痛みと鎮痛の基礎知識

■研究法	│組織ー染色│

　→カウンターステイン　/KB染色/HE染色　/銀染色　/X-gal染色　→色素/ 　→マルチカラーイメージング/蛍光色素/顕微鏡

□カウンターステイン
きれいな切片を作るポイント
　固定はしっかり
　薄く染めるのではなく、しっかり染めてしっかり落とす！

○クリューバー・バレラ染色 Kluver-Barrera's stain：KB染色

ニッスルと髄鞘の染色参考1

クレシルバイオレットによるニッスル染色とルクソール・ファーストブルーによる髄鞘の染色

○Nissl stain ニッスル染色

1884年	Franz Nissl（P 1860/09/09〜1919/08/11, ドイツの組織学者）はミュンヘン大学の学生時代（24歳）に、病理学教授のJohan Bernhard Aloys von Gudden（1824/7/7〜1886/6/13）が募った「大脳皮質の神経細胞の病的変化」という懸賞論文に医学生でありながら一等を獲得した。Nisslの用いた染色法の秘訣は、徹頭徹尾アルコール固定を行うことだった。
1894年	Franz Nissl↓が神経をDahlia Violet（＝Aniline Violet＝Methyl Violet ＝ベーシックバイオレット）とmethylene blueで染色できることを発見した。
1894	Franz NisslはAxotomyの初めての報告をした。ウサギの顔面神経の軸索を損傷させると逆行性変性が起こり、中枢にある細胞体周辺のグリアが大きく様変わりしていることを発見した。　←→神経損傷時のグリアの変化

ニッスル物質 Nissl's substance

Chromophil substance in the form of granules found in the cell bodies and dendrites of neurons, but is absent from axons.
ニューロンに固有
ニューロンの粗面小胞体で構成され、ニューロンの異常に高いタンパク質合成能力を反映している。
様々な蛍光性あるいは発色性「ニッスル染色剤」がこの対比染色に使用されている。

ニッスル小体 Nissl body　

神経細胞細胞質内に散在する構造。実態は粗面小胞体
好塩基性の虎斑
神経細胞をクレージルバイオレット、トルイジンブルー、やチオニンなどの塩基性アニリン色素で染めた時、細胞質内に顆粒状や短冊状小体として出現するもの。
ニッスル小体が崩壊する状態をクロマトライシスまたは虎斑融解という。
核周囲の細胞質の中心部が腫大し崩壊したニッスル小体が周辺に押しやられる状態を中心性虎斑融解という。これは軸索障害による逆行性変性の結果である。

クレシルバイオレット

Our Lab

100 % ethanol 5 min

100 % ethanol + chloroform 10 min

95 % ethanol 5 min

75 % ethanol 5 min

50 % ethanol 5 min

水洗 5 min-

0.25% cresyl violet 15-30 min

水洗 5 min-

50 % ethanol 5 min

70 % ethanol 5 min

95 % ethanol 5 min

100 % ethanol + chloroform 5 min

95 % ethanol+ acetic acid^*1 -

95 % ethanol 5 min

100 % ethanol 5 min

100 % ethanol 5 min

xylene^*2 5 min

xylene 5 min

よく上下に振りながら行う。
切片に水滴がついている場合は、脱水が十分でないので、前の液に戻る。
^*1顕微鏡でチェックして、充分染色液が落ちていたら、次に進む。
^*2透徹剤として、xyleneの代わりに柑橘類の表皮から抽出されたHemo-Deを使っていたこともある。
To make 500 ml of 0.5 % cresyl violet of about pH 3.9, mix 2.5 g of cresyl violet (Chroma), 300ml of water, 30 ml of 1.0M sodium acetate (13.6 g of gfanular sodium acetate in 92 ml of water), and added to 471 ml of water). Mix this solution for at least 7 days on magnetic stirrer, then filter.

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xylene 5 min

xylene 5 min

100 % ethanol 5 min

95 % ethanol 5 min

70 % ethanol 5 min

0.5 % cresyl violet 15-30 min

70 % ethanol 3-5 min

95 % ethanol 3-5 min

100 % ethanol 3-5 min

100 % ethanol 5 min

xylene 5 min

To make 500 ml of 0.5 % cresyl violet of about pH 3.9, mix 2.5 g of cresyl violet (Chroma), 300ml of water, 30 ml of 1.0M sodium acetate (13.6 g of gfanular sodium acetate in 92 ml of water), and added to 471 ml of water). Mix this solution for at least 7 days on magnetic stirrer, then filter.

　ルクソール・ファーストブルー染色 Luxol Fast Blue stain

原理

試薬

染色結果

方法

脱パラ、95%アルコール
0.1%ルルクソールファストブルー液（58〜60℃、1晩）
95%エタノール
蒸留水
0.05%炭酸リチウム水溶液で分別
70%エタノール I・II で分別
　　　白質　…　青
　　　灰白質　…　白
蒸留水 I・II
0.1%クレシルバイオレット液（5〜8分）
95%エタノールで分別
100%エタノール
透徹、封入

0.1%ルクソールファースト青液染色後は室温で1〜2時間放冷する。
0.1%クレシルバイオレットはあらかじめ37℃に温めておく。

髄鞘染色　myelin sheath staining, myelin sheath stain, myelin staining? 　←→髄鞘

ワイゲルト髄鞘染色
ワイゲルト－パルの髄鞘染色（リチウム・ヘマトキシリン）
ルクソールファストブルー染色　←→クリューバー・バレラ染色

ワイゲルト髄鞘染色

有髄神経線維の髄鞘だけが濃青色に染色される。

○ヘマトキシリン・エオシン染色　Hematoxylin Eosin：HE染色

ヘマトキシリンで細胞核を青紫色に、エオシンで細胞質・線維類や赤血球をピンク色に染める。

神経細胞の細胞体はヘマトキシリンによって赤紫色に染まり、樹状突起や軸索はエオジンによって赤桃色に染まる。しかし有髄線維の髄鞘は、標本作製過程で抜け落ちるので、空白となる。それで、灰白質はやや濃い赤桃色に染まり、周囲の白質は明るい桃色に見える。　*

ヘマトキシリン　hematoxylin

メキシコから西インド諸島に分布するマメ科の小蕎木Caesclpinea種のHematoxylon campechianum（アカミノキ）などに含まれる色素
ギリシア語で「hema（血液、赤い）＋ xyl（木）」、すなわち「血のような赤い木」という意味
アカミノキの心材抽出物は古く18世紀からクロムを主とする各種の金属イオンを媒染剤として織物の染色に用いられ、今日においても、絹、毛皮などの染色用に使われている。
Michel-Eugène Chevreul （ミシェル・ユージン・シェブレルP　1886/8/31〜1889/4/9, フランスの科学者）はマメ科の植物から、1808年にブラジリン、1810年にヘマトキシリンを単離した。
1908年にPerkin Elmerがヘマトキシリンの構造を解明し、1963年のDannとHofmannの合成により決定された。
Heinrich Wilhelm Gottfried von Waldeyer-Hartz（P 1836/10/6〜1921/1/6, ドイツの病理学者、ヘンレの弟子）がヘマトキシリンを使って染色体の研究をした。
Karl Weigert (P 1845/3/19〜1904/8/5 ドイツの病理学者、Paul Ehrlichの甥、Heinrich Waldeyer、Julius Cohnheimの助手）が1885年には、重クロム酸カリで固定してからヘマトキシリンを用いる髄鞘染色法を考案した。
酸化されるとヘマテインになり、これと染色液中の金属が結合する。この錯体が正に電荷しているため、細胞核などに結合して紫色に染色される。
酸化によりヘマテインとなり、Al(III)やFe(III) と錯塩を形成して強く青に発色する。媒染剤により色調が異なり、アルミニウムの場合には青白色、鉄の場合には青黒色となる。
陰性に荷電した分子に結合しやすいという特徴があるので、ヘマトキシリンは主に核酸に結合し、核、核小体、リボゾームが強く染まる。
マイヤーおよびカラッチの処方は、従来から使用されているヘマトキシリン染色液の代表格
マイヤー・ヘマトキシリン液では、核を選択的に染め分別は不要

カラッチ・ヘマトキシリン液では、核以外の細胞質等も染色され酸による分別が必要だが、マイヤー・ヘマトキシリンと比較し染色強度が強い利点がある。

ヘマテイン haematein, hematein

ヘマトキシリンの酸化物
ヘマトキシリンによる染色における有効成分
金属と錯体を形成し、それを染色する。

エオシン、エオジン　eosin

酸性色素、Xanthene系の赤色調色素
フルオレセインを臭素化してできる赤い色素
顕微鏡検査のおいて、細胞質、コラーゲン線維、筋線維の染色に用いられる。
エオジンは水溶液中で負に荷電しているため、正に荷電したタンパク質などに結合して細胞質が赤〜ピンク色に染色される。酢酸などを加えて酸性にするとタンパク質の荷電が変化して、エオシンが結合しやすくなるため染色が強くなる。
エオシンは種々のタンパク質に結合し、タンパクを豊富に含む細胞が強く染色されます。また、細胞外のタンパクも染まるため、結合組織のコラーゲンなども綺麗なピンク色に染まる。
エオシンに染まりやすい組織をエオシン好性と呼ぶ。エオシンYとエオシンBの2つの誘導体がある。
アルコールにも数％溶解

○鍍銀染色、銀染色、銀反応　Silver impregnation methods

組織に銀メッキをして観察する方法
銀鏡反応の応用により、タンパク質などに銀イオンを結合させ、これを還元して金属銀にする。

硝酸銀、アンモニア銀、プロテイン銀などが用いられる。

○ゴルジ染色法、鍍銀法　Golgi's method

1873年にCamillo Golgi（P イタリア）が発見した鍍銀法 silver staining techniqueを用いた染色法
ゴルジ染色は固定した神経組織をクロム酸カリウムと硝酸銀に浸すことで行われる。これにより神経細胞は微結晶化したクロム酸銀で満たされることになる。
クロム酸や塩化第⼆⽔銀は、アルコールやホルマリンと同様に組織固定液として利⽤されてきた。ゴルジはクロム酸とオスミウム酸で固定した脳サンプルを、硝酸銀に沈めて切⽚を作成することを試みた。作成した切⽚を顕微鏡のステージにのせ、レンズを覗き込んだ彼の眼には⿊々と染まった神経細胞が映しだされ、彼はこの⽅法を「⿊い反応」と名付けたが、本法はのちに彼の名前をつけて「ゴルジ染⾊」と呼ばれるようになった。
神経細胞の形態や樹状突起スパインなどの微細構造を可視化するために⽤いられる染⾊法
銀塩写真現像の原理と基本的に類似
ゴルジ染色法による染⾊像は他の化学染⾊や免疫染⾊と⽐べて⾼いコントラストを有するが、染まった細胞はその細部に至るまで細胞全体が⿊く、そのほかの細胞は無⾊であるため、鍍銀された神経細胞の樹状突起スパインなどの微細構造が明瞭に浮かび上がる。
樹状突起、及び細胞体は茶色や黒ではっきりと染色され、その末端まで追うことができるので、神経細胞間の結合を調べ、脳内の複雑なネットワークを解析することができる。
硝酸銀を重クロム酸カリウムと反応させることで、クロム酸銀の粒子を神経鞘に固定させ、神経細胞の突起部分を染め出す染色法
精神神経疾患や学習に伴う樹状突起スパインの形状や密度の変化などの微細構造解析において頻用されている。一方、樹状突起や軸索を含めた１個のニューロンの形態学的可視化という研究目的では、ゴルジ染色は神経トレーサー標識法やGFPなどの蛍光タンパク質標識法にとって代わられている。
ゴルジ染色はSantiago Ramón y Cajal（P 1852/5/1〜1934/10/17、スペインの神経解剖学者）によって神経系の構造に関する数々の新事実の発見に使われ、ニューロン説の誕生に寄与した。

ビルショウスキー染色　Bielshowsky's silver stain　*

神経を可視化する銀染色法
神経原線維　neurofibrilsと軸索に用いた鍍銀法
1904年にMax Bielschowsky （1869/12/1〜19404/5, ドイツの神経学者）が考案し、Santiago Ramón y Cajal（P 1852/5/1〜1934/10/17、スペインの神経解剖学者）が改変した染色法

鍍銀染色 Reticulin silver impregnation, Bielschow-sky-Maresch silver impregnation, Perdran's silver method

細網線維も軸索も神経原線維も老人斑も染まる。
結合組織線維の1つである細網線維を銀アンモニア錯体によって銀メッキする染色法
主に、組織構築像の観察や非上皮性腫瘍の診断などに用いられる。
1905年にMareschがBielschowsky↑の鍍銀法を、肝に応用した。
1921年Perdranにより過マンガン酸カリウム、シュウ酸による前処理の追加で染色性は安定した。

ボディアン染色 Bodian stain

神経原線維を鍍銀する染色法
1935年にDavid Bodian（1910〜1992, 米国の神経科学者）がパラフィン切片用として開発した神経鍍銀法
プロテイン銀によって神経突起および細胞骨格の凝集体（神経原線維変化）を赤紫色に染める。

軸索、樹状突起やアルツハイマー病等の神経原線維変化を明瞭に染色する。

プロテイン銀　silver protein

銀とタンパク質との化合物で、コロイド状の性状をもつ。
腐食、殺菌、防腐、収斂作用をもつ。
ボディアン染色に用いられる。
臨床的にはおもに鼻、咽頭，結膜、尿道、膀胱、結腸などの粘膜に適用され、防腐剤として用いられる。

ガリアス・ブラーク染色　Gallyas-Braak stain　嗜銀顆粒性認知症

アルツハイマー神経原線維変化やグリア細胞質内封入体などのリン酸化タウの蓄積や、αシヌクレインの凝集体を黒色に染める。
凝集体は免疫染色でも検出できるが、大切片における変性疾患の検索方法として有用な方法である。
正常組織で染まるものはないので、分布を調べる時に便利

○X-gal染色

X-gal：5-Bromo-4-chloro-3-indolyl β-D-galactopyranoside (5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド)

ガラクトースの誘導体
ガラクトースと置換インドールから構成される有機化合物
β‐ガラクトシダーゼにより糖と側鎖部分が切断され、インディゴの青色を呈する。

トランスフェクションの効率判定
分子生物学において、β‐ガラクトシダーゼにより分解されると、青い色を呈する性質を利用して、組換えプラスミドに遺伝子が挿入されたことを確認する簡便な検査法
レポーター遺伝子としてlacZ配列を挿入し用いた場合、その遺伝子のプロモーター制御下で、胎児期において発現する細胞種を特定することが可能である。
また、同様にCre recombinase発現するトランスジェニックマウスは、翻訳開始点をloxP配列で挟んだ、同レポーター遺伝子の発現マウスとの交配により、Cre recombinaseが実際に作用する細胞種を特定できる。
lacZ遺伝子を発現する細胞を視覚的に同定できる。
β‐ガラクトシダーゼが作られていれば（lacZ'遺伝子が分断されていなければ）X-galが分解されて青色に染色される。
酵母あるいは大腸菌において、ラクトースオペロンを構成する遺伝子lacZの翻訳産物であるβ-ガラクトシダーゼが発現すると、X-galはガラクトースと5-ブロモ-4-クロロ-3-インドールに切断される。5-ブロモ-4-クロロ-3-インドールは酸化されて、不溶性の青い色素である5,5'-ジブロモ-4,4'-ジクロロ-インディゴに変化する。これを用いて、寒天培地の中にX-galとβ-ガラクトシダーゼの誘導剤（IPTGなど）を加えておくことにより、ラクトースオペロンを発現しているコロニーを容易に見分けることができる。　←→ブルーホワイトスクリーニング
染色液
フェリシアン化カリ
フェロシアン化カリ
MgCl
PBS

○色素　←→蛍光色素/逆行性トレーサー

ブルー	エバンスブルー/メチレンブルー/トルイジンブルー/トリパンブルー/ルクソールファストブルー/ポンタミンスカイブルー/ファースト・ブルー/ヤヌスグリーン
バイオレット	クレシルバイオレット/ヘマトキシリン
レッド	カーミン/ フェノールレッド/コンゴーレッド/ ルテニウムレッド/ローズベンガル/フルオロ・ゴールド
ピンク	エオシン

エバンスブルー Evans blue（Direct Blue 53）

Herbert McLean Evans（1882/11/2/3〜1971/3/6, カリフォルニア大バークレー校の解剖学者、Harvey Cushingの友人、ビタミンE、成長ホルモンの発見者）が(1913年?)に、血液量の測定法として開発した。
緑、青緑、あるいは茶色の粉末の色素、ジアゾ色素
C₃₄H₂₄N₆Na₄O₁₄S₄
T-1824とも呼ばれている。
強アルカリの環境下で安定
内膜が欠損しているとエバンスブルーでは染色されない。
グルタミン酸小胞トランスポーター阻害剤
エバンスブルーの漏出---血管透過性亢進
全血量測定---色素濃度の測定、放射性ヨウ素標識血清アルブミンを用いての放射活性からも血漿量を求めることができる。

メチレンブルー methylene blue

光学顕微鏡で細胞の核を観察するときの染色液としてよく使われる。
一酸化炭素の血管平滑筋弛緩作用を抑制する働きがあることが知られている。カテコラミン不応性アナフィラキシーおよびバソプレシン不応性アナフィラキシーにメチレンブルーが有効であったという報告がある。

トリパンブルー trypan blue

青色アゾ色素
血液脳関門の研究に用いられた。
通常生細胞は染色されず、死細胞のみが染色されるので、血球計算板を用いて極めて簡便に死細胞を検出・計測できる。

トルイジンブルー toluidine blue

フェノチアジン染料
塩基性タール色素（陽イオン染色剤）
染色の特異性は低く、どちらかというと酸性基によくつく。
軟骨染色、肥満細胞染色「異染色性」、神経染色、ムチン（粘液多糖類）染色によく使われる。
細胞内の多くのものが染色されますが、特に核酸（とその結合蛋白）が多いところが強く染色される。

ヤヌスグリーン janus green

C³⁰H³¹N⁶Cl　フェナジン構造とアゾベンゼンの構造を持つ。
ミトコンドリアの染色に用いられる。
Leonor Michaelis （1875/1/16〜1949/10/8, ドイツの生化学者）が1900年に考案した。
ヤヌスグリーンは，細胞膜を通過して細胞内の構造物を染色することができる。このような染色法は「超生体染色」supravital staining と呼ばれる。
酸素のある環境下では酸化されて青に、無酸素状態では還元されてピンク色に発色する。
ヤヌスグリーンによる染色は、TTC試薬による染色よりやや不鮮明だが，非常に簡便な方法である。

クレシルバイオレット Cresyl violet
　→クレージルバイオレット染色

ルクソールファストブルー Luxol Fast　←→ Blueルクソールファストブルー染色

髄鞘染色　→クリューバー・バレラ染色用

カーミン、カルミンレッド、コチニール色素 carmine、cochineal extract

サボテンに寄生するカイガラムシからとれる赤色色素
その本質はアントラキノン誘導体のカルミン酸である。カルミン酸のアルミニウム塩として得られる。
カメムシ目カイガラムシ上科の一部の昆虫、特にアジア産のラックカイガラムシ、南ヨーロッパのケルメスカイガラムシ、メキシコのコチニールカイガラムシなどのメスの体を乾燥させ、体内に蓄積されている色素化合物を水またはエタノールで抽出して色素としたもの
カルミンの語源は欧州のケルメスカイガラムシ（タマカイガラムシ）から古代から中世に伝統的に抽出して用いられてきた色素に由来する。
Joseph von Gerlach（1820〜1896, エルランゲン大学）が1858年に神経組織への最初の染色法としてカーミン染色を考案した。

酢酸カーミン溶液

細胞核や染色体を染色・固定する赤色の染色液
高純度の酢酸水溶液にカーミンを溶かしたもの
細胞核や染色体の染色に用いる。
核分裂などを観察するのに適する。だ液腺染色体では，横縞がよく染まる。
45%酢酸水溶液を煮沸し、塩基性色素であるカーミンを加えて飽和させ、さらに鉄イオンを含む物質を微量加えて作る。
生物の細胞にこの溶液を加えると、まず酢酸によって固定が起こり、負に荷電した核や染色体に、正に荷電したカーミンが吸着して赤く染まる。鉄イオンは媒染剤としての効果がある。
同様なDNA染色法として酢酸オルセイン染色法があるが、それに比べて生細胞の核が染色されやすいとされる。

フェノールレッド phenol red　←→フェノールレッド含有DMEM

水溶液が中性では黄色、アルカリ性では赤色に変化することから、pH指示薬として用いられる化合物
フェノールスルホンフタレイン (phenolsulfonphthalein) とも呼ばれる
人体において分解されず、そのほぼ全てが尿に混ざり排出されることから、腎機能検査に用いられる。

コンゴーレッド congo red、コンゴーロート　Kongorot（ドイツ語）

ベンジジンジアゾビス-1-ナフチルアミン-4-スルホン酸のナトリウム塩で、第2世代のアゾ染料である。
水に溶かすとコロイド溶液となるが、エタノールなどの有機溶媒にはより溶けやすい。
pH 3.0 以下で青色、5.2 以上で赤色となるので、pH指示薬として用いられる。この色変化はリトマスのほぼ逆であるため、演示実験で簡単な手品に使うことができる。
細胞質や赤血球を染色するのに用いられる。コンゴーレッドで染色したプレパラートに偏光を照射すると、アップルグリーンの複屈折光によってアミロイド繊維を検出することができる。
ハンチントン病の病変部位の染色に使われ、その経過において病変部のタンパク質の凝集を遅らせる効果がある。しかし染料としてのコンゴーレッドは化学組成が大きく、血液脳関門を通過できないため、治療薬としてより小さな化学組成の開発が進められている。

ルテニウムレッド ruthenium red：RuR

染色、電顕微鏡
非特異的TRPチャネル阻害薬、Ca²⁺透過チャネル阻害
リアノジン感受性細胞内Ca²⁺貯臓からのCa²⁺誘導性Ca²⁺放出を阻害する。
K⁺の刺激によるカテコールアミン分泌を阻害する。

ローズベンガル Rose Bengal

タール色素に分類される合成着色料である。
食品や生体試料などを赤色に着色するために用いる食紅
ナトリウム塩は食用赤色105号として食品添加物の指定を受けている。
フルオレセインが持つ水素8個を塩素4個とヨウ素4個で置換したものである。
ローズベンガル試験：シェーグレン症候群のための検査法、ローズベンガル液を点眼し、角結膜の状態を調べる検査。ムチン層のない乾いた部分が赤く染色され、涙液分泌低下によって角結膜が障害されると、ローズベンガル液で染色される。これをvan　Bijsterveldスコアで判定する。
光感受性色素
光感受性脳血栓モデル：Watsonら(Neurology 1985)により確立した方法で、ローズベンガルを静脈内に投与し、緑色の光線を経頭蓋的に照射することにより血管内で血小板を活性化させ、血小板凝集による脳血栓を作製する。
グルタミン酸小胞トランスポーター阻害剤

ポンタミンスカイブルー pontamine sky blue

dye for mark

参考　組織染色法マニュアル　自治医大　病理学

☆マルチカラーイメージング　multicolor imaging

複数の蛍光色素または蛍光たんぱく質を用いて、同時に異なる生体分子（細胞種）の挙動を蛍光顕微鏡によって観察する技術

☆顕微鏡
　→蛍光顕微鏡/共焦点走査型レーザー顕微鏡/2光子励起顕微鏡/原子間力顕微鏡

○対物レンズ　objective lens

対物レンズの開口数（N.A.）を大きくするために、対物レンズとカバーガラスの間に入れる液体（=媒質）のことを「浸液」と呼る。この「浸液」を使って観察するための対物レンズを「液浸（系）対物レンズ」と呼び、よく使われるものとしてオイルを使う「油浸対物レンズ」と、水を使う「水浸対物レンズ」がある。

油浸対物レンズ　Oil immersion objective lens

油浸レンズはガラス程度の屈折率を持つ油をレンズと試料の間に満たして、空気とレンズの屈折の影響を排除する工夫がなされている。油を使用しない場合は、性能を十分に発揮できません。
普通のレンズでは、レンズ（ガラス）→空気→カバーガラスと２ヶ所で光を通る媒質が変わり、屈折が起こる。油浸レンズで使用する油、イマージョンオイルは、ガラスと屈折率が合わせてあるため、屈折が起きない。
開口数を大きくすることにつながり、しいては、解像度を上げることになる。

水浸対物レンズ　Water immersion objective lens

油浸法ではなく水浸法を用いることで、収差に関する共通した問題を効果的に解消することができる。
油浸対物レンズと違い、カバーガラスと標本との間に水が存在しても、それが原因で球面収差が発生することはない。また、細胞や培養液も水の屈折率に近いため、組織切片の内部などを観察する場合においても球面収差の発生は僅か。
水浸対物レンズではカバーガラスと水の屈折率差が大きくなるため、カバーガラスの厚み誤差の影響を受けやすくなる。そのため、開口数の大きな対物レンズのほとんどには、補正環が備えられいて、カバーガラスの厚み誤差だけでなく、試料と水の屈折率差による僅かな球面収差をも補正することが可能です。

IMM：Multi-immersion

マルチ浸入顕微鏡対物レンズ
レボルバーを回すことによって、油浸、水浸、グリセロールなどに対応できる。

○ケーラー照明　Köhler illumination

1893年にAugust Köhler（1866/3/4〜1948/3/12, ドイツの教授：生物学、化学、物理学をカバー、書記のCarl Zeissのスタッフ）が考案した照明
ケーラー照明法は、照明ムラがなく、フレアやゴーストのない鮮明な視野が得られることが特徴で、写真撮影には欠かせない照明法

調整

試料にピントを合わす。
コンデンサ絞りと視野絞り（開口絞り）
接眼レンズから覗いたとき、多角形（視野絞りの絞り羽根の像）が視野の真ん中に見えていればOK．
もし多角形がボヤケテいる場合は、コンデンサを上下させて絞り羽根にピントを合わせる。
多角形が視野の真ん中にない場合は、芯だしネジ２本をうまく回し、真ん中に移動する。
片側だけ接眼レンズを外し、鏡筒の中に見える光の点がが鏡筒の真ん中にない場合には光軸がずれている。接眼鏡筒取り付けネジを使って点が真ん中に位置するように鏡筒位置を調整する。
コンデンサ絞りを調整し、対物瞳面上で多角形の直径の70 %〜 80%に調整する。

蛍光顕微鏡　Fluorescence microscope

生体または非生体試料からの蛍光・燐光現象を観察することによって、対象を観察する顕微鏡である。反射光や透過光画像と同時に観察することもある。
生物学・医学における研究、臨床検査、浸透探傷検査などに用いられる。
通常の光学顕微鏡はタングステンランプ・ハロゲンランプなどを光源として観察を行うが、蛍光顕微鏡は蛍光性をもった試料を観察するために、超高圧水銀灯やキセノンランプ・紫外線LED、レーザー光などを用いて蛍光物質の励起波長での照明を可能としている。
励起光には近紫外線（UV励起・334/365nm）・青色光（B励起・405/435/490nm ）・緑色光（G励起・546nm）などが用いられる。

蛍光色素にはDAPI・ローダミン・フルオレセインやその類縁化合物などが用いられる。

励起フィルター excitation filter：EX

蛍光物質の励起に必要な波長の光を励起光源（一般には水銀ランプ）から抽出するための光学素子
特定の波長の光のみを透過し、それ以外の光を通さないようなバンドパスフィルターが一般的に用いられる。

ダイクロイックミラー dichroic mirror, dichroic filter：DM

励起光と蛍光を分離するための光学素子
ダイクロイックミラーは日常的な「鏡」とは異なり、特定の波長の光のみを反射し、それ以外の波長の光を透過するという特徴をもつ。
落射型蛍光顕微鏡を用いた蛍光観察では励起光を照射し、観察対象の蛍光のみを透過させて取り出すことなどができる。
励起フィルターを透過した光はダイクロイックミラーにより反射され（90°折り曲げられ、）対物レンズ及び試料方向へ導かれる。

吸収フィルター barrier filter：BA または emission filter：EM

試料から発せられた蛍光とその他の不要な散乱光などを分離する光学素子
ダイクロイックミラーを透過した長波長の蛍光を透過し、その他のa href="#fexcitation">励起の漏れ光（試料や光学系からの散乱光）などは通さない働きをする（励起光に対する蛍光の強度比は100000:1以下と非常に小さい）。
多くの吸収フィルターは、より良い蛍光画像を得られるように若干傾けて設置してある（ゴーストの発生を抑えるため）。

光のスペクトル　spectrum

光を分光器などで分解したときの各波長成分の強さの分布
可視光および紫外線・赤外線などの波長の順に並ぶ。
可視光：肉眼で見える光：400〜700 nm
蛍光顕微鏡のCCDカメラは、300〜800 nmの範囲の波長を検出する。

励起 excitation

量子力学において、原子や分子が外からエネルギーを与えられ、もとのエネルギーの低い安定した状態から、より高いエネルギーをもつ定常状態へと移ること

励起光 excitation light

蛍光色素を励起させる光

　励起波長帯

Ｕ励起紫外線

Ｖ励起紫色

ＢＶ励起青紫色

Ｂ励起青色

Ｇ励起緑色

Y励起黄

励起スペクトル excitation spectrum

励起光の波長を変えたときに、発光体の発光強度が変化する模様を示すスペクトル
検出する蛍光波長を固定し、励起光の波長を走査して蛍光強度を測定したもの
最も強い蛍光強度を与える波長が、最大励起波長
励起スペクトルは、試料の吸収スペクトルとよく一致し、最大吸収波長で最も強い蛍光を生じる。

最大励起波長　maximum excitation wavelength

蛍光色素の最大励起波長：励起スペクトルの中で、もっとも強い蛍光の放出が得られる波長（ピーク波長）

吸収スペクトル　absorption spectrum

標準の光源に対し、対象物が吸収する光のスペクトルを吸収スペクトル
一般的に吸収しやすい光のエネルギー（波長）は、物質によって異なる。
直接は計測できず、減算で計算する。
励起スペクトルは、試料の吸収スペクトルとよく一致し、最大吸収波長で最も強い蛍光を生じる。

最大吸収波長　maximum absorption wavelength

励起波長と同等とみなす。

蛍光 fluoresence　←→発光/蛍光物質/蛍光色素/蛍光タンパク/遺伝子/蛍光イメージング
＝放射光 emitted light

励起光によるエネルギーを受けた蛍光物質が放出する光
ある波長の光を吸収し、それとは違う波長の光を放出する物理的な性質
励起状態のエネルギーは長い時間持続できず、「減衰」または減少し、結果、光エネルギーを放出する。このプロセスを蛍光と呼ぶ。
蛍光は励起光より波長が長い。

蛍光物質 fluorescent materials, fluorescent substance　→蛍光色素

ある分子がある波長の光を吸収し、それとは違う波長の蛍光を発する物質
通常、蛍光物質が放出する波長は、吸収した光よりも低エネルギーである。青色の光を吸収して緑色の光を発し、または緑色の光を吸収して赤色光を発する。
ほとんどの蛍光物質は、通常ある範囲の波長を吸収および放出する。
それで最大励起波長や最大蛍光波長を知る必要がある。

蛍光分子 fluorescent molecule　→蛍光色素

蛍光を発することができる分子
蛍光分子の例として、Invitrogen™ Alexa Fluor™ 色素、DAPIまたはInvitrogen™ MitoTracker™ Redのような構造的染色、および緑色蛍光タンパク質がある。
蛍光分子と蛍光物質は同義？？？

蛍光スペクトル fluorescence emission spectrum

蛍光物質の波長分布
励起光の波長を固定して、蛍光強度を測定したスペクトル
蛍光の波長に対し、相対的な蛍光強度をプロットして作成する。
励起波長の違いによって、蛍光スペクトルの形状が変化することがないため、固定する励起波長は、最も強い蛍光を生じる最適励起波長を使用する。
蛍光スペクトルのピークは吸収スペクトルのピークよりも長波長側にあらわれる。

最大蛍光波長　maximum emission wavelength

励起エネルギー強度の最も高い波長を最大励起波長、蛍光強度の最も高い波長
マルチカラーイメージングにおいて、最大蛍光波長が最低でも30nm以上離れているものを選択する必要がある。

バックグラウンド蛍光の起源

装置の設定および関連パラメーターに由来するバックグラウンド蛍光—例えば、励起光源からの光、カメラノイズおよび周辺光
サンプル、容器および観察媒体の自家蛍光、または特定の標的に結合していない蛍光色素に由来する蛍光

自家蛍光　autofluorescence

ミトコンドリアやリソソームといった生物学的構造が光を吸収した際に起こる光の自然放出（フォトルミネセンス）
色素染色の実験では、蛍光画像の信号雑音比（S/N比）を低下させ、バックグラウンド上げる原因となる。
自家蛍光が観察される最も一般的な分子はNADPHおよびフラビン類である。
細胞外マトリックスもまたコラーゲンやエラスチンの固有特性によって自家蛍光に寄与する。
一般的に、アミノ酸のトリプトファンやチロシン、フェニルアラニンを多く含むタンパク質は、ある程度の自家蛍光を示す。

光ルミネセンス　Photoluminescence：PL　←→蛍光/発光

物質が光（フォトン）を吸収した後、光を再放出する過程である（反射とは異なる）。
蛍光物質や蓄光（燐光）物質に紫外線など高いエネルギーを持つ光を照射すると吸光し、励起状態（不安定な状態）となる。その状態から基底状態（安定な状態）に戻ろうとする時に放出する光（可視光など）および現象をいう。
すなわち、電磁波照射によるルミネセンス（光エネルギーを与えた場合に発光する現象）のことである。
フォトルミネッセンス法：物質に光を照射し、励起された電子が基底状態に戻る際に発生する光を観測する方法です。得られる発光スペクトルから、様々な情報を得ることが可能

蛍光の漏れ込み　bleed-through

蛍光の漏れ込みとは目的外の蛍光検出器への入力
複数の蛍光色素を同時に使用した標識を含む実験において、解析対象のチャネルに隣接するチャネルからの蛍光が観察される場合に、漏れ込みが発生する。
励起波長と蛍光波長は山形の分布なので、フィルターの波長の幅を大きくして励起の山を大きく囲えば強く励起でき、蛍光の山を大きく囲えば明るい画像が得られる。しかし、緑を励起しているつもりが赤も励起しているとか、緑の蛍光画像を撮影しているつもりなのに赤の蛍光も漏れ混ンでしまう可能性がある。
特にマルチバンドの励起フィルターやマルチバンドの蛍光フィルターを使う場合は、漏れ込みリスクが高くなる。
蛍光色素とフィルターの選択を適切に行い、漏れ込みを最小限に抑える。
発光スペクトルの狭い蛍光色素を使用することで、漏れ込みを最小限に抑えることも可能
複数の蛍光色素を使用する実験をデザインする場合には、スペクトルがお互いにオーバーラップしない蛍光色素を選択してください。例えば、3色を使用して標識を行いたい場合には、DAPI、FITCおよびTexas Red®フィルターセットに適合する色素を使用するように心がける。

ストークスシフト　stokes shift

最大励起波長と最大蛍光波長間の差
励起スペクトルと蛍光スペクトルのピーク波長間の差
この波長差は、蛍光放出以前の励起状態の際に放出されたエネルギーが熱エネルギーに変換されたために生じる。

蛍光顕微鏡に使われるレーザーと励起波長

アルゴンレーザー　argon laser

イオンレーザーの1種でアルゴンイオンを使う。
発振線は可視部では 488nm (青) と 514.5nm (黄緑) ，紫外部では 351.1nm と 363.8nmである。

364アルゴン（Ar）レーザー

UVレーザーとも呼ばれている。
DAPI等の検出の際に用いられている。

488アルゴン（Ar）レーザー

FITCやニッケル、コバルトなどの検出の際に用いられる。
458nm（CFP）、488nm（FITC、GFP、Alexa488）、514nm（YFP）

GreenHeNeレーザー：543nm（Alexa543、Cy3）

543ヘリウムネオン（HeNe）レーザーは、ローダミン、テキサスレッド等の検出

RedHeNeレーザー：633nm（Cy5、TOTO3）

ホワイトライトレーザー　 laser

可視光の全波長域をカバーするレーザー光源
470〜670nm（740 nm ?）まで1nmステップで励起波長選択可能

蛍光色素　fluorescent dye 　←→通常染色用色素/DNA染色剤/蛍光タンパク質関連遺伝子/蛍光タンパク　参考1

蛍光色素	励起波長 nm	蛍光波長 nm
Alexa fluor® 405	402	421

FITC	495	528
Alexa fluor® 555	555	565
PE (Phycoerythrin)	488	575
Rhodamine	544	578

蛍光色素	励起波長 nm	蛍光波長 nm
PE/Texas Red®	458	620
Alexa fluor® 568	578	603
Texas Red®	596	620
Alexa fluor® 594	596	617
Alexa fluor® 647	650	668
Alexa fluor® 680	679	702
Alexa fluor® 750	749	775
Alexa fluor® 790	784	814

Alexa Fluor

従来の蛍光色素よりも強い蛍光強度を示し、安定性にも優れている。
青から赤までの色調の種類があり、マルチカラー検出にも適する。
核酸や抗体、タンパク質などの蛍光ラベルに汎用される。

7-アミノアクチノマイシンD：7-AAD

DNA含有量マーカー
DNAのシトシン－グアニン塩基対の間に結合する。
7-AAD／DNA複合体の最大吸収は緑色波長域にあるが、アルゴンレーザー（励起波長488nm）搭載のフローサイトメトリーでも使用できる。
7-AADとDNAの複合体が発する蛍光は深赤色（635〜675nm）で、PIに比べてFITCやフィコエリスリン（PE）との蛍光スペクトルの重なりが少なく、FITCやPEで標識した抗体と組み合わせて使用しやすい利点がある。
フローサイトメトリーでは、7-AADからの蛍光シグナルは通常リニアシグナル増幅モードにて取り込まれるのに対し、その他の励起蛍光色素により発せられる蛍光シグナルは多くの場合Logモードで取り込まれる。

ヨウ化プロピディウム、プロピジウムイオダイド　Propidium Iodide：PI

死細胞の核染色蛍光色素
フローサイトメトリー解析での死細胞の検出および除去に有用
APC（Allophycocyanin）とFITCで標識された抗体と組み合わせて使用することが可能
励起波長は488nmで、アルゴンイオンレーザーを備えた一般的なフローサイトメーターで使用可能
細胞周期解析にも用いられる。

ヘキスト　Hoechst33342､33258

核染色蛍光色素
DNAのアデニン-チミジン部に特異的に結合する。
生細胞の細胞膜を透過し、生細胞のDNAを染色できる色素
PI、エチジウムブロマイドやDAPIは細胞膜透過性がないために、死細胞や固定した細胞しか染色することができない。

4,6-diamino-2-phenylindole：DAPI　参考1

核染色蛍光色素の一種で、DNAに対して強力に結合する物質である。蛍光顕微鏡観察に広く利用されている。
DAPIは1977年、当初はトリパノソーマに対する薬剤として合成された。
その後、蛍光顕微鏡との組み合わせにより血中のマラリア原虫の検出などに利用されたが、今日では細胞生物学の分野に欠かせない試薬となっている。
DAPIは浸透速度は遅いものの細胞膜透過性の色素であり、生きた細胞・固定された細胞の両方に対して使うことができる。
生細胞染色が可能なDAPIは観察試料の調製が容易なため、広く普及している蛍光色素である。
生細胞の膜透過性がなく、死細胞を染色する。
DAPIはDNA二重螺旋の小さい副溝、特にAT（アデニン・チミン）に富んだ領域に優先的に結合する。
蛍光顕微鏡観察において、DAPIは紫外光（UV）によって励起することができる。二本鎖DNAに結合したDAPIは、励起光の波長 358nm に吸収極大を持ち、放出される蛍光は 461nm が極大である。
DAPIの蛍光の波長域は広く、色としては青〜水色に見える。
DAPIはRNAにも結合するが、その場合の蛍光波長は 500nm 前後であり、蛍光強度は小さい。
従って、RNA結合由来の蛍光は適切なダイクロイックミラーで除外することができる。
高濃度のDAPIは細胞内のポリリン酸を染色することができ、この場合の蛍光は526nmで黄色に見える。
微小管に結合して蛍光強度が増大することから、濁度測定より高感度なチューブリンの重合試験の蛍光指示薬として用いられることがある。

フルオレセインイソチオシアネート fluorescein isothiocyanate：FITC

励起波長：495nm

蛍光波長：528nm

顕微鏡観察に用いられる蛍光色素の一種
フルオレセインの誘導体
FITCはフルオレセインの水素原子の一つをイソチオシアネート基で置換した化合物であり、この部位でチオ尿素結合を形成し、細胞内タンパク質の第一級アミンと結合する。

フルオレセイン骨格にスクシンイミジルエステルを付加したN-ヒドロキシスクシンイミド (N-hydroxysuccinimide; NHS) フルオレセインもアミンに対する結合性を持っており、よく用いられる化合物の一つである。

フルオレセイン　fluorescein

顕微鏡観察に用いられる蛍光色素の一種
フルオレセインは1871年、アドルフ・フォン・バイヤーにより発見された。
フルオレセインの吸収極大波長：494nm（青色光）
放出する蛍光の極大：21nm（緑色光、水中）
励起にはアルゴンレーザーなどが利用できる。
等吸収点（全てのpHで等しい吸収を示す点）： 460nm

ローダミン Rhodamine

励起波長：544nm

蛍光波長578nm

アミノフェノール類と無水フタル酸を縮合して得られる鮮紅色の塩基性染料
蛍光性を有するため、蛍光色素やレーザー色素として用いられる。
ローダミンB、6G、6GP、3GO、123などの種類があるが，特にBが重要
ローダミンBは緑色結晶で，水に溶けて赤色を示す。
ローダミン（アシッドレッド、エオシン、フロキシンなど）は、タラコや明太子の染色としても使われる色素である。
手に付着すると真っ赤に染まるが、染色されているのは手の表面の油分なのでアルコールなどと一緒に洗剤を使うと、落とすことができる。

蛍光色素テトラメチルローダミン（TMR）

共焦点走査型レーザー顕微鏡　Confocal scanning laser microscope　←→レーザー　参考1

共焦点レーザー顕微鏡は試料の蛍光を共焦点ピンホールを通すことにより、試料の任意の深さから断層像を得ることができるとともに、一定の間隔で垂直方向に焦点面をずらし、連続断層像をコンピュータ処理することによって試料蛍光の局在を３次元構築することが可能な顕微鏡である。

2光子励起顕微鏡　Two-photon excitation microscopy　参考1

物質励起に2光子吸収過程を利用した顕微鏡

2光子励起

1光子励起の場合、1個の蛍光分子が1個の光子の持つエネルギーを受け取ることにより、蛍光分子内のエネルギーレベルが基底状態から第一次電子励起状態へと遷移する。一方、2光子励起は、1光子励起の場合に比べて、理論的に半分のエネルギーを持つ光子（波長でいえば2倍波長の光子）が2個ほぼ同時に1個の蛍光分子にエネルギーを渡すことで起きる励起過程である。
1個の光子が1個の蛍光分子と相互作用する場合に比べて、2個の光子が同時に蛍光分子と相互作用する確立はきわめて低い。そのため、2光子励起の効率を上げるためには、高密度の光子領域を作り出す必要がある。

2光子吸収過程は、本来一つの光子しか占有し得ない空間に2つ（またはそれ以上）の光子が飛び込むことである。この2光子吸収過程は自然界では非常に稀にしか起こりえない事象であるが、光子の密度を高めることで起こる確率を高めることができる。
2光子顕微鏡の光源として，チタンサファイアレーザーなどの、フェムト秒パルスレーザーを使用する。このレーザーは共焦点走査型レーザー顕微鏡で使用される連続発振レーザーと異なり、パルス状に発振し、対物レンズ下にレーザー光を集光し、瞬間的（フェムト秒）に極めて光子密度の高い領域を作ることができる。このため、2光子励起現象は対物レンズの焦点でのみ起きる（励起の局所性）。
共焦点顕微鏡のように焦点以外で生じた蛍光をピンホールにより取り除く必要がなく。組織深部で散乱した蛍光成分も像を形成するために利用することができる。連続発振レーザーを用いて同様の光子密度領域を作成することも可能であるが、効率が悪く、1光子励起が広い領域で起きてしまうため、生物標本がダメージを受けてしまう。一方で、2光子顕微鏡では、フェムト秒パルスレーザーを用いて焦点のみで蛍光分子を極短時間励起することで熱による組織傷害も減少するため、長時間観察も可能である（低侵襲性）。また、組織内での散乱吸収が少ない近赤外光を励起光として使用するため、組織のより深部まで光が到達できる（高い透過性）。
さらに、1光子励起では深部組織を観察しようとすると浅層の蛍光分子に励起光が吸収されてしまうため深部まで光が届きにくくなる。2光子励起は局所においてのみ起きるためこのような励起光の減衰が起きにくい（自己遮蔽効果の回避）。これらの利点により，2光子顕微鏡を用いることで、生体組織の深部の微細構造を長期間観察することが可能となった。
透過性が優れているため、マウスの頭骨を薄く削るなどすれば生きたままの脳の細胞が観察でき、2000年代後半から樹状突起の成長を長期間にわたって追跡するなどの研究が可能となった。
1990年代になって２光子励起顕微鏡が登場すると、脳スライス標本中のスパイン形態、スパイン内カルシウム動態を生きたままイメージングすることが可能となった。

原子間力顕微鏡　Atomic Force Microscope：AFM

走査型プローブ顕微鏡（SPM）の一種。その名のとおり、試料と探針の原子間にはたらく力を検出して画像を得る。
原子間力はあらゆる物質の間に働くため容易に試料を観察することができるため、探針と試料表面間に流れるトンネル電流を利用するSTMとは異なり、絶縁性試料の測定も可能である。また電子線を利用するSEMのように導電性コーティングなどの前処理や装置内の真空を必要とする事もない。このため、大気中や液体中、または高温〜低温など様々な環境で、生体試料などを自然に近い状態で測定できる。
他の走査型プローブ顕微鏡と同様に空間分解能は探針の先端半径（nm程度）に依存し、現在では、原子レベルの分解能が実現されている。

ステレオロジー　（立体学）、立体細胞解析　stereology　参考1/　2s

3次元の立体構造を、その断面における測定データから再構築する技術

unfolding法

1946年にAbercrombie により発表され、1970年にUnderwoodによって一定の厚みの切片から目的の対象物の空間密度を求めるstereologyの手法
ランダムに選んだ数枚の切片から対象物（例えば,細胞の核など）の直径を計測し、ヒストグラムを作製して細胞核の平均値を求め単位体積当たりの密度を算出するもの
核の形は球と仮定して計算されたものであり、実際には核形の不整や方向性、分布の偏りがあるためサンプリングバイアスにより、結果が左右され使えない場合が多い。

disector法

1984年にSterio によって発表されたstereologyの手法
対象物の仮定やヒストグラムの作製の必要もなく、かつサンプリングバイアスが存在しないまったく新しい stereology の考え方
2枚の連続切片の1つを「look-up section」とし、もう1つを「reference section」とする。 look-up section に含まれない対象物をreference sectionでカウントを行う。
計測を行う空間をdisectorと呼び、計測面積（XY軸）と切片の厚さ（Z 軸）から、3 次元的なサンプリングが可能となる。
physical disector 法とも呼ばれ、対象物が明瞭に観察できうる顕微鏡の解像度が重要になるため薄い連続切片ペアに適応されてきた。

optical disector法

disector法を改良したstereologyの手法
2枚の連続切片を必要とせず、1枚の厚い切片の連続光学断面像を用いる法も発表され、組織標本定量解析を行う際のスタンダードとなっている。

optical fractionator法

フェルスター共鳴エネルギー移動　Förster Resonance Energy Transfer：FRET　←→BRET
　　＝蛍光共鳴エネルギー移動 Fluorescence Resonance Energy Transfer：FRET 参考1/2

二つの蛍光分子がごく近接して存在する場合、一つの蛍光分子からもう一つの蛍光分子へエネルギーが移行する。
エネルギーを受け渡す方をドナー、受け取る方をアクセプター
ある蛍光分子（ドナー）の蛍光スペクトルと、もうひとつの蛍光分子（アクセプター）の励起スペクトルに重なりがある場合、この二つの蛍光分子が近接し、かつ両分子の双極子モーメントが適切な方向関係にあると、ドナーからの発光が起こらないうちに、その励起エネルギーがアクセプターを励起してしまう確率が高くなる現象
重要なのは、「FRET」の効率が蛍光分子間の距離（1〜10nm程度）と配向の変化に対して敏感に変化するということである。配向因子を無視すると、「FRET」効率は蛍光分子間の距離の6乗に反比例する。まさに「FRET」はナノメートルオーダーの定規といえる。タンパク質もちょうどナノメートルの大きさなので，目的のタンパク質にドナー・アクセプターを連結すれば、タンパク質の微妙な構造変化を蛍光変化として検出できる。
Theodor Förster博士（1910/5/15〜1974/5/20, ドイツの物理化学者）が1942年にFRET理論を確立し、1970年代より生命科学研究への応用が行われている。タンパク質の構造変化の計測に加えて、一塩基多型（SNPs）の検出、定量PCRなどに応用され，生命科学研究において不可欠な技術となっている。
宮脇敦史先生らが1997年にCFPおよびYFPを利用した、細胞内カルシウムプローブのカメレオンを開発し、さらに、cAMP, cGMP、リン酸化を初めとした主要な細胞内シグナル伝達分子のFRETプローブが次々と作製され、分子のリアルタイムな活性および局在の活性の解明に大きく貢献した。
2000年初期に記憶の形成に必須なシグナル分子、Ca2⁺/カルモデュリン依存性タンパク質キナーゼII (CaMKII)の活性化を評価するためのFRETプローブ、 Camuiが開発された。CaMKIIはそれまでは、一旦活性化されたらその活性が自己リン酸化により持続する事で、長期に亘る記憶に必要なシナプス反応の増強を維持すると考えられてきたが、実際にはCaMKIIの活性化は一過性である事が示された。
樹状突起スパインの形態を制御するアクチンの重合を可視化するためのFRETプローブが開発され、アクチンの重合が長期増強現象に伴い引き起こされる事、またそれが長期間維持される事が示された。その調節の上流にあるRho族低分子量Gタンパク質Cdc42、RhoAの活性も同様に維持される事が判った。

個体においてもFRET測定法が導入されている。神経回路ネットワークにおけるシナプスの役割を解明する目的で、フェレットの大脳皮質視覚野にCaMKIIプローブを発現し、片眼剥奪によって、神経回路ネットワークに変化を起こした時のCaMKIIの活性化の変化を観測している。また、神経活動をモニターする膜電位プローブを開発しマウスの洞毛（ヒゲ）刺激の投射先である体性感覚野バレル皮質での入力特異的な神経の活性化を観察している。

クエンチング、消光　Quenching　←→クエンチャー　参考1

励起光を受け取った蛍光分子に対して、それとは別の蛍光分子や非蛍光分子（いずれもまとめてクエンチャーと呼ばれる）の影響により、励起蛍光分子からの蛍光が検出されなくなる、つまり消光（蛍光クエンチング）が起きることがある。

蛍光クエンチング

クエンチャー性質、クエンチャーとの距離、蛍光波長やエネルギーに依存して、FRET、contact quenching、collision quenchingのいずれかのメカニズムで起こる。
FRETによるクエンチングは、ドナー（励起光を受け取った蛍光分子）が励起状態から基底状態に移る時、近傍（1-10 nm）に位置するクエンチャーがドナーから生じるフォトンのアクセプターとなり、ドナーからのエネルギーを吸収することにより起こる現象です。アクセプターが蛍光分子の場合、吸収したエネルギーにより（吸収フォトンの波長が励起波長と重なるために）励起状態となり、基底状態に移るときに蛍光を生じます。したがって、励起光が照射された後、ドナーの蛍光は消光するが、アクセプターの蛍光が観測されることになる。FRETによるエネルギーの移動は、ドナーの蛍光スペクトルとアクセプターの励起スペクトルの重なりが大きいほど（距離が近いほど）起こりやすくなる。

Contact quenching

蛍光分子とクエンチャーが複合体形成や隣接により接触（電子軌道の重なりが生じる距離0.3-1 nmに存在）しているときに起こる消光
蛍光分子からクエンチャーへのエネルギー転移がすぐに起こり、クエンチャーが受け取ったエネルギーは熱エネルギーとして放出される。

Collision quenching

励起光を受け取った蛍光分子が、溶液中でクエンチャーと反応（衝突）したときに起こる消光で、日本語で衝突消光とも呼ばれる。
クエンチャーへのエネルギー転移はContact quenchingと同様に起こり、クエンチャーが受け取ったエネルギーは熱エネルギーとして放出される。

生物発光共鳴エネルギー転移　Bioluminescence resonance energy transfer：BRET　←→FRET

細胞ベースアッセイのひとつであるBRETは、タンパク質-タンパク質相互作用の研究に幅広く用いられている。その名前が示すように、BRETアッセイは、共鳴エネルギー転移：FRETに基づいている。
発光基質が光を発するために使うエネルギーが、近傍にある蛍光物質へと移動する現象
生物発光するドナーと蛍光を発するアクセプターとの相互作用を利用したタンパク質- タンパク質間またはタンパク質- リガンド間の相互作用を測定するための技術
ドナーおよびアクセプター分子にそれぞれ蛍光タンパク質を用いるFRETに対し、BRETではドナー側にルシフェラーゼなどの生物発光分子を用いる。
FRETを用いた手法に比べ、励起光を当てる必要がないので、バックラウンドがきわめて低く、励起光による細胞へのダメージを最小限に抑えることができる。
ドナーとアクセプターが互いに10 nm より近接したとき、ドナーはアクセプターを励起し、次いでアクセプターから蛍光が発せられる。興味のあるタンパク質をドナーにより、その結合のパートナーをアクセプターによりそれぞれタグ付けすると、ドナーおよびアクセプターから発せられた光をマイクロプレートリーダーで検出することにより、タンパク質間相互作用を測定できる。

ルシフェラーゼと蛍光タンパク質の融合タンパク質を発現させ、ルシフェリンなどの基質を投与すると、ルシフェラーゼ活性により生じた発光エネルギーが蛍光タンパク質へと移動した結果、蛍光の放出が起こる。

プロメガのNanoBRET

生物発光ドナーであるウミシイタケ（Renilla）ルシフェラーゼ（Rluc）融合タンパク質と、蛍光アクセプターである緑色蛍光タンパク質（GFP）融合タンパク質との間にエネルギー転移が起きる。Rlucの基質はセレンテラジン誘導体であり、DeepBlueC^TMと呼ばれている。DeepBlueC^TMは、酸素存在下にRlucによって酸化されると、約395nmの光を放射する。
ふたつの融合タンパク質間の特異的な生体分子相互作用によって、GFPとルシフェラーゼとの間が近接（10-100Å）している場合には、GFPがエネルギーを吸収し、約510 nmの光を放射する。
通常の蛍光共鳴エネルギー転移:FRETアッセイと比較すると、FRET測定に使用する光源を用いないことから、BRET2™はバックグラウンドがきわめて低く、光退色がない。

プロメガのNanoBRET^TM

深海エビ由来のルシフェラーゼNanoLuc®：Nluc
従来のウミシイタケルシフェラーゼ：Rlucを用いたNanoBRETに比べ、より高い発光値と安定性、強固性を持ち、生細胞でのリアルタイム解析、及びハイスループットスクリーニングに最適
NanoBRET® Assay は高レベル発光酵素 NanoLuc® ルシフェラーゼをエネルギー転移ドナーHaloTag® NanoBRET® 618 fluorescent Ligand で標識された HaloTag® タンパク質を、エネルギー転移アクセプターとして利用する BRET（生物発光共鳴エネルギー転移）ベースのアッセイで、生細胞内で2つのタンパク質の相互作用を測定することができる。
生細胞内でのタンパク質相互作用分析：非常に明るく分子量の小さな NanoLuc ルシフェラーゼを利用した BRET ベースまたは相補レポーター法を用いて高感度にタンパク質相互作用を検出できる。この NanoBRET および NanoBiT テクノロジーによりこれまで不可能であった内在レベルの発現でもタンパク質相互作用検出が可能
NanoBRET™ PPIアッセイではBRETエネルギードナーとしてNanoLuc®ルシフェラーゼを、蛍光HaloTag® NanoBRET™ 618 Ligandで標識したHaloTag®タンパク質をエネルギーアクセプターとして生細胞におけるタンパク質相互作用を測定する。明るく青色シフトしたNanoLuc®ドナーシグナルと赤色シフトしたHaloTag®アクセプターシグナルは、スペクトルの重複を最小限に抑えた最適化されたペアとして、従来のBRETアッセイに比べて高いシグナル/バックグラウンド比を示す。目的のタンパク質はNanoLuc®ドナーまたはHaloTag®アクセプターでそれぞれN末端、C末端の組合わせでタグ付けを行い、最良の組合わせ（4種のバリアントと8種類のドナー/アクセプターの組合わせ）を見つけることにより最高のアッセイ性能が引き出される。

ドナー NanoLuc®

アクセプター HaloTag® 618 ligand

基質 Furimazine

ドナーエミッションピーク 460nm

アクセプターエミッションピーク 618nm

ストークシフト 158nm

酵素断片相補アッセイ法のNanoBiT™

Pain Relief