家族をつくる
配偶者/パートナーとのコミュニケーション
更新・確認日:2021年7月7日
病気は本人だけでなく、パートナー(配偶者や恋人)がいる場合には、その相手にとっても一大事です。
病気は、カップルの生活に様々な変化をもたらします。治療の選択、仕事、毎日の家事や育児など、対応すべきことは数多くあり、それまでカップルとして経験したことがない物事に対処していくことになります。新しい局面に向き合うときには、お互いが感じていることや、望んでいることを共有することが大切です。
あなたと相手の気持ちは影響しあっています
多くの場合、パートナーが病気とわかったとき、その気持ちの浮き沈みは、相手の気持ちにも大きく影響します。特に診断から間もない時期は、たとえ仲の良いカップルでも、お互いが考えていることがわからなくなり、不安でいっぱいになることが少なくありません。
伝えること、聞くこと
普段なら、「彼なら(彼女なら)こう考えるはず」と察することができるかもしれません。しかし、病気という新しい課題に向き合うとき、お互いに相手の気持ちを考える余裕はないかもしれません。相手の気持ちや考えを聞いてみること、そして、自分の気持ちをできるだけ素直に伝えてみることがとても大切になります。相手が本当はどう思っているのか、どうしたいのかをよく話し合い、理解しあうことで、思わぬ誤解やボタンのかけ違いを防ぐことができます。お互いの心配事やしてほしいことがわかれば、お互いをいたわりあうことができます。また、治療の選択や毎日の暮らしへの対処を一緒に考えることで、よりよいアイデアが生まれることもあります。
ゆったりした時間に
「伝えること、聞くこと」は大切なのですが、普段からあまり気持ちを表に出さないカップルの場合は少し難しいかもしれません。特に男性の場合には、自分が患者でも配偶者でも「相手に弱みを見せたくない」という心理が働いたり、一見無関心のようによそおうことで、自分の不安を隠したりすることもあります。診断後、お互いの気持ちが落ち着き、素直に気持ちを伝え合えるようになるには、ある程度時間がかかるかもしれません。
それでも、正直でざっくばらんなコミュニケーションが大切なポイントであることを覚えておきましょう。話をするときには、できるだけ静かな環境で、あまり忙しくない、ゆったりした時間を選ぶとよいでしょう。相手が見せてくれた優しさや配慮に、それがどんなに小さなことでも、「ありがとう」と伝えましょう。また、心細いときこそ、愛情表現の言葉は嬉しいものです。面と向かって伝えるのが照れくさいときは、メールや手紙にしてもよいでしょう。
どうしても気持ちを言葉にできないことがあるかもしれません。そんなときには、黙って手を握ったり、そっと抱きしめたりすることが、言葉を超えることもあります。
参考文献
富田真紀子, 高橋都, 多賀谷信美, 他. 乳がん患者の夫の心身不調と相談行動. 緩和ケア 2014; 24: 394-400.