敏化の末梢機序：DRGの発現する遺伝子などが変化する。
• 神経損傷時には、細胞体で自発発火が生じる。
• 交感神経系とのクロストーク
• αアドレナリン受容体が発現

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